土地を貸すための事前調査

家を建てるという人に、いったん土地を貸すと、その条件いかんによって、地主は、建物保護法とか借地法などにより、いろいろな拘束を受け、特に借地上に建てられた家が立腐れになるまでは、容易には借地を返してもらえないというように、相当永い期間にわたって、その土地を貨しておかなければならないことにもなります。したがって、家を建てるから、土地を貨してもらいたいという申込があった場合には、まず、その申込に応じて土地を貸したならば、どういう結果になるかということ を考えてみる必要があります。そうして、相当永い期間貸すことになるというのであれば、その人に貸しても大丈夫であるかということ、いいかえれば、約束を必ず守って、義務を履行してもらえるかを調べてみなければなりません。
どのような場合に、地主が借地法などの拘束を受け、また借地の期間がどうなるかということについては、だいたいにおいて、どのような目的で、どのような構造の家を建てるかということがその目安となるので、このことをはっきりさせたうえで、貸すかどうか、また貸すとすれば、どのような条件とするかを決めるのがよいでしょう。また、借地の目的や家の構造によって、地主は、どのようなことをしなければならないか、借主は、どのような方法で使うことが許されるかなどという重要なことがらが決まることにもなります。
借地の目的についていいますと、借地法は、家を所有する目的で土地を借りる場合にだけ適用されます。その家は、住宅だけに限らず、事務所、工場、倉庫などでもさしつかえないのですが、たとえば、駐車場、材料置場、作業用地などとして貸す場合や、広告塔などの工作物をつくるための敷地として貸す場合には、借地法は適用されません。

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土地

家を建てるからという場合は、家を所有するために、その敷地とすることを主な目的としている場合を指すのですから、ここに例示したように他の目的で土地を借り、これに付随して家を建てるような場合には、借地法の適用はありません。ですから、家を建てるという場合に、その家が、どのような大きさと構造のもので、借地をする目的のなかで、それがどれだけの重要性をもつことになるかを調べる必要があります。
また、家を建てる目的いかんによっては、ごく短い期間だけ土地を利用しさえすればよい場合もあります。このような場合には、そのことをはっきりさせておけば、借地を短期間で返してもらうこともできるのですから、このことを十分確かめた うえ、話を進めるのがよいのです。
家を建てることを主な目的とするときでも、建てる家の構造いかんによって、借地の期間が違ってきます。つまり、鉄筋コンクリート造のように堅固な建物の場合には、期間を決めなければ60年、期間を約束するときでも、30年以上貸しておかなければなりません。これに対し、普通の建物の場合には、期間を決めないときは30年間、期間を決めるときでも20年以上は、貸さなければなりません。
そうして、借地上に家があれば、契約を継続しなければならず、事実上、その家が立ち腐れるまでは、土地を貸さなければならないことになります。
そのうえ、借地の期間が過ぎたので、自分で使う必要上、その借地を返してもらおうとしたり、借他人が地上の家を他人に売った際に、その借地の明渡しを求めたりすると、借地上の家を買わなければならない場合も生じてきます。それですから、いろいろな意味で、どのような家を建てようとしているかをよく調べておく話題があります。
以上述べたところからもわかるように、家の敷地として土地を貸しますと、原則として、その貸借関係は、永い年月にわたって継続することになりますから、十分信用できる人、つまり、契約で決めたことを誠実に守り、誠実に義務を履行する人に貸すようにしたいものです。
もとより、借他人が地代をきちんと払わないとか、約束に違反して土地を使い、もしくは地主に無断で転貸をしたなどというように、地主の信頼にそむくような義務違反があれば、借地契約を解除して、借地の明渡しを求めることができるのですが、その解決には、時間と費用がかかるので、なるべくそのようなことを起こさないような人を選ぶことが必要です。そのために、土地を借りようとする人の人物や信用状態をできるだけ詳しく調べることが望ましいといえます。そのうちでも、その人が、地代を確実に支払うだけの資力をもっているかどうかということが、もっとも重要なことがらです。なぜならば、借地が長期にわたる場合には、地主が土地についてもっている経済的利益の大半は、地代に代わってしまうからです。
もし、土地を借りたいという相手方が会社である場合には、特にその会社の資産状態をよく調べておく必要があります。大会社の場合には、会社の財産や資産は、はっきりしていて、会社の信用は、それによってきまるのですが、いわゆる個人会社とか同族会社の場合には、会社の信用は、社長やその一族の資産によってきまる場合が多いといえるでしょう。例えば会社の資本金が多くなくても、社長が資産家である場合には、世間では、信用のある会社で通ることになりましょう。しかし、法律上は、会社の財産は、あくまで会社名義のものだけに限られ、社長個人の財産は、当然には、会社の債務の引当てにはなりません。したがって、会社に土地を貸すときは、その会社が、会社名義でどのような財産を所有し、債務を負っているかを調べる必要があります。
そうして、もし、会社の財産だけでは、地代や権利金の支払について不安があり、社長個人が巨額の財産をもっていて、それが信用の基礎になるというのであれば、その社長個人に土地を貸して、会社に転貸させるとか、会社に土地を貸すけれども、その借地について、社長を会社の保証人なり連帯保証人とするのが適切であるということになります。
家を建てるために土地を貸すときは、それが長期にかたるのが原則ですが、今は空地ではあるけれども、二、三年後には、自分でそこに家を建てる予定なので、それまでの期間一時的に貸すということもできます。このように、土地を短期間で返してもらう必要がある場合には、相手にその事情を納得させ、これを承知のうえで借りるかどうかを決めさせる必要があります。

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