公共的私用収用

公用収用とは、行政法学上、おおむね特定の公益事業のために、正当な補償の下に他人の特定の財産権を収用することと解されています。ここで、公益事業のためとは何かが重要な問題になりますが、その場合の公益概念つまり公用概念は、従来はきわめて限定的に解され、公物ないし公共施設の用に供することを意味していました。しかも、初期の土地収用においては、起業者が被収用地をみずから使用するのを原則とし、もし被収用地を第三者に譲渡するような事態が起これば、旧所有者等に法定買受権が生じるとされました。ところが第二次大戦後、世界的な傾向として、人口や産業の都市集中化現象に起因して、様々の都市問題が発生してきました。そこで、その解決のために都市計画法制の整備が課題となってきたのですが、それに伴って、収用権が与えられる公益事業の範囲が拡大するという現象が生じてきました。公共的私用収用も、このような状況の下で現われてきたのです。

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土地

公共的私用取用とは、徒来の公用収用のように公物ないし公共施設をつくるためではなく、当該事業によって造成した土地を、結局は第三者である私人に譲渡して、住宅地や工場用地としてその専用に供せしめるような場合でも、そこに公共性があるとして、他人の財産権を収用するということです。このような手法は、農地買収と共通の性格をもっています。
このような公共的私用収用は、今や世界的傾向にあり、特に第二次大戦後は、多くの国で、住宅、宅地、住宅団地さらにはニュータウン建設のための収用をむしろ当然のように認めているといわれています。日本においても、昭和三○年代の中旬以降、公共的私用収用の制度が設けられていきました。現在、このような形での収用が法律上認められている事業には、住宅地区改良事業、新住宅市街地開発事業、流通業務団地造成事業、住宅団地経営事業、工業団地造成事業等があります。
公共的私用収用においては、個々の事業の公共性というよりは、むしろ全体としての街づくりという観点において、市街地の計画的整備、都市機能の維持、増進などとのかかわりにおいて公共性の存在が承認され、収用権が付与されるべきだとされています。また、新住宅市街地開発法における宅地分議のような場合には、生存権理念を適用して公共性を認める見解もあります。また同じ場合に、みずから居住する必要のない人の土地が収用されてみずから居住を必要とする別人に分譲されることが公共性に該当するとの見解もあります。
民間ディベロッパーに収用権を与えるべきかどうかが大きな問題となっています。ここで、ディベロッパーとは、ニュータウン建設、都市再開発、都市施設の整備などを行なう事業主体を通称としますが、そのディベロッパーにも、資金や組織のあり方によって、公的セクター、民間セクターおよび第三セクターの三つがありますが、民間セクターを、通常、民間ディベロッパーといいます。従来は収用権が付与される主体について、たとえ私人に収用権が与えられる場合でも、当該私人がみずから公益事業を営むことになっていました。しかるに民間ディベロッパーの場合は、それ自身としては土地を開発するだけであって、最終的には造成した土地を第三者である私人に譲渡するのです。したがって伝統的な収用理論によれば、民間ディベロッパーに収用権を与えることはとんでもないこととなります。しかし、前述のように公共的私用収用制度が実定法上も認められるようになってきました。他方、公用収用の主体の拡大という点では、すでに都市計画法が、民間ディベロッパーを含む特別施行者に収用権を付与する途を開いています。しかし問題は立法政策として、広く公共的私用収用の分野においても、民間ディベロッパーにも収用権を与えてゆくぺきかどうかでは、ディベロッパー側としては、もし収用権が与えられると、役人が介入し、利潤は制限され、官庁的制約をうけることがありながらも、取用権が与えられ、それに伴う税制上の恩典を期待して、民間ディベロッパーに収用権が与えられることに賛成する見解が多くあります。

土地
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