土地管理人との借地契約

借地契約は、土地の所有者である本人と結ぶのが、最も確実な方法であることには相違ありませんが、その本人を代理して、借地契約を結ぶ権限を与えられている代理人と契約することによっても、有効に土地を借りることができます。
代理人のうちには、管理人とか差配とか称する人もありますが、そのようにいわれていなくとも、代理する権限を与えられている人もありますし、また、管理人とか差配と称している人でも、代理する権限のない人もあります。さらに、その代理権の範囲にも、広いものと狭いものとかあり、場合によっては、地代を集めたりするなどある程度の代理権は与えられているけれども、借地契約を結ぶまでの代理権は与えられていないこともあります。
ですから、管理人、差配その他地主を代理しているという人と借地契約についての交渉をする場合には、その人に、地主を代理する権限が与えられているか、また、その代理権は借地契約を結ぶ権限まで含んでいるか、ということが問題となるのです。そこで、管理人や差配と称する人と借地について交渉をし、契約を結ぼうとする場合には、まず、その人が地主を代理する権限を与えられているかどうかを調べる必要があります。

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地主が代理権を与えるには、特に書面を必要とするわけではありませんが、委任状などを書くのが普通ですし、また委任状などがあれば、それだけ代理権を与えたことが明確になるわけですから、管理人とか差配とか称する人に委任状などを見せてもらうよう、もしそれを持っていないならば、地主からそれをもらってくるように要求することが当をえた措置といえるでしょう。
委任状について一言付け加えますと、それは地主が自筆で作成したものであって、地主の署名があるか、少なくとも登録された印鑑が押されていて、印鑑証明が添付されているもの、が望ましいといえます。というのは、それだけの形式が備わっているときは、地主が本当に代理権を与えたものとみてよく、あとからその委任状は他人が勝手に作ったものだなどといわれるおそれがほとんどないからです。
次に、一般に管理人とか差配とか称する人が、地主を代理する権限をもっているかどうかを考えてみますと、通常の場合は、代理権があるとみてよいといえるでしょう。というのは地主がこのような 人を置いているのは、地主自身で借地のことを処理するのは面倒なので、地主の代わりにその事務をとらせるためであり、それには、管理人や差配によって契約をしたり、交渉をしたりすることができるようにしておくのが普通だからです。特に外国に行っている間、土地の管理人を置くような場合には、財産の管理をまかせるために、代理権を与えたと解されることが多いといえます。
管理人や差配と称する人に地主を代理する権限がないときは、それらの人と結んだ借地契約は無効で、その土地を使うことはできず、かりにそこを使っていても、地主から明渡しを求められたならば、これを拒むことはできません。ただ、地主があとでその契約を認めたときは、借地契約は有効となります。
もっとも、管理人や差配に代理権がなくても、特別の事情がある場合には、代理権があったと同様に、借地契約が有効になる ことがあります。
その一は、地主が本当は代理権を与えてはいないが管理人を自分の代理人とするということを公表し、借地人が、管理人は代理権を与えられていると信じていたときです。
その二は、管理人や差配が、かつては地主の代理権を持っていたが、その後これがなくなった場合に、これと契約をした人が、まだ代理権があると信じていたときです。
代理人にどのような権限を与えるかということは、地主と代理人となる管理人や差配などとの契約によって決まります。ところで、借地の場合に問題となるのは、代理人にその土地を処分する権限までが与えられているかどうかということです。なぜならば、土地を処分する権限を与えられ ていない代理人は、五年以上の期間を定めた借地契約を結ぶことができないからです。ですから、代理人と借地契約をするときは、その代理人が土地を処分する権限、少なくとも五年以上の長期間の借地契約をする権限があることを、明確にしておく必要があります。そのためには委任状の中に、代理人に対して、このような権限を与えたことを明記してもらうようにするのが適切な方法です。
特に民法は、代理権の範囲に関し、それが不明確であるときは、処分する権限までは含まないものとしておりますから、ここに述べたことが大切になるのです。
もっとも、土地を処分する権限もしくは長期の借地契約を結ぶ権限が与えられていない代理人と結んだ五年以下の借地契約であっても、借地人は、更新の請求をすることができ、地主は、正当な理由がなければこれを拒絶することはできませんから、借地人としては、三年たったならば必ず土地を明け渡さなければならないというものでもありません。
借地契約をした後でも、管理人や差配が借地のことについて地主から一切をまかされているならば、これらの人と話を決めればそれでさしつかえありません。借地契約を結ぶ権限を与えられている人は、その後のことについても、地主を代理する権限があると考えてよいでしょう。仮に、契約後のことについては、代理権を与えられていない場合でも、借他人がその人にそのような代理権があると信じていた場合には、その人に代理権があったのと同様に取り扱われることになります。
例えば、管理人とか差配は、通常、借地の管理、地代の督促と受領などについて、地主を代理する権限を与えられている場合が多いでしょう。しかし、借地の転貸または借地権の譲渡についての承諾となると、事情はやや異なってきます。というのは、それは、借地を管理するという以上に、新しく土地を貸すということに似た性質をもっているからです。したがって、管理人や差配にさきに述べたような権限があるからといって、承諾の権限まであると考うべきではありません。ただ、地主の印鑑を預かるなどして地主から一切をまかされていると認められるときには、その承諾をえればよいことになります。

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