借地の転貸借と借地権の登記

親威が990平方メートルほど借地をしていますが、そのうち330平方メートルを私がまた借りをすることにしました。地主はこれを承諾しています。この場合はどういう登記をすればよいでしょうか。
地主が転貸を承諾しているのですから、990平方メートルのうちの330平方メートルについての借地権、正確にいえば転借地権は、直接の貸手である親戚の人に対してはもちろんのこと、地主に対する関係においても有効なものです。この関係では、転貸についての地主の承諾だけが重要であって親戚の人の借地権やあなたの借地権ついての登記その他のいわゆる対抗要件ということは別段問題になる余地がありません。
問題は、今後地主から権利を取得した第三者が現われた場合、この第三者に対してあなたの転借地権は対抗力があるか、という点です。この問題は、借地関係が二股になっているために多少複雑ですから、以下場合を分けて説明します。
原借地権が借地権自体の登記によってでなければ対抗力を取得する可能性がない場合、親戚の人が990平方メートルのうちどこにもまだ建物をたてていないような場合がこれです。この場合、まず原借地権そのものの対抗力を考えますと、親戚の人がその借地権自体の登記、つまり地上権登記か土地賃借権登記をしてあれば第三者にも対抗できますし、なければ対抗できません。原借地権自体の登記があれば、転借地権自体の登記をすることはできます。これは、一種の賃借権の登記ないしは賃借権の処分の登記であって、地上権登記や原賃借権登記の場合に準じて、直接の貸手である原借地人とあなたとが共同して登記所に申請することによって、登記はなされます。ただし、原借地権が賃借権であって、その登記に、転貸自由ということまでは登記されていない場合には、転貸借の直接の当事者である右の二人の共同申請のほかに、地主の承諾書をも添付しなければ、転貸借の登記をしてもらうことができません。なお、親戚の人から獲得した権利も、一つの賃借権という債権ですから、ここに述べたような転貸借の登記の手続をしてくれるように原借地人を法律上強制する権利は原則として認められません。
このように、原借地権自体の登記があれば、転借地権自体の登記をする余地はありますが、原地主から権利を取得した第三者に対して転借地権を対抗するた めには、必ずしもつねに転借地権登記を必要とするというわけではありません。すなわち、原借地権が地上権であって、その登記があれば、地上権という物権には自由に目的物を転貸する権能が当然に含まれていますから、新地主など第三者は、対抗力ある地上権の存在を承認しなければならない以上、その地上権者との有効な契約に基づいて土地を利用している者の権利をも、当然認めなければならないからです。次に、原借地権が賃借権であって、賃借権登記があり、かつ転貸は自由だということも登記に記載してある場合ならこの地上権者からの転借の場合とまったく同じで、あなたの転借地権の登記の有無にかかわらず、転借権を第三者に対抗できます。
これに反して、原借地権である賃借権の登記はあっても、転貸が自由だということが登記されていない場合ですと、転借地権の登記がないかぎりは、原地主から権利を取得した第三者にむかっては、転借地権を対抗することができません。原借地権である賃借権には地上権の場合とは逆に転貸の自由がないのが原則ですから仮に、第三者が現われる以前にあなたが転借をし、かつ原地主もこの転貸借を承諾してくれていたとしましても、原借地人は第三者に対して賃借権を対抗できるだけであって、転貸の自由な賃借権を対抗できるわけではないからです。

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土地

借地の上に建物が建ってからならば、借地権は、建物保護法によって、原地主から権利を取得した第三者に対しても対抗力を認められる可能性があります。つまり、990平方メートルの土地の上に原借地人が建物を建て、その登記をしてあれば、990平方メートル全部につき原借地権は対抗力のあるものになりますから、このような原告地権者からその一部330平方メートルを有効に転借したあなたは、その転借地権を、原地主から権利を取得した第三者にむかっても対抗することができます。この場合には、転借部分の地上にあなた自身が登記ある建物を所有しているかどうかは関係ありません。
これとは逆に、原借地人は建物保護法による借地権対抗要件を備えていないが、転借地人であるあなたは転借部分の地上に建物を建てて登記をしたという場合が考えられます。この場合あなたの転借地権は建物保護法の適用によって原地主から権利を取得した第三者に対抗できるでしょうか。この点についての最高裁の判例はないようですが、下級審判例には、対抗できるという見解を示すものがあり、学説にもこう考える見解が多いと思われます。もっとも、そこでの転借地権には対抗力があるという結論は認められるとしても、それは、転借地権の建物登記によって原借地権、転借地権という二股の借地関係がそのままともに、原地主から権利を取得した第三者に対抗できるという意味なのか、原借地人は自己の所有する建物やその登記をもたないのだから、その借地権には第三者対抗力がなくて、転借地権だけが第三者への対抗力をもつという関係になる意味なのか、はっきりしません。学説では、このうち第一の方の意味であると考える見解が有力です。
前項で説明したところは、原地主から権利を取得した第三者に対する関係において、あなたの借地権は大丈夫か、つまり対抗力があるか、という問題でした。ところで、あなたの借地権は、親戚の人との契約によって、この人から与えられたものです。したがって、この二人の間の関係も、一種の地主、借地人の関係であり、あなたの借地権自体が、直接の地主から権利を取得した第三者に対する関係で対抗力があるか、という問題は、別に考えなければなりません。
具体的にいえば、原借地人が、あなたにまた貸しておきながら、別の第三者にもまた貸したり原借地権自体を第三者に譲渡したような場合、あなたはその借地権をこれら第三者に対抗できるかという問題です。これについては、あなたの権利も一箇の借地権ですから、借地権の対抗力についての一般原則の適用を受けます。つまり、借地権自体の登記か、建物保護法にいう建物登記かの、どちらかを早く備えたほうの当事者が優先する、他方は、地主に対して契約不履行の責任を追及する余地があるだけという関係は、一般の借地権の場合と、少しもかわりません。例えば、地主から土地を借りた原借地人が、その借地権の登記を得ていれば、彼から有効に転借したあなたは、転借地権登記やあなたの登記建物がなくても、原地主から土地所有権を買い受けた新地主に対抗できる、ということは前項で述べたとおりですが、あなたにとっての直接の地主つまり原告地権者から借地権を譲り受けたり二重に転借したような人が出てきますと、あなたの転借地権は、それじたいの登記か 登記建物かが存在しないかぎりは、これをその人には対抗できません。彼の方がさきに転借地権の登記をしたり、地上に建物を建ててその登記をしてしまうと、あなたは、この人にむかって土地をこちらに明け渡せといった請求をすることができないわけです。

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