社寺の所有地の借地

神社または寺院などが所有している土地、いわゆる社寺有地を賃貸することについては、昔から、いろいろな制限がありました。昭和二六年に宗教法人法が施行されるまでは、境内地であると境外地であるとを問わず、氏子総代の同意または主管者の承認がなければ、これを有効に処分することができないとされており、これを欠く借地契約は五年の期間を超えて存続できないと解釈されていました。
しかし、宗教法人法施行後は、境内地の処分についてだけ、特別の制限が加えられるにとどまることになりました。
つまり、宗教法人法の規定によりますと、神社、寺院などの宗教法人が不動産を処分するには、法人の定めた規則によるほか、処分をしようとする日の少なくとも一カ月前に、信者その他の利害関係人に対し、その処分の要旨を示して公告しなければならず、特に境内地である土地について、この手続に違反するときは、その処分が無効となりますが、その相手方がその事実を知らないときは、無効ということはできないと規定されています。

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土地

ここにいう境内地とは、本殿、拝殿、本堂、会堂、僧堂、僧院、信者修行所、社務所、庫裏、教職舎、宗務庁、教務院、教団事務所その他宗教法人の目的のために供される建物および工作物が存在する一画の土地。
参道として用いられる土地。
宗教上の儀式・行事を行なうために用いられる土地。
庭園、山林その他尊厳または風致を保持するために用いられる土地。
歴史、古記等によって、密接な縁故がある土地。
これに掲げた建物、工作物または土地の災害を防止するために用いられる土地を指します。
したがって境外地については、宗教法人法二三条に定められている手続に従わなくとも、社寺は、有効に借地契約を結ぶことができます。
ですから、賃借しようとする土地が境外地であるならば、普通の土地を借りるときと同様に考えればよいわけです。仮に社寺側の取扱手続に前述の法律令規則に違反する点があっても、借地契約は有効で、土地を使うことが妨げられるようなことはありません。
次に、境内地を借りる場合についてみましょう。社寺が、境内地を処分するについては、前述のような手続上の制限があり、これに違反する処分が無効になることはすでに述べたとおりですが、長期の賃貸借をすることは、この処分にあてはまるといえます。したがって、民法六〇二条の期間である五年を超えて存続する借地契約を有効に結ぼうとするならば、このような手続をふまなければならないのですから、境内地を借りる側としては、社寺側でこのような手続をふんだかどうかを確かめる必要があります。
そのためにはまず、宗教法人法に定められている公告がされたかどうかを調べなければならないのですが、そのほかに、社寺の規則に特別な手続の定めがあるかどうか、あるとすればそれが守られているかどうか、また、その定めがないならば、責任役員の過半数がその賃貸に同意しているかどうかも調べるべきでしょう。
もっともこれらのことは、社寺側の内部的な事情ですから、詳細に調査することは困難かもしれません。それだからこそ、宗教法人法は、先に述べたように、借地人が寺社側が手続に違反したことを知らないときは、寺社側は借地契約は無効だと主張することはできないと規定しているのです。だからといって、調査を全然しなくともよいというわけではなく、少なくとも社寺側の代表者や責任者に確かめることは必要だろうと思います。
宗教法人法の手続に違反して、長期の賃貸借が無効となった場合であっても、借地人が三年以下の借地契約でもさしつかえないというのであれば、期間を五年とした借地契約として存続すると解してよいでしょう。この短期の賃貸借についても、期間の点を除けば、借地法が適用されると解されています。
つまり、五年の期間が経過したときでも、借地上に家が建っているときは、借地人は、地主に対して、借地契約の更新を請求することができます。これに対し、寺社側でその更新を拒絶して、借地の明渡しを求めることができますが、それについては、寺社側で、境内地を自分で使う必要があるなどという正当な理由がなければなりません。

土地
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