土地利用計画の策定の権限配分

土地利用計画の策定についての中央と地方との権限配分の問題は、都市計画における地方自治のあり方に関わって都市計画法史上重要な地位を占めてきました。旧都市計画法下における都市計画は、地方自冶の否定の上にたつものでした。そこでは都市計画は国の事務とされ、計画の決定は、内閣による認可の下で、主務大巨が行なうものとされていました。こうした官治的都市計画行政への批判を前にして、都市の行政上の単位である地方公共団体の立場が充分に尊重されなければならないとして、制定されたのが現行都市計画法です。

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法は、土地利用計画の決定権を、原則として都道府県知事と市町村にふり分けています。つまり、法一五条は、市街化区域と市街化調整区域に関する都市計画、地域地区のうち臨港地区、歴史的風土特別保全地区などのほか、一の市町村の区域をこえる広域の見地から決定すべき地域地区として政令で定めるものに関する都市計画は知事が、その他の都市計画は市町村が定める、と規定しています。この規定によれば、あたかも市町村が土地利用計画の原則的決定権者であるかのごとくです。しかし、一項三号所定の政令の定めるところによれば、人口二五万以上の市の区域をふくむ大都市区域における用途地域などに関する都市計画は、すぺて知事の決定に委ねられています。つまり土地利用計画の根幹的部分は、すべて知事が決定する仕組みとなっています。市町村は都市計画の主体ではないとされるゆえんです。
さらに問題なのは、知事による土地利用計画の決定が、国の機関委任事務としてなされるということです。機関委任事務が、自治体の自主性を圧迫している大きな原因であることを考えるならば、住民生活と深いつながりをもつ都市計画事務を機関委任事務とすることには多くの疑問があります。加えて法は大都市及びその周辺の都市に係る都市計画区域その他政令で定める都市計画区域に係る都市計画または国の利害に重大な関係がある政令で定める都市計画の知事による決定を、国土交通大臣の認可にかからしめています。これによれば、政令で定める軽易なものを除きほとんどの都市計画に国土交通大臣の認可が必要となります。疑問の多い機関委任事務方式に加えてこうした認可制を採ることの合理性は疑わしく、わずかな権限しか与えられていない市町村の都市計画決定にさえ知事の承認を求める規定についても同様のことがいえます。
法二四条は、国土交通大臣は、国の利害に重大な関係がある事項に関し、必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、又は都道府県知事を通じて市町村に対し、期限を定めて都市計画区域指定又は都市計画の決定もしくは変更のため必要な措置をとるべきことを指示することができるとし、さらに、知事または市町村が所定の期限までに正当な理由なしにこの措置をとらないときには、正当な理由がないことについて都市計画中央審議会の確認を得たうえで、みずから当該措置をとることができるとして、国土交通大臣の代行権を認めています。この点は機関委任事務方式との関連で問題をふくんでいます。一般に、機関委任事務の処理においては、知事は主務大臣の措揮監督をうけることになっています。ここにおける指揮監督関係が国の行政機構内部のいわゆる上命下服の関係とは異なり、地方自治の本旨にもとづいたものであること、また指揮監督の内容が実質は行政指導に近いものであることはすでに指摘されているところです、がそれとの関係で、地方自治法一四六条の職務執行命令訴訟が、主務大臣が知事に対してとりうる唯一の法的強制力をもった手段ということになります。法二四条による国土交通大臣の代行権の承認は、裁判所という第三者機関の介在によってのみ主務大臣の代執行が認められるという意味で自治体の自主性を一定程度尊重する側面をもっています。ただし、公選の長の罷免まで認めている点をはじめ、地方自治の本旨との関係で問題がないわけではありません。職務執行命令訴訟手続を避けて通ることになり、自治体に対する国の監督を強化するための強権的方式にほがならないと批判されるのはこのためです。同様の規定は、土地収用法二四条四項、四二条四項、国土利用計画法一三条等にも採り入れられており、機関委任事務の存在自体の合理性が問われている今日では、そこにおける自治の最低限の保障ともいうべき職務執行命令訴訟手続が、個別法規による適用排除という形で一つ一つ空洞化されていくことの問題性が指摘されています。

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