公用収用

ダムや鉄道を建設する場合にその土地を使用する権利を取得しなければならず、恒久的施設、事業の場合、通常所有権を取得します。双方の合意により売買契約が成立すれば問題はありませんが、不成立に終わった場合に、強制的に所有権を取得することがあります。公用収用はこのように、公共の利益となる特定の事業の用に供するために、正当な補償を支払って、財産権を強制的に取得することをいいます。つまり、目的は公共の利益となる特定の事業の用に供することであり、正当な補償が支払われなければならず、権利者の同意およびその権利移転行為なくして、権利を取得し、同時に権利者の有する権利が消滅する、というものです。このような公用収用は法律の定めた適正な手続きによって行なわれなければなりません。公用収用の対象となる財産権は、代替性のない土地に関するものがほとんどです。これが土地取用であり、土地取用についての一般法である土地収用法はしたがって、公用収用全体を通じても中心的な位置をしめます。

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土地

収用法三条に限定列挙された事業のために、しかもその具体的な事業計画が土地の適正かつ合理的な利用に寄与するなどの要件をみたせば、必要なかぎりで、所定の手続を経て収用はなされます。収用の対象となるのは次の三種類です。土地、土地定着物件、土地に属する土石砂れき。土地収用法には、このような典型的な収用とは異なった収用が定められています。その一つは拡張収用です。通常、収用は事業に必要な範囲にかぎって認められますが、その必要な限度をこえて収用されるというものです。土地にかかわるものとしては、残地の従前の使用が困難になるとき、土地の使用が三年以上になる時の収用、物件にかかわるものとして、物件の移転が困難か、移転料多額の場合の収用がそれです。収用法七九条の場合を除いて、所有権者の側からの請求にもとづいてなされます。
いま一つの例外的な収用は権利の収用です。例えば起業者が土地の所有権をすでに取得していながら、その上に存する賃借権等によってその土地を事業の用に供するのを妨げられている場合に、その賃借権を収用して消滅させる、というのがその一例です。この場合、起業者は新たな権利を取得することなく、権利を消滅させるだけであるため、消滅収用ともいわれますが、権利取得という要素が欠けていることを理由に収用にあたらないとする考え方もあります。そのほか、収用法自体認めた特別の手続として、手続の保留と協議の確認があります。
公共用地の取得に関する特別措置法にもとづく収用は、土地取用法による収用とは別のものではなく、そのなかで特に公共性の強い事業について、補償金が確定する前に仮補償金の支払いを条件に収用の効果を生ぜしめる緊急裁決、および都道府県収用委員会が迅速に行なわない場合は国土交通大臣がかわって行ないうるという代行裁決という特別の手続が認められた土地収用です。したがって公共用地取得特別措置法は土地取用法の特別法であり、その代行裁決に関する規定は地方自治法一四六条の特別法でもあります。
都市計画法によると、都市計画には都市施設として道路、学校、一団地の住宅施設、流通業務団地など、市街地開発事業として土地区画整理事業、新住宅市街地開発事業、工業団地造成事業、市街地再開発事業、新都市基盤整備事業、住宅街区整備事業を定めることになっています。この計画で定められた都市計画施設の整備に関する事業と市街地開発事業とを併わせて都市計画といいます。この都市計画事業は、土地収用法三条で定める事業に該当するものとみなされます。そのため土地収用法による収用とは対象、手続の若干異なる収用がなされます。まず収用適格事業についてみると、都市施設に関する都市計画法の規定と、それに対応する土地収用法の規定は、実質的内容はほとんど同じにはなりますが、たとえば教育文化施設、医療施設、社会福祉施設などについては、都市計画法では収用法三条のような列記による限定がない、という違いがあります。より重要な違いは、流通業務団地造成事業や、工業団地造成事業にかかわる収用にみられます。これらの事業の結果造成された土地は流通業者や工場経営企業などに分譲されることが多いために、収用された土地の上でなされる事業そのものにそれだけの公共性を要求する土地収用法とは異なります。そこでは事業そのものの公共性というより、都市計画に従って秩序ある開発がなされることに公共性が求めらねているともいえます。また、手続の面でも、都市計画事業の認可または承認でもって、通常の収用における事業認定にかえるものとされているため、住民の意見書提出などの手続きが省略されることになります。
住宅地区改良法による収用として、住環境の整備改善、住宅の集団的建設をすすめる目的から、不良住宅の除却、改良地区内の整備のため必要な場合には、土地等が収用されます。その収用には原則として土地収用法が適用されます。
企業の強制買収とは、私人の経営していた鉄道などの公共企業の全部または一部を、国または公共団体の直営方式にかえるために、包括的に、すなわち土地、施設、事業経営の権利もひっくるめて収用することをいいます。買収された企業はそのまま以前と同じ目的のために使用されるものであるため、収用の公共性とは直営方式をとることが公益上強く要求されるということに求められます。地方鉄道法、軌道法、水道法、運河法に規定がありますが、いずれも手続規定はないか、あっても簡単なものです。

土地
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