公共用公物の占用

住民の利用のために設置される公共用公物については、その本来の用途に合致するかぎり、何人もこれを、別段の行攻主体の行為をまたず、自由に使用しうるのが原則です。これに対して、道路上や公園敷地内に、電力会社が電柱を設置し、あるいは、その地面下に、ガス会社や水道事業者がガス管、水管を埋設することは、当該公共用公物の本来の用途に含まれるとはいえません。さらに、一旦電柱などが設置されるなら、設置場所は、継続的に特定事業者に占用され、また、一般公衆による自由使用を損なうおそれもあります。したがって、これらの用法は、公共用公物の自由使用にあたらず、その実現にあたって、事業者等は、特別の使用権を取得することを要します。各種の公共用公物に関する現行法は、その上に一定の施設を設け、これを継続的に使用する場合を占用とよび、特定人による公共用公物の部分的な独占的使用たる占用については、一般公衆の自由使用を確保する見地から、公益上、社会的にやむをえないと考えられるものに限定して、管理者の許可によるものとしています。

スポンサーリンク
土地

占用を許容する管理者の行為について、現行法は許可の語を用いています。しかし、同じく公共用公物について、例えば公園内で集会を行なう場合に必要とされる使用の許可とは性質を異にします。後者は、いわゆる許可使用の場合であり、使用の目的、用法は公共用公物の本来の用途に合致しますが、ただ、他の住民の使用との調整や物的管理の見地から許可制がとられるのであり、そこでいう許可は、一般的禁止を特定の者に対して解除し、その自由権を回復せしめるものとして、講学上の許可にあたります。これに対して、前者、占用許可は、公共用公物の本来の用途に合致しない特別の使用の権利を設定する行為であり、講学上の、設権行為たる特許にあたります。ここから、占用許可を得てなされる使用を特許使用といい、また、特別の使用権を取得してなされることから、特別使用ともいいます。占用許可を特許つまり行政処分とするのが通説ですが、公法上の契約と解する説もあります。
道路管理者は、占用者から占用料を徴収することができ、その額および徴収方法は道路管理者たる地方公共団体の条例の定めによる都市公園については、法律には占用料に関する規定はありませんが、条例により使用料等の名目の下で、額、徴取方法が定められています。
一般に、特許は、相手方国民の自由権を前提とせず、その許否について、行政庁に裁量書が広く認められる傾向にありました。しかし、公共用公物の占用許可については、公共の用に供すべき趣旨から、現行法は、占用の目的、施設を限定し、また許可基準を政令で定めるペきものとするなど、管理者の裁量権を不許可の方向で限界づけています。ガス、電気、水道などの公共企業による占用については事情は異なります。公共企業は、営業の開始時点で、厳格な要件を課され、また経営についても行政権による監督をうけますが、他方では、地域における独占的経営が保障され、公共用の土地の使用も各事業法により保障されているこれをうけて、道路法では、一定の条件をみたす占用許可申請に対し道路管理者に許可が義務づけられています。
ガス、電気事業に必要な公共用地の占用は、必ずしも占用許可によらず、一種の契約にもとづいてなされることがあります。いわゆる報償契約であり、その歴史は古く、明治三○年代よりみられます。報償契約とは、市町村側がその公共用地の占用権を与え占用料を徴収しないことを約するのに対し、事業者側が報償金の納付、料金その他の供給条件について市町村の監督をうけること、一定の条件の下で市町村の買収に応じることを約するなどを内容とする双務的契約です。報償契約については、その有効、無効、性質についての私法契約、公法契約両説など学説上多くの議論がなされてきました。歴史的には、公共企業規制立法の未整備な段階で、市町村の起業規制と財政需要の要請をみたしたといえますが、各種の事業法が整備された現行法の下では、契約内容の多くが、法律上履行不能ないし法律事項となり、現在では、電気事業関係では、ほとんど廃止され、ガス事業関係などでみられるにすぎません。現存する報償契約について、とくに占用料を徴取せず、報償金のみとすることに対しては、報償金額が占用料に比して著しく低額でありこのような占用料の免除を、法律ないし条例に反して契約でなしうるかには疑問があります。

土地
道路の種類/ 道路の設置と管理/ 公共施設の土地の私権行使/ 河川敷占用許可の法的性質/ 公園予定地の時効取得/ 公共用公物の法的性質/ 入浜権/ 公共用公物の占用/ 公有水面の埋立て手続き/

       copyrght(c).土地の買い方ガイド.all rights reserved

スポンサーリンク

プライバシーポリシー