催告期間の従過と契約解除

一ヵ月5万円の地代を三ヵ月分滞納してしまったところ、地主から9月30日に着いた内容証明郵便で、10月10日までに、滞納した地代を払えという催告がきました。あちらこちら金策に歩いたが思うようにならず、ようやく10月12日に15万円の金策をして地主のところへ持っていきましたが、地主は、これを受け取ってくれません。そうして、10月13日借地契約を解除してきました。どうしたらよいでしょうか。もし、はじめの催告に、10月10日までに滞納分を払わないときは、それを条件に解除する、と通知してきていたときは、どうなるでしょうか。
債権者、例えば賃貸人が、賃貸借契約の解除をするためには、普通は、相当の期間を定めて債務者に対して履行の催告をすることになっています。債務者が催告で定めた期間を経過したときに、債権者は解除権を取得し、債権者が改めてその解除権を行使した時、すなわち、契約を解除する旨の意思表示をし、その意思表示が債務者に到達した時に、解除の効果が発生することになります。ですから、論理的にみても、解除権の行使がなされる時までには、契約関係は存在しているということになります。したがって、その時までになされた弁済は有効な弁済といわねばなりません。また、相当な期間というのも相対的なもので、客観的に絶対的な期間とはいえないし、いわば社会の常識上適当な期間と認められるものですから、催告期間を一、二日遅れて弁済したからといって、継続的契約関係を消滅させるような極端な行為を簡単に形式的に認めることは、信義則上も許されないことでしょう。判例も、古くから、履行の催告により債権者が解除権を取得しても、その行使前に債務の履行があったときは、解除権を行使できないとしさらに、催告期間経過後でも、解除権行使前に債務者が履行の提供をしたときには、債権者はその受領を拒むことはできず、このときから債務者は履行遅滞の責を免れるといっています。
そこで、さらに問題となりますのは、債務者が、催告期間経過後、解除権行使前までの間に、履行の提供をする場合、遅延による賠債もあわせて提供することが必要かどうか、ということです。例えば、本問では、三ヵ月分の地代額のほかに、各月の地代額を元本とし滞納時から10月11日までの期間のそれぞれの法定利息をも持参する必要があるかどうかです。理論上、これは必要ですし、判例も必要だといって、それをも提供しなかったら、債権者は受領を拒絶して解除をなすことができるといっています。もっとも、この遅延利息額が僅少で、債務者がうっかりして支払うのを知らなかったのであれば、信義則上、これの不払いを理由とする解除は認められないでしょう。
この場合は、理論的にいえば、催告期間内に履行がなされなければ、催告期間の終了時に条件は成就し、解除の効果が発生し、契約関係は存在しないということになります。したがって、その後になされた債前者の履行は効力を生じないことになるわけです。しかし、催告期間が相当かどうかは前にのべましたように相対的なものですから、信義則上、催告期間経過後間もなく債務者が履行したのであれば、その履行は有効であって、解除の効果は生じないとみてよいのではないかと考えられます。少なくとも、本問の場合は、二日遅れただけということですから、裁判所も、信義則あるいは権利濫用禁止の法理を用いて、解除をしりぞけてくれると思われます。

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