地代の滞納と敷金による充当

借地人から敷金として、地代の三ヵ月分をいれてもらっていますが、借地人が六ヵ月分の地代を滞納したので、その支払を催促しようと思うのですが、六ヵ月分全部を請求できないでしょうか。また、滞納がニカ月分のときでも請求できるでしょうか。さらに、どのくらい滞納がつづいたら、契約の解除ができるでしょうか。
敷金は地代家賃その他借地人の債務を担保するために差し入れられる金銭で、債務不履行がなければ、そのまま契約終了時に返還されるものです。ところで、敷金についても、権利金の場合と同様に、その敷金をどのように役だたせるかは、当事者がはじめその敷金をうけわたした目的によって決まります。その敷金に利息をつけるかどうか、地代滞納のとき自動的に敷金から充当されるか、あるいは、借地人の要求によって充当できるか、さらに、中途の充当によって減少または消滅した敷金の補充方法、などは、すべて第一次的には当事者の合意によって決まります。最近では、保証金という名目の金銭が貸借などで授受されているようですが、その多くは敷金に当たるようです。
さて、当事者の意思がはっきりとしないときに、はじめて、敷金がどういう意味をもっているかを合理的に解釈する必要が生じます。以下に述べることは、当事者の意思が不明のときのことですから、注意してください。したがって、ただ敷金という了解だけで金銭の交付されている場合のすべてに妥当することになります。しかし、敷金という名目で、その実は権利金だったり、反対に、権利金という名目で敷金だったりすることがありますから、まずその点を見わけなければなりません。借家の場合には、だいたい、毎月の家賃の三倍ぐらいなら、ほぼ敷金とみていいでしょうが、一〇倍、二〇倍となると、判別がむずかしくなってきます。借地の場合は、地代は普通年きめ、あるいは半年きめなので、借家と同じには考えられませんが、それでもたとえば地代一〇年分の敷金というようなことになると、その名称にかかわらず、権利金と考えた方がよいかもしれません。権利金なら返還してもらえないのに敷金なら返還してもらえるわけですから、当事者にとっては、大きな利害関係があるわけです。
敷金は、一般的にいって、その金銭の所有権は地主に移転していること、契約終了時に清算され返還される担保的作用をもっていること、の二点を柱にして理解しなければなりません。

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敷金は、本来、契約終了時に清算される性質のものですから、契約の継続中、たまたま債務の不履行があったからといって、それですぐ借地契約を解除するのでないかぎり、自動的に不履行順に充当されることはありません。それでは、借他人のほうから、滞納順に充当せよと要求できるでしょうか。原則としてはできないのです。前述のように、敷金は、契約の全期間にわたる担保ですから、途中の債務不履行については、別個独立に清算されることになります。したがって、借地人のほうから、途中で延滞地代に充当するよう求めることはできません。しかし、地主のほうで、自発的に充当することはさしつかえないわけです。したがって、三ヵ月分の敷金があるとき、六ヵ月分の滞納が生じたら、地主としては六ヵ月分の滞納金額を請求することもできるし、三ヵ月分さしひいた三ヵ月分だけを請求することも自由なのです。また、滞納が二ヵ月分だけでも、敷金に手をふれないで、滞納分全額の請求をすることもできます。もし敷金からひいて請求すれば、それだけ敷金が減少し、借地人が今後地代を滞納したりした場合の担保力は低下することになりますので、地主の要求があれば、借地人は遅滞なく敷金を補充する責任があると解されています。敷金は、前述のように、契約終了時に清算されるのが原則ですから、契約終了の際、滞納地代や弁償金などをさしひいたものが返還されます。この場合には、滞納地代などをあらためて単独に請求することはできず、まず敷金から充当することになります。したがって、地主が、借地人にむかい、滞納地代の支払を請求しても、借地人が応じてこないときは、借地契約を解除することもできるわけですが、そのときには、解除の意思表示をして、敷金から充当すればよいのです。滞納額その他の債務が、敷金をこえるときには、もちろん、その差額を請求することになります。

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