契約書のない借地契約

借地契約を結ぶ場合には、少なくとも、当事者、目的物、賃料、使用目的、期間ということについて、地主と借地人との間に合意が成立しなければなりません。ただ、これらの事項のすべてについて合意が成立しなくとも、法律の規定によって、それが決まってくることかあります。例えば、使用目的について、家を建てるということだけが決められていると、堅固でない普通の建物所有を目的とするものであるとみなされます。
また、借地権の存続期間について、特別の約束をしなければ、つまり、期間の定めをしないときは、堅固な建物の敷地の場合には六〇年、その他の普通の建物の敷地の場合には三〇年、借地権が存続することになります。
さらに、契約を結ぶ当初に、これらの事項のすべてを決めておかなくとも、例えば、賃料は、後で協議して決めるとか、公正な第三者に決めてもらうというように、これを決める方法について合意をしておけば、それで借地契約は有効に成立します。
このように、先に掲げた諸事項について合意が成立し、もしくは、これがなんらかの方法で決定されるものであるならば、借地契約は成立しているのであり、その合意は、必ずしも書面(契約書)に書き表わされていることは必要ではありません。つまり、口約束であってもよいわけです。

スポンサーリンク
土地

家を建てるため、地主との口約束で地代を決め、土地を借り、家を建てて住み、地代も払っているという場合を考えてきますと、当事者は、地主とあなたとであり、借地の目的物となっている土地は、建てた家の敷地として使用している範囲であるということができ、地代は確定しているのです。そうして、その使用目的は、一応堅固でない普通の家を建てるためであるということができますが、あなたの建てた家が、鉄筋コンクリート造りなどの堅固な家で、地主が、このことを十分承知で地代を決めたり、地代を受け取っているならば、堅固な家の所有を目的とするものであるということがいえます。
借地権の存続期間については、特別の合意がなかったといえますので、それは、借地の使用目的が、堅固な家の敷地として使用するものであるか、または、その他の普通の家の敷地として使用するものであるかによって、六〇年または三〇年と決まっているわけです。
そのほか、特別の取決めがなされていなければ、民法や借地法の規定かそのまま適用されますから、とくに有利にもならないかわりに、不利益を受けるということもありません。したがって、契約書を作成しないで、そのままにしておいても、さしつかえないということができます。
しかし、契約書がないと、地主からいつどのようなことをいわれるか不安であるということもありましよう。そうでなくとも、ここに述べたように決まっていることであるならば、これを契約書に書いておけば、何となく安心になるというのも人情です。特に、当事者のいずれかが死亡した場合などを考えてみますと、あとに残った相続人などが、事情がわからないで、紛争を起こすということも考えられます。それですから、できれば、契約書を作っておいた方がよいということになります。その場合、借地契約の内容は、すでに決まっているのですから、ことさらそれよりも不利益な契約書を作ることはありません。
借地に建てられている家を買い、地主に名義書換料を払った場合も、ここに述べてきところと同様に考えてよいのです。
つまり、借地に建てられている家を買ったということは、同時に、建物の前所有者から敷地の借地権を譲り受けたものであり、地主に名義書換料を払ったということは、地主が、敷地の借地権の譲受けを承諾したことにほかならず、前の借地権者と同じ条件で、その敷地を使うことができるのです。ただ、引き継いだ借地権の存続期間は、名義書換料を払ったとき特別の約束をしなければ、前の借地権者が決めた借地権の存続期間から、すでに経過した期間を差し引いたものになります。
前の借他人が契約書を作っていなかったとしても、その借地契約の内容は決まっているのですから、それをあなたが引き継いだことになります。したがって、賃料も、前の借他人が払っていたと同額のものを、以前と同様の方法で、地主のところへ特っていって支払うか、または、地主の方から取り立てにきたときに支払うかすればよいのです。
なお、前の借他人と地主との間に、特別の口約束があった揚合にも、それは、あなたに引き継がれることになりますから、そういう特約があったかどうかを前の借他人平地主に確かめてみるのが慎重を期するゆえんであるといえます。
契約書がないままで土地を借りていて、その後に契約書を作るのも、契約をするときに契約書を作るのと変わりはありません。しかし、契約途中で契約書を作る場合は、先に説明しましたように、契約の内容は、すでに決まっているのでから、このことを念頭にいれておく必要があります。つまり、契約書を作るというのは、今までの契約の内容をはっきりさせるということなのです。もし、従来の賃料などと違った賃料などを契約書に書いたとしたならば、契約書を作るときに賃料などを改訂したことになります。
その際問題となるのは、借地の期間です。従前の契約で期間を決めてなかったならば、当初契約をしたときから三〇年もしくは六〇年間借地権が存続するものとして、契約書を作る必要があります。契約書でそれより短い期間を決めても、その効力が認められないといえるでしょう。

土地
土地を貸すための事前調査/ 土地を借りるときの調査/ 農地を宅地にして借りる/ 借地契約の内容/ 借地契約の特約の効力/ 市販の借地契約書での契約/ 借地契約の保証人/ 契約書のない借地契約/ 借地契約と公正証書/ 社寺の所有地の借地/ 土地管理人との借地契約/ 借地上の建物の利用に関する特約/ 借地契約用途に関する特約/ 罹災借家人の権利/ 区分地上権の設定/ 土地の使用賃借/ 親族間での土地の貸借り/ 地代の値上げと値下げ/ 環境の変化と地代の変更/ 地代支払の相手方/ 借地人の妻の地代支払義務/ 地代の支払方法/ 地主の修繕義務と地代の支払/ 地代の受取証/ 地代滞納に関する特約の効力/ 借地人が地代を滞納した場合の措置/ 催告期間の従過と契約解除/ 建物区分所有と借地権/ 地代の供託/ 借地の権利金/ 造成地の賃借と権利金の前払い/ 借地権の譲渡/ 権利金の取戻し/ 地代の滞納と敷金による充当/ 地主の変更と敷金/ 借地の立退料/ 借地権の登記/ 建物のない借地権の対抗力/ 建物未登記の借地人と新地主/ 新地主と立退料、買取請求/ 借地人のいる土地の購入/ 抵当権付の土地の借地/ 借地権設定後の抵当権設定/ 土地の二重賃貸/ 敷地地番の違った建物登記/ 建物登記による対抗力の及ぶ範囲/ 借地上所有建物の名義人/ 借地の転貸借と借地権の登記/ 借地人が底地を買う場合/

       copyrght(c).土地の買い方ガイド.all rights reserved

スポンサーリンク

プライバシーポリシー