借地契約用途に関する特約

他人に土地を貸す場合には、相手方がどのようにこれを使用するかを契約で決めることができますし、またそのようにするのが普通です。例えば、その土地を建物の敷地として使うか、あるいはその他の工作物を設置するために使うか、または、このような建物その他の工作物を造らないで、材料、製品、車両などの置場として使うか、さらに、建物の敷地とする場合でも、その建物の種類や構造をどのようなものとするかなどを決めるわけです。
このように、借地契約で土地の使用目的を定めるのは、それによって、特に借地人が借地法などによる保護を受けられるかどうか、またどのような保護が与えられるかが決まり、したがって、これらのことをも考慮にいれて、土地を貨すかどうかということや、その使用目的に相応する借地の条件が決められるからです。ですから、借地の条件を決めるについて重要な意味をもつ使用目的は、借地契約の要素であるということができます。
このように、借地契約の締結や内容を決める要素とされた借地の使用目的についての約束は、借地人としては、必ずこれを守らなければならないのであり、これに違反して約束以外の使い方をした場合には、地主は、借地契約を解除することができます。

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土地

(1)1500平方メートルぐらいの空地を所有していますが、製材所を経営している人から、工揚や営業所は他所に持っているので、建物を建てずに材料置場として土地を貸してもらいたい。という申入があったため、この土地を貸しました。ところが借主は、建物を造ろうとしています。建物を建てられると明渡しがむずかしくなるので、どのようにしたらよいでしょうか。
(2)借地人がガソリンスタンドを造るというので、土地を貸しました。ところが借他人は、ガソリンスタンドのほかに、10平方メートルくらいの仮設の小屋も造りました。私が明け渡させたくなったら、いつでも明け渡させることができるのでしょうか。
これらの場合はいずれも、建物の敷地として使うために土地を借りたものではありませんから、借地法や建物保護法は、この借地契約には適用されません。したがって、賃借権について登記をしておかなければ、地主が変わったときには、改めて借地契約を結はなければなりませんし、借地の期間が経過したときは、地主はその返還を請求することができます。また、期間を決めてなければ、いつでも契約を解除することができ、それから1年たてば、その土地を返してもらうことができます。
それでは、前述のような約束で土地を貸したのに、借地人がそこに建物などを造ったらどうなるでしょうか。一般的には、使用方法についての約束に違反するといえるのですが、ケースごとに分けて考えてみましょう。
まず、材料置場として使うことを約束した(1)のケースについてみます。
このケースにおいては、借地人は他に製材所を持ち、たんに材木の置場として使用するために借りたものですから、そこに建物を建てる必要はなく、更地のまま使用することを約束したものであるということができます。賃料その他の借地の条件も、これを前提として決められているぱずです。したがって、そこに建物を造るということは、明らかに借地契約に定められている使用目的に違反することとなります。
それですから、借地人がそこに建築材料を持ち込むなどして、建物を建てる気配を みせたならば、地主は、それを中止するように請求することができます。もし、中止を要求したのに借地人がこれに応じないときは、借地契約を解除することができますし、また、建物の建築によって、著しい損害をこうむるときは、裁判所に訴え、仮処分によって、その建築を差し止めてもらうこともできます。
次に、(2)のケースでは、ガソリンスタンドを造るために土地を借りる場合には、そこに給油施設を造ることはもちろんですが、そのスタンドに勤務する従業員などのための休憩所であるとか、給油やこれに付随するサービスをするのに必要な物品などを保管する倉庫などを造ることが普通です。そうして、このような休憩所や倉庫は、建物にあたるわけですが、その借地の主たる目的は、あくまで、ガソリンスタンドの本体である給油施設を造るということにあるのであって、休憩所とか倉庫などは、これに付随するものにほかならないのです。このように、借地上に建物を所有していても、それが付随的である場合には建物の所有を目的とするとはいえないのでありまして、この借地契約には、借地法などは適用されません。借地人がガソリンスタンドのほかに、10平方メートルくらいの仮設小屋を造ったのであれば、それはここに述べたように、本体たる給油施設に付随したものと認めることができるでしょう。したがって、地主は、借他人がこのような仮設小屋を造ることは認めなければなりませんが、その借地については、借地法が適用されない結果、期間が決めてあれば、その期間が経過したときに、また、期間が決めてなければ、1年前に予告して、土地を返してもらうことができます。
これに対し、ガソリンスタンドを造るといって借りた借地人が、付随的な建物の範囲を超えて本格的な住宅や営業所などを 造ることは、(1)の場合と同様に契約違反になりますから、その中止を要求することができ、これに応じないときは、借地契約を解除してもさしつかえありません。
このように、借地人が契約に定めた使用目的に違反して建物を造ったことを理由に、借地契約を解除するには、原則として、まず、契約に違反して建物を造りもしくは造ろうとしている借他人に、直ちにそれをやめ、もとの状態にかえすよう催告して、違反行為の是正を求め、これに応じないときに、契約を解除することができるといわれています。しかし、契約違反の程度が著しくて、もはや違法な状態を是正することが不可能であるか、もしくは将来正常な借地関係の継続を期待しえないときは、催告をしないで、直ちに契約を解除することができます。
これらのケースを通じ注意しなければならないのは、借地人が契約で決めた借地の使用目的に違反するような建物を建築しているのを知りながら、これをとがめることなく長期間放置してこれを容認するようなことをいったり、地代の値上げを請求したりすると、暗黙のうちに、地主がそのような建物を建てることを認めたことになり、したがって、その借地契約が建物の所有を目的とするものに変わったと認められるということです。
ですから、借他人が契約で決めた使用目的に違反する建物を建築していることを知ったならば、なるべく速やかに、その建築の中止を要求するなどの措置を講じることが必要です。

土地
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