公有水面の埋立て手続き

埋立免許出願人は免許権者に対して、一定の事項を記載した願書を提出し、一定の図書をこれに添付しなければなりません。埋立免許の出願があったときは、免許権者は遅滞なくその事件の要領を告示するとともに、出願書類および関係図書を三週間公衆の縦覧に供し、地元市町村長の意見を求め、利害関係者の意見書提出の手続にはいる段取りです。さらに、免許権者は公水法四条の免許基準への出願の適合性を審査します。ここで、埋立工事施行区域内の公有水面に漁業権者その他の権利者があるときはその者の同意がなければ免許することができないのが原則になっていますが、現実には埋立出願人は出願前に、漁業権者に損失補償をして漁業権を放棄させるのが普通の扱いです。さらに、埋立免許の審査においては、埋立てが環境に対して及ぼす影響が審査されるので、出願前に、環境影響事前評価(環境アセスメント)がなされます。なお、一定の埋立免許については国土交通大臣の認可を要することとされ、埋立面積が五○ヘクタールを超える埋立ておよび環境保全に特別の配慮を要する埋立てについては環境庁長官の意見を求めなければなりません。埋立てが完成すると竣功認可が与えられます。

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公有水面の埋立免許権者は都道府県知事ですが、公有水面埋立法の規定による都道府県知事の職権は、港湾区域内または港湾区域内の公有水面の埋立てに係る埋立地については港湾管理者の長が行なうことになっています。現実には埋立てに適する海面は港湾区域にとりこまれているものが多いので、知事よりは港湾管理者の長が埋立免許権者であることが多くなっています。例えばポートアイランド、六甲アイランドなど巨大な埋立てで有名な神戸港では神戸市長が神戸港管理者の長として埋立免許権者です。埋立出願は私人にもなしえますが、近年の巨大な臨海工業地帯の多くは公共団体が埋立権者となって埋め立て、分譲しているものです。この場合には、たとえば、県が知事を代表者として埋立免許を出願し、同じ県の知事が今度は国の機関委任事務を処理する国の機関としてこの免許出願を審査する、というように、同し知事が一人二役をすることになっており、埋立免許によって、埋立事業を適正に審査することができるか疑わしい制度になっています。
埋立免許をする場合には事前に地元市町村議会の議決を経た市町村長の意見の聴取が必要です。これは法律の建前上はあくまで諮問にすぎないため、地元市町村長が反対意見を唱えても、免許権者は法律上は免許しうることになっていますが、実際上は地元の協力がなければ埋立事業に支障をきたすため、地元市町村長の反対意見が無視されることはありません。むしろ、問題なのは、市町村区域が広大な場合には埋立地の近隣住民の反対を無視して、地元市町村全体としては埋立てによる開発利益を期待して埋立て賛成にまわりやすく、それが多数決議会制民主主義の名の下に正当化されかねないことです。
漁業協同組合が漁業権を放棄するには特別決議を要するここで、問題は、漁業権は確かに全体の組合に属しますが、現実に漁業を営む権利は漁業組合の漁業権行使規則により、漁業組合のなかでも一部地区民に排他的に与えられている場合に、漁業組合の待別決議だけで漁業権を放棄することができるのか、それとも、漁業を営む権利を有している一部地区民の同意をとくに徴する必要があるのか、という点に存します。前者の解釈は法律の文言には合致しますが、少数者の利益を多数の横暴で剥奪することを認めてしまう難点があります。漁業組合が漁業権の行使規則を変更するには、漁業協同組合の特別決議のほかに、漁業権を排他的に行使しうる権利を有する関係地区組合員の三分の二以上の書面による同意を要するとの規定がおかれて、少数権利者の保護が図られています。そこで、漁業権の放棄の場合にも漁業権行使規則の変更に準じて漁業法八条五項、三項を類推適用し、関係地区民の三分の二以上の書面による同意を要するという解釈がなりたちます。行政当局も、この一審判決後、漁業権の放棄により、必然的に漁業権行使規則にもとづく漁業権行使権者の漁業の行使に実質的な影響が及ぶために、書面同意制度の趣旨をふえんして漁業権自体の処分の前に必ず漁業権行使規則の廃止または変更の手続をとるよう、指導しています。しかし、伊達火力発電所埋立免許取消訴訟一審判決は、漁業権放棄に際しては法の文理上関係地区民の書面による三分の二の同意は不要であるとの従前の行政解釈を採用しました。
公有水面埋立法は四条の埋立免許基準において、其の埋立が環境保全及災害防止に付十分配慮せられたるものなること。埋立地の用途が土地利用又は環境保全に関する法律に基く計画に違背せざることと定め、環境保全の観点について配慮しています。そこで、埋立てによって環境にどのような影響が生じるかを埋立免許の時点において判断しなければなりません。それが環境アセスメントです。これについては、同法上は明文では規定がありませんが、同法施行規用三条八項や通達において環境アセスメントが必要とされています。その他、瀬戸内海環境保全臨時措置法や港湾法でも環境アセスメントが要求されています。
免許基準に照らして審査の結果免許することになったときは、免許の日および免許出願書類と添付図書を告示することになります。法律の建前上は正式に出願したものを審査するはずですが、実際には正式出願前に行政指導により事前審査が行なわれるので、正式出願して免許を拒否される例はほとんどありません。
埋立免許を得たら、埋立権者は埋立工事の着手および工事の竣功を免許権者の指定する期間内にしなければなりません。埋立工事が完成した場合には、知事は竣功認可をします。これは認可という用語を用いていますが、埋立免許通りに工事が完成したことを確認する講学上の確認行為です。法律はこの確認行為たる竣功認可に埋立地所有権賦与という効果を結ぴつけています。

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