地代の供託

供託とは弁済者が弁済の目的物を債権者のために供託所に寄託して債務を免れる制度です。債権者の協力なくして債務を免れうることに実益があります。供託所は、金銭の場合は、法務局、その支局、もしくは法務大臣の指定する出張所です。地代の場合は、地主の住所地を管轄する供託所に供託します。
供託所に備えつけてある供託書に、あなたの住所氏名、地主の住所氏名、賃借している土地の所在と面積、何年何月分の地代であること、地主が地代を受け取らなかったことを書き入れ、記名捺印をします。この供託言は、二通同文のものを提出しますが、一通は供託所が保管し、一通は供託所が供託金を受領したという印を押してあなたに返します。供託所は地主あてにあなたが地代を供託したことを郵便で通知します。これを供託通知書といいますが、この供託通知書も二通同文のものを供託者が書いて供託所に差し出したものを、供託所が一部を郵送し、一部を保管しておくのです。自分で供託書、供託通知書を書くと手続料は一切いりませんが、司法書士に頼んでもよいわけです。
以上が供託の手続ですが、借地人はどのような場合にも供託できるのではありません。地主と顔を合わせるのがいやだからといって供託しても、その供託は有効ではないのです。つまり、供託が有効であるためには、一定の原因が必要です。

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土地

民法九四条は、三個の供託原因を定めています。第一は、債権者が弁済の受領を拒んだ場合です。つまり、債務者が地代を現実に持参したが、地主がそれを受け取ることを実際に断わった場合です。そこで問題となるのは、地主が前もって受け取らないぞといっているときはどうなるかということです。例えば、地主が地代の値上げをして、値上額を持ってこなければ受け取らないといっているようなときです。判例は、借地人が口頭の提供、つまり改めて言葉でいくらの地代を持参してもよいかと地主に聞き合わせ、地主がその金額なら受け取らないといった場合でなければならないとしています。そこで、さらに問題となるのは、借地人が口頭の提供をしたところで地主が受領しないことが明瞭である場合にも、やはり改めて口頭の提供をした後に供託しなければならないかということですが、この場合は、判例も、口頭の提供をなさずに直ちに供託しうるといっています。学説は、前もって、地主が受け取らないといっている場合は、改めて口頭の提供をしても受領しないことが明瞭であっても明瞭でなくても、ともかく供託しうるとして、広く解釈しています。
第二は、債権者が弁済を受領すること能はざるときです。この受領不能については、判例も比較的広く解釈し、例えば、債務者が弁済しようとして電話で存否を問い合わせたが、家にいる者から、債権者もその妻も留守で留守居の自分には分からないと告げられた場合に供託した事実で、受領不能に該当すると判示しています。
第三は、弁済者の過失なくして債権者を催知すること能はざるときです。例えば、地主が死亡して相続人に争いがある場合、地代債権が二人に譲渡され二人ともに対抗要件を具えていない場合、地代置権の差押が重複した場合、などが考えられます。地主が供託所または借地人に対して、供託金を受領する意思表示をする時までの間、または供託の有効無効が裁判上争われている場合は、有効とする判決が確定する時までの間は、借地人は、いつでも供託金を取り戻すことができます。その場合は、供託所に備えつけられた供託物払渡請求書に所定の事項を書き込み、供託書正本をそえなければなりません。また、供託の原因が消滅したことまたは供託が錯誤によったことを事由として取戻しをしようとするときは、その事実を証明する書面を添付しなければなりません。
供託通知書が地主に到達すると、地主は供託金を受領する権利を取得します。債権者が取得するこの供託物還付請求権と債務者が有する前述の供託物取戻請求権とを合わせて供託物払渡請求権といいます。
供託物還付請求権の行使、つまり地主が供託金を受領する手続ですが、供託所に備えつけられた供託物払渡請求書に所定の事項を記入し、普通は、これに供託通知書を添付すればよいのです。ただし、特別な場合として、別に必要な書面や証明書類を添付しなければならない二つの場合があります。第一は、還付を受ける権利を有することを証する書面です。例えば、先に述べた、債権者の確知不能の場合の供託のときにこれが必要です。すなわち、相続が争われている場合は、相続人は戸籍謄本などをもって自分が相続人であることを証明しなければならないわけです。

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