公共施設の土地の私権行使

道路や都市公園は行政主体によって直接公の目的に供用される有体物、つまり学問上公物と観念されています。そして公物が公の目的に供用される場合、その公の目的を達成するため、私法的規律の対象から除外されたり、私権の行使が制約されるのが通例です。例えば道路法は道路を構成する敷地その他の物件については、私権を行使することができません。但し、所有権を移転し、又は抵当権を設定し若しくは移転することを妨げないと規定し、都市公園法二二条も同様の規定を設けています。

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公物に対する私権の制限の意義を検討する前提として、公物の所有権をどのように理解するかが問題とされています。公物に対する所有権につき、公所有権説は公の目的のため公物を支配し管理する権利が公所有権であり、その所有権はその限度で公法的効果をもつと説いています。これに対し私所有権説は公物は一般的に私所有権の対象となり、国または公共団体の所有する物件につきその所有権は私人の所有権と異ならないとしています。この両説の対立については、いずれの学説も公物の法律的構造の可能な型を示すものであり、各実定法上は政治的社会的経済的意義を考え目的に合うよう規定することができるという批判があります。また、公所有権説にいう公所有権は公物管理権にすぎず、私所有権説も公物を強いて私所有権の対象として把握しなければならないか疑わしく両説は理論的興味はともかく実益に乏しいとの批判もあります。この問題についてはそれらの批判がなされているように各実定法がどのように規定するかという点から検討されるべきことであって、一般的には公物も私所有権の対象となり、公共の用に供するという目的見地から公物として公用制限に服する範囲において私権が制約されると解するのが妥当です。
公物は公の目的達成に必要な限度で私法上の法律行為の目的物となることが制限されます。このような制限は各実定公物法により相違があります。道路、都市公園では、前述のとおり原則として私権の行使が否定され、例えば道路に対し私使用権を設定することは原則としてできず、通常は占用許可という形式をとりまた道路、都市公園敷地を管理者が賃借している場合その期間が満了しても公用廃止をしないかぎりただちに返還を請求できないものと解されます。しかし、道路、都市公園は絶対に私権の行使が認められないのではなく、公共の用に供することが阻害されない所有権の移転、抵当権の設定もしくは移転は各法規により許容しています。したがって、道路、都市公園につき右のごとき物権変動を認める以上強制執行ないし任意競売をすることも可能であると解されます。道路、都市公園について私権の制限の効力が発生するのは供用開始行為があった時からです。ただし、道路予定地、都市公園予定地については供用開始前であっても私権の行使の制限があります。また私権の行使の制限の効力が消滅するのは公用廃止行為があったときですが、道路については不用物件となった後でも管理期間中は私権の行使の制約をうける旨道路法九二条四項に規定があります。
公物に民法一六二条に規定する取得時効が適用されるかについて学説が分かれています。公物が公物の性質を有するまま取得時効の規定の適用を認めることは公の目的に供することと相容れないとする否定説に対し、時効制度の趣旨に照らし公物と私物とを区別する理由がないとする肯定説が対立しています。肯定説はさらに道路などについて公用制限をうけたまま時効取得しうるとする説と時効取得により完全な所有権を取得するとする説に分かれます。さらに、否定説の立場にたちながら永続した事実状態を尊重し、具体的解決を図るため民法一六二条に定める要件を充足する事実が継続すれば少なくとも黙示の公用廃止の意思表示があったものとして取得時効の成立を認める見解もあります。判例では、土地区画整理法により保留地とされた土地が都市公園予定地として決定された後その土地について取得時効の成立を認めています。
道路、都市公園は私権の目的となりえ、所有権の移転など物権変動の対象となるため、これら公物の管理者が権原の取得を第三者に対抗するためには不動産登記法による登記を経なければなりません。すなわち、民法一七七条の適用があります。判例では、道路管理者に対する損害賠償事件において道路管理者の不法占拠による損害賠償を否定する前提間題の判旨で、道路管理者が対抗要件を欠くため道路敷地の使用権原を取得した後に敷地の所有権を取得し登記を経た第三者に対し対抗でぎなくなることを認めています。なお、道路ないし都市公園を構成する土地が行政財産である場合には、国有財産法ないし地方自治法の適用をうけることになります。したがって行政財産は、これを貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、もしくは出資の目的とし、又はこれに私権を設定することができないため、この点からも私権の行使の制約をうけることになります。

土地
道路の種類/ 道路の設置と管理/ 公共施設の土地の私権行使/ 河川敷占用許可の法的性質/ 公園予定地の時効取得/ 公共用公物の法的性質/ 入浜権/ 公共用公物の占用/ 公有水面の埋立て手続き/

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