市販の借地契約書での契約

地主につごうがよく、借地人に不利益な特約が許される範囲は、借地法の規定や民法、借地法の目的によって決まり、その範囲を超えた特約は、無効であるといわなければなりません。例えば「地主は、土地を使用する必要が生じたときは、いつでも借地の返還を請求することができ、この場合には、借地人は、借地上の建物を収去して、借地を地主に明け渡さなければならない」とか、「借地契約の期間は、一〇年とし、借他人は、更新の請求をしない」というような条項は、借地法の規定に違反して無効ですし、また、「賃料の支払か二回でも怠ったときは、借地契約は当然解除となる」というような特約も、一般には、その効力を認めることはできませ ん。このことは、市販されている印刷の契約書を使う場合であっても、変わりはありません。
したがって、このような無効の条項が印刷されている契約書に印鑑を押しても、その条項があるからといって、格別不利益を受けることにはなりません。しかし、無効の条項でも、そのような条項があることによって、無用の紛争を起こすことになりますから、地主に話をして、そのような条項は、削除するようにした方がよいのです。もっとも、条項いかんによっては、これを訂正することもできるでしょう。例えば、堅固な建物を建てるための敷地として、土地を借りようとする場合に、契約書に、借地の期間が二〇年と印刷されているならば、これを三〇年以上に訂正すればよいでしょう。しかし、例示された条項は、これを訂正する余地もないほど不当なものといえます。
次に、「借他人は、地主の承諾がなけ れば、借地上の建物を増・改築することはできない」とか、「土地の改修は、借地人がその費用で行ない、地主には迷惑をかけない」というような特約は、いちおう有効といわれています。ですから、そのような特約をするつもりがなく、その条項が記載されている印刷の契約書には不満であるというならば、当然、その条項の削除を求めることになり、煩わしくとも、別にこれを除いた契約書を作成しなければなりません。
たとえ地主が、そのような条項があっても、それを押しつける気持はないとか、それは形だけのことで、断わりなしに増・改築をしてもよく、土地の改修は、私の方でしますから、心配しないで印鑑を押してもらいたい、といわれたとしても、自分の意思にそわない契約書に印鑑を押すことは、やめなければなりません。というのは、意にそわない契約書に印鑑を押したところ、後日、地主が前言をひるがえし、そういうことをいわなかったと主張して裁判ざたになったような場合には、書かれたものがあると、それと異なった契約ができていたことを証拠によって明らかにすることが困難になるからです。したがって、この条項に不服であれば、これを削除するとか、よく話し合って、納得のいく線で妥協し、それを契約書に書き入れるようにする必要があります。
借地法などによって、不合理な借地条件が是正される以前から、判例は、借地人にとって、社会経済上きわめて不利な条項が契約で決められているような場合には、例文解釈という考え方を採りいれて、借地人を保護していました。例えば、契約書に、二年間で家を収去してその借地を返すとか、地主の通知があれば、家を収去して借地を明け渡すというような条項があっても、それでは、家を所有するために土地を借りたという目的を達しないから、特別の事情がないかぎり、当事者はこれに拘束される意思がなく、例文にすぎないとして、その条項の効力を否定した例がかなりあります。近年でも、一ヵ月でも賃料の支払を怠ったときは、賃貸借を解除するとの条項を、例文にすぎないとした例があります。

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