住居地域内の青空駐車場の規制

自動車の駐車規制は、これまでは、主として都市交通の安全と円滑化とを図るという見地から行なわれてきましたが、今日では、自動車公害の深刻化という現実を前にして、生活環境の保全という観点からの対応策も要請されるにいたっています。とりわけ土地問題の未解決な現状では、路外の空地を私人が有料駐車場として活用する事例が多くなり、しかも、それが住居周辺部に出現するような場合においては、周辺住民に、騒音、振動、悪臭、大気汚染、粉じんおよび交通事故等の不利益を与えることとなり、これらの被害に対しては、公害規制諸法令が適用されるわけですが、ここでは、事業活動開始以前の確認をどうするのかということが問題なのです。地方公共団体としても、これを単純な民事問題として放置することは許されず、居住環境を保全し、安全を確保するためになんらかの対応策をとることが要請されています。

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道路交通法では、車両は道路標識等により停車、駐車が禁止されている道路の部分およぴ交差点、横断歩道、踏切、軌道敷内等、同法の掲げるその他の道路の部分においては、法令の規定もしくは警察官の命令によりまたは危険を防止するため一時停止する場合のほかは、原則として、停車しまたは駐車してはならないこととされています。
建築基準法では、住居地域内に原則として、建築してはならない建築物として、床面積の合計が五○平方メートルをこえる自動車車庫があげられています。同法が建築物の敷地、構造、設備および用途に関する最低の基準を定めたものであることはいうまでもありません。
駐車場法では、駐車場整備地区、路上駐車場、路外駐車場、大規模建築物に付置する駐車施設などが定められています。駐車場整備地区と路外駐車場とについて、その概要は次になります。商業地域、近隣商業地域内において、自動車交通が著しくふくそうする地区等で、道路の効用を保持し、円滑な道路交通を確保する必要があると認められる区域については、都市計画に駐車場整備地区を定めることができ駐車場整備地区内の長期間の自動車の駐車需要に応じるために、国土交通大臣、知事、市町村は、必要な路外駐車場に関する都市計画を定めなければならず、地方公共団体は、この計画にもとづいて、路外駐車場の整備に努めなければならないとされています。そして、駐車に供用する部分の面積が五○○平方メートル以上のものについては、その構造、設備は、建築基準法その他の法令の規定の適用がある場合においてはそれらの法令の規定によるほか、政令で定める技術的基準によることを要し、都市計画区域内において、駐車料金を徴取するものを設置する者は、一定事項を知事に届け出なければならないとされています。
自動車の保管場所の確保等に関する法律では、駐車場そのものに関する法律ではありませんが、同法によると、自動車の保有者は、道路上の場所以外の場所において、当該自動車の保管場所を確保しなければならず、自動車登録ファイルへの登録には、そのことを証する書面を国土交通大臣に提出することが、前提要件として要求されています。このようにみてくると、我々の問題としている青空駐車場は、路上駐車ではない点において道路交通法と、建築物を伴わない点において建築基準法と、駐車場整備地区を前提としない点において、駐車場法と、いずれも、かかわりのないものであることが判明します。つまり、青空駐車場そのものは、国家法による規制の対象外におかれているのです。そこで、主題について地方公共団体がとりうる方策としては、次の三つが考えられるのです。
青空駐車場の実態を調査し、周辺住民のうける生活上の不利益が一定限度をこえていると認定される場合には、地域住民の生活利益を公正に擁護しなければならないという自治体の使命にかんがみ、青空駐車場の設置、管理者に対して、所要の協力を要請するという方式が考えられます。つまり、一定の地域内における一定規模以上のものについて、それ以下のものについては、民事的手法によって、問題を解決するということになります。事前に届出を求め、環境保全および安定確保の観点から指導するという方式です。
指導内容としては、立地制限、出入口および接続道路幅員の制限設備等の確保などが考えられますが、管理運営規定についても、これを届け出させ、指導対象とすべきです。行政指導を実施する場合、多くの自治体では、環境保全審議会や関係業界の意見を徴した後において、指導要綱を作成しており、市民参加方式が採用されています。しかし、行政過程への市民参加もさることながら、このような問題については、全市民的な合意の形成されることがより望ましいことはいうまでもありません。そこで、この指導要綱の基本点を条例化することが考えられるのです。この場合には、執行機関だけではなく、議会もこれを支持しているということになり、施策の実施がより円滑に行なわれることはいうまでもありません。
第三に、行政事務条例方式があります。自治事務については、法令に違反しない範囲において自主法としての条例を制定することができますが、居住環境の保全ということが、自治事務にあたることについては多言を要しません。国の法令と条例との関係については、これまでは、規制対象が同一の場合には、その目的が異なっていること、規制目的が同一の場合には、その対象が異なっていることが必要であると説かれてきました。しかし、最近では、環境保全のみならず、消費者保護とか福祉の領域においても、条例制定権の範囲をより広く認めようとする説が有力となってきています。それによると、当該地域に条例による規制を相当とする事実の存するかぎり、国の法令と同じ目的から同じ対象について、より強度の規制を加えることも、一概に否定できないとされています。そこでは、固有な自治事務については、国の法令は、全国に共通する最低基準を定めているにすぎないという考え方が前提とされているのです。しかし、主題については、伝統的な考え方によったとしても、問題はないと思われます。それは、居住環境を保全するという観点から、青空駐車場そのものを規制している国の法令は存在しないからです。この点、ガソリンスタンドなど生活環境を阻害するおそれのあるその他の事業であって、環境保全の観点からする国の法令による規制の加えられていないものについても、同様に理解することができます。その際に、法律の定めるところにより、建築物の構造、設備、敷地及び周密度、空地地区、住居、商業、工業その他住民の業態に基く地域等に関し制限を設けるという規定は、例文としての意味しか有しないものと解釈されます。
青空駐車場については、そこに合理的な立法事実の存在するかぎり具体的に、これが何であるかということは、いわゆる行政責任論との関連において、なお問題があります。これを行政事務条例によって規制することは十分可能なのです。つまり事業者に一定事項を届け出させ、事前協議を通じて可能なかぎり問題を解決することとし、悪質なものについてのみ、計画変更、改善命令などの処分権を発動するという方法をとるとか、より端的に、駐車場設置の許可制を採用するなどがこれです。この場合、細目が指導要綱に委ねられているようなこともありますが、この種の指導要綱は、裁量基準としての性格を有するといえます。

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