借地契約と公正証書

借地契約をする場合には、通常は契約書を作りますが、それは地主と借他人の間で、どのような約束をしたかということを、はっきりさせておくためです。契約書を作ることは、借地契約の要件ではありませんから、口約束だけでもよいわけです。
契約書を作っていないと、まだ契約をしてないということがいわれておりますが、そういうものではありません。借地人が、一定の区域の土地に建物を建て、その敷地として使用し、毎月賃料を払っているならば、建物の種類、構造に応じて、存続期間を六〇年もしくは三〇年とする借地契約があることになります。
このことは、借地上の建物を買ったけれども、地主と契約書を取り交わさず、前借地人が払っていたと同額の賃料を払っている場合にもいえることです。ただ期間は、前借地人のときのものを通算することになります。
契約の内容をはっきりさせるため、契約書を作る場合でも、その書式に一定の様式があるわけではありません。書店、文房具店などで市販している印刷した契約書の用紙を利用してもよく、地主と借地人が話し合って、契約書の文案を作って書いてもさしつかえありません。ただこれらの場合には、法律の専門家の意見を聴いた方が無難であるといえます。

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公正証書とは、法律関係の内容を公式の文書によって、明確にするために、公証人が作成する証言をいいます。
公正証書がその効力をもつためには、法律に定められた厳格な方式に従って証書を作成しなければならず、特にこれを作成するについては、その作成を依頼する人、またはその代 理人が、公証人の面前で、どのような内容の借地契約にするかを陳述し、公証人がこれを聴いて証書を作成することになっています。したがって、公正証書は、一般私人の作る契約書に比べますと、その証書が、地主と借地人の真意にもとづいて、しかもその内容を理解して作られたものであることが、はっきり証明されることになります。つまり、私人の作成した契約書ですと、特に、立会人がいないような場合には、その契約書が本当に本人の意思にもとづいて作成されたものであるかどうかが争われること、例えば契約者の一人が全く知らないうちに、印鑑を盗捺して、その契約書を作ったものであるとか、自分は、その契約の内容が自分の意思に反するので契約書を作るつもりはなかったが、相手に脅かされてやむをえず契約書に署名したといわれることかあります。これに対し、公正証書は、公証人が本人の意思をたしかめて作成しますから、まずこのような争いはないことになります。
また、私人の作成した契約書ですと、よく、自分はたしかに契約書に判を押したけれども、契約書の内容は読まなかったので、そこにどういうことが書いてあったのかわからず、したがって、契約書どおりの約束をしたことはない、といって争われることがあります。しかし、公正証書の場合には、公証人が作成した文書を列席した地主と借地人に読み聞かせるか閲覧させ、その承認を得たうえ、これらの人に署名、捺印させ ることになっていますので、契約の内容を知らなかったといわれる心配はまずありません。
次に公正証言で、特に金銭の支払については、債務者が、その支払をしないときは強制執行を受けてもやむをえない、ということを記載しておきますと、約束の金銭の支払を怠ったときは、裁判所に訴えないでも、その公正証書によって強制執行をすることができることになっています。
公正証書で強制執行ができるのは、金銭の支払に限られますから、土地の明渡しの強制執行をするには、必ず裁判所で判決をもらうか、和解や調停で、明渡しの取決めをしなければなりません。
公正証書を作成する手続については、先にも触れましたが、地主と借地人またはこれらのものの代理人が公証人の面前に行って、どのような内容の契約にするかということを述べ、公証人がこれを聴いたうえでこれを書面に作成します。その際、公証人は、出頭した人が本人に間違いないかどうかを確かめなければなりませんが、本人と面識がない場合には、通常、区役所、市町村役場で発行する印鑑証明によって本人であることを、証明させることになっています。
公正証言を作成するのに、特に注意しなければならないのは、代理人によってこれを作る場合です。本人が出頭すれば、先に述べたような契約の内容を諒解させる手続はその本人に対してするわけですから、自分の知らない契約書が作られるおそれはまずありません。
しかし、代理人による場合には、この手続は、代理人に対して行なわれるわけですから、代理人にどういう内容の契約にするかを明らかにして、公正証書の作成をまかせる必要があります。
公正証書を作成するために、白紙委任状を作り、だれを代理人とするかをはっきり決めず、また、公正証書の内容とする契約条項を明確にしないまま、その委任状を他人に渡すと、思いがけないような内容の公正証書が作られ、しかも、それは全く知らなかったものであるといって争うことが困難となりますから、そういうことのないように十分注意をしなければなりません。
そうして、公正証書を作成した場合には、その謄本をもらっておいて、それにどういうことが書かれているかを確かめ、また、これを忘れないようにしておくことが肝要です。
公証人は、決まった場所に役場を設けて、そこで執務をしていますから、公正証書を作るには、そこにいかなければなりません。そうして、公証人は、地主や借地人の住所とか契約の場所などとは関係なく、どこでも公正証書を作ることができますから、便宜な公証人役場を選んで公正証言を作ってもらうことができます。

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