権利金の取戻し

土地50坪を50年間借り、店舗を建てるということで、地主に権利金として坪当たり30万円を払いました。ところが、借りてから10年しかたたないのに、地震で店舗が焼けてしまい、商売もできなくなったので、この借地契約をやめることにしたいと思います。そのとき権利金は返してもらえるのでしょうか。もし返してもらえないとすれば、これを回収するよい方法はないのでしょうか。
権利金にはだいたい三種類くらいに分けられる性質の差異があります。期間満了前に借地契約を解消す る場合、権利金の返還を求められるかどうかは、その権利金の性格によって決まることになります。また、期間満了前ということですが、借地人が期間満了前に自由に契約を解消し、権利金の返還を求められることになると、地主の利益もそこなわれるおそれがありますので、まずその点から考えていきましょう。
借地契約に期間の取り決めがないときは、堅固な建物につき60年、非堅固な建物につき30年、という法律上の保障があり、さらに建物の存立に対応して更新されていくのが原則ですがこの期間は借地権保護のためにおかれたにすぎませんので、借地人の側からはいつでも解約の申込ができ、そうして借地契約は解約申込後一年で終了します。これに反し、借地契約に期間のとりきめがあるときには、原則として借地権者がその期間中に借地関係を消滅させることはできないのですが、例外的に解除ないし解約が認められる場合もないわけではありません。考えられるのは、いくつかの場合ですので、順に検討していきましょう。

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土地

もし本問の場合に、地震で土地がくずれ、そのために借地人が土地を利用できないといった事情があるなら、地主には、原則として復旧義務があります。地主がその工事を怠っているために借地人の再建ができないなら、借地人としては、地主の費用での復旧工事を強制するか、あきらめて借地契約を解除するかの追加あります。そして、このようにして借地契約が解除された場合には、それとあわせて、借地人は、地主に損害賠償の請求をすることができます。権利金の回収も、実質的には、この損害賠償請求のなかに含まれて目的を達しうる、ということができます。
次に、このような地主側の契約不履行がない場合にも、借地人が借地契約を期間の途中で一方的に解約できる場合があります。その第一は、借地の存続期間が借地人の利益のためにのみ定められていると見られる場合で、つまり本問の例で50年という期間は、その間は、地主の方は借地人の借地権を認めざるをえないが、借地人の方はかならずしも賃借を続けなければならないわけではない、というのが契約の趣旨だと見られる場合です。50年もの長いあいだ借地人に賃借することを強制することは、あまり合理的とはいえない場合が多いですから、事情によっては、上述のような約旨だと見ることのできる場合も少なくないでしょう。この場合には、借地人側にだけ期間の途中でもいつでも解約する権利が留保されていて、解約申込ののち一年で借地関係が終了することになります。
借地期間の途中で借地人が一方的に借地契約を解約できる第二の場合は、借地契約当時に当事者が予期しなかった事情の変更が発生したため、契約関係の消滅を認めた方が当事者間の衡平に適する事態になった場合です。本問の場合に即していえば、たとえば地震で町がすっかりさびれ、もはや商売をそこでやってもとうてい採算がとれないとか、借地人が地震ですっかり資産を失い、もはや借地上に建物をつくる資力がなくなった、という場合です。この場合には、事情変更の原則によって、借地人の方から借地契約を解除して将来の地代支払の義務だけは免れることができます。そこで、借地人の解除が認められる以上二つの場合に、すでに払った権利金を地主から返してもらえるかの問題ですが、それは、本問の場合に支払われた坪当たり30万円の権利金がどんな性質をもっていると見るべきかによって、違ってきます。権利金がもし設定の対価なら、借地人は返還をまったく請求できないし、地代の一部前払いなら、残存期間の割合に応じて清算され、したがって、本問の場合なら、坪当たり30万円の50分の40すなわち24万円が返還され、場所的利益の対価なら、この場所的利益を地主に買いとってもらう形で、実質的には全額が返還される、ということになると解すべきでしょう。
以上述べたのはいわば例外的な場合で、借地権の存続期間が契約で定められている以上、地主のみならず借地人もその間は借地関係を一方的に消滅させることはできないのが原則です。その結果、借他人は残存期間中地代を払いつづけなければならないことになります。
この場合、借地人としては、土地を利用しないのに、地代だけ払いつづけるのは不経済なので、その借地権を他人に譲渡して地代を肩代りさせるか、転貸して補うかの方法を考えるほかないでしょう。もっとも、この借地権に譲渡性があればよいのですが譲渡性のない場合には譲渡、転貸について地主から承諾をうるか、またはこの承諾に代わる許可の裁判をしてもらう必要があります。もっとも、具体的な問題である本問の場合には、借地権は50年という長期のもので、また残存期間が40年もあり、相当の権利金も払っており、それに建物が地震で焼けたという特殊な事情も加わっているのですから、悪くても若干の名義書換料的な金を地主に支払うという条件だけで、許可の裁判が得られると思われます。

土地
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