罹災借家人の権利

所有地の一部に自分で建物を建ててAに貸し、また、所有地の一部はBに貸し、Bがそこに建物を建ててCに貸していました。先日に大火事があり、これらの建物は燃えてしまいました。跡地を整理してアパートを建てようと思っています。Bは賛成してくれているのですが、AやCから文句が出る心配はないでしょうか。
借家が火災等で滅失してしまえば、借家関係は自動的に消滅してしまうと考えられています。本問の場合のAやCの借家権の運命もこのとおりであり、彼らは、それぞれの家主であった人にむかって損害賠償の請求などをすることもできません。また、家主であった人が焼跡地に新たに建物を建てたとしても、これは焼けた以前の建物とは法律上別の物ですから、AやCには新築建物を貸してくれるよう求める当然の権利はありません。
したがって、Bが承知しているのでしたら、今まででBに貸し付けてあった部分をも含めた土地全休を使用してアパートを建てることは自由であり、また、できたアパートについてAやCから権利の主張を受けることもありません。ただし、新築されるアパートの室を借りたいとAやCが申し込んできたならば、一般の入居希望者に対するのと同じ借家条件でなら、特別の支障のないかぎりは、その希望を容れてあげるのが、常識にかなったやりかたです。

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土地

罹災都市借地借家臨時処理法というのは、さる太平洋戦争の際に戦災を受けた都市の復興を促進するとともに、罹災者の住宅難を緩和し彼らの生活や営業を安定することに重点をおいて、罹災跡地をめぐっての借地借家関係を合理的に調整する目的をもって、戦争直後に判定された特別法です。このように、同法は、本来は戦災の後始末をするだけのための臨時的な特別法であったのですが、日本では、戦災でなくても、火災、震災、風水害などの災害で相当広い地域にある建物がいっせいに滅失するといった不幸な事態がときどき発生します。そこで、昭和二二年に罹災都市法を改正して、このような大規模な災害があった場合で、その必要があると認められるときには、個別的に政令を出して、具体的に災害と地域とを指定して、これに同法の諸規定を準用することができることにしました。その意味では、罹災都市法は、現在では、借地借家に関する一種の恒久的な特別法になったわけです。
そこで、もし、その大火事について、罹災都市法を適用すると定めた具体的な政令が出ており、問題の土地がその適用地域に含まれているという場合ですと、この土地などをめぐる法律関係は以下のようになります。
あなた自身が貸家をもっていた部分の土地については、罹災当時の建物の借主であったAは、政令の施行の日から二カ年以 内に、地主であるあなたに対して、建物所有の目的で土地を賃借したいという申出をすることにより、他の者に優先して、相当な借地条件で、土地を賃借することができます。他の者があなたにむかって借地の申出をしていたり、すでにあなたと借地契約を締結ずみであっても、Aの賃借権の方が優先するのです。
そして、あなたが、Aからこのような土地賃借申出を受けてから三週間以内に返答をしないと、申出を承諾したものとみなされてしまいます。また、三週間以内に拒絶の意思表示をしても、あなたとして建物所有の目的でその土地を自ら使用する必要がある場合その他正当の事由がある場合でなければ、拒絶はその効果を発揮しないものとされ、あなたの意に反しても、Aの借地権は成立してしまいます。そして、その場合のあなたとAとの間の相当な借地条件というのは、協議がまとまらなければ裁判所の判定によって決められるので、必ずしもあなたの意にみたない条件である場合もありうるわけです。なお、このようにして、Aのために設定される借地権の存続期間は、Aの建てる建物が朽廃しないかぎりは一〇年間、またはあなたとの協議でそれより長い期間を定めればその期間、ということになります。
ただし、このような焼跡地についての優先賃借権というのは、賃借申出をするより先に、地主であるあなたが建物所有の目的でその土地の使用を始めている場合には、認められません。ですから、さきの正当事由のある場合とあわせていいますと、あなたがアパートの建築に着手するか、あるいは少なくとも建築の計画があるだけでも、Aからの借地権主張を封ずることのできる場合が比較的多い、といえるわけです。
あなたがBに貸していた部分の土地につていは、もしBの借地権がそのまま存在する場合ですと、借地権者Bの所有であった建物の滅失の時までの借主であったCは、地主から直接の土地の優先賃借権が認められることに準じて、政令施行の日から二ヵ年内にBに対して、その有する借地権の譲渡の申出をすることによって、他の者に優先して、相当な対価で、Bの借地権の譲渡を受けることができ、それは地主であるあなたも認めなければなりません。この場合Cが取得する借地権は、従来Bがもっていた借地権の続きですから、B時代に決まっていた存続期間のうちの残存期間ということになります。
 ただし、借地権者Bが建物所有の目的ですでに土地の使用を始めていたり、将来土地をB自身で使用する必要など正当の事由があれば、Cによる借地権譲受けが認められないことは、土地賃借申出の場合と同様です。
また、Bの借地部分の跡にアパートを建てることについてBがで示したというのは、Bの借地権がなくなったとみられる場合が多いと思われますが、その場合なら、Cには、借地権の優先譲受権は認められず、その代わり地主に対しての直接の土地優先賃借権が認められる可能性があります。

土地
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