道路の設置と管理

道路は、一般交通の用に供される公物であって、道路管理者は、この道路を常時良好な状態に保つよう維持修繕し、一般交通に支障を及ぼさないように努める責務を有し、もし道路の設置または管理に暇疵があったため他人に損害を生じたときは国または地方公共団体は賠償責任を負います。道路は、国賠法二条に例示されているように同条に定める責任の典型例であり、道路に関する事例がきわめて多い。この国賠法二条に定める賠償責任は、民法七一七条の土地の工作物責任と同じく危険責任の思想にもとづきます。しかし民法七一七条よりも責任の範囲は広く、しかも無過失責任であることに異論はありません。

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土地

道路の設置の瑕疵とは営造物の設定または建造に不完全な点があること、例えば設計の不備や材料の粗悪などであり、管理の暇疵とは営造物の維持修繕ならびに保管に不完全な点があることを指します。道路について暇疵があるとは、道路が通常備えるべき安全性に欠如していることをいうとするのが通説です。この通常備えるべき安全性も個々の具体的な道路の状況により異なり、例えば高速道路では高度の安全性が要求されます。次に、道路の安全性とは単に当該道路における交通の安全確保のみでなく道路の崩壊等により当該道路の付近に居住する住民の生命身体財産を侵害しないような安全性を確保するものであるべきとするのが判例です。
道路の設置管理の暇疵の意義について、道路管理者の道路の安全性保持に関する義務違反をその要素とするかについて学説が分かれています。客観説では、暇疵とは客観的な基準に照らし営造物が通常有すべき性状や設備を具備していないこと、すなわち安全性の欠如が設置管理上のものであるかぎり、その理由が管理者の管理義務違反によるかどうかを問わないとする主観説は、公の営造物を安全良好に保つぺき作為または不作為義務が課されている管理者がこの義務に違反することにあるとしています。また、管理の暇疵には営造物自体の客観的暇疵のみならず、これに付帯した措置も考慮され公の営造物を安全良好に管理する管理者の作為または不作為義務に違反したことも関連するとする折衷説もあります。判例は客観説をとると一般的に考えられていますが、その評価は分かれており、また県道上に工事標識板赤色灯標柱などが倒れ赤色灯が消えたままであっても道路の管理に暇疵がないとされた判例、国道上に駐車中の故障車を約八七時間放置していたことが道路管理の暇疵にあたるとされた判例についても純粋な客観説をとっていないという指摘があります。なお、さらに、従来の客観説に対し主観説的立場から国賠法二条の暇疵は国が負うべき損害回避義務違反を本質とするという見解が近時出されています。道路の設置管理の暇疵をどのように解するかは、道路自体の物理的暇疵に重点をおけば設置管理そのものは間題性が希薄となり、反対に設置管理を強調すればつきつめると義務違反を考慮せざるをえないとするのが一般的な傾向です。
道路の暇疵は、穴ぼこ、路面の凍結、道路の排水施設の不全、土砂などの放置、橋梁の親柱や欄干の不全、土砂の崩壊など、落石、交通安全施設の不全、工事の実施方法の暇疵など、道路構造、付帯施設の欠陥、道路管理上の欠陥があげられます。例えば、暇疵があったとされた事例として、道路の穴ぼこ、道路側溝工事の誤りにより排水に支障をきたし民家を浸水させた例、高速道路での路面凍結と濃霧に起因して玉突事故が生じた例、橋梁の幅員が滅少していたため川に転落した例、屋根から国道上へ積雪が落下して人が負傷した例、飛騨川バス転落事件など多数あります。反対に暇疵がなかったとされた事例として、下り勾配の路面に滑り止め舗装をしてないことは国道に暇疵がないとした例、高速道路の法面に雑草をうえたことおよび刈り取り搬出しないため火災が生じたことについて暇疵はないとした例、高速自動車国道において落下物をすみやかに排除しなかったため生じた事故に瑕疵がないとした例、工区間を標示する方法が充分具有されていたため通常備えるべき安全性に欠如がないと認めた例などが見受けられます。
道路の設置管理の暇疵は自然現象に起因すると否とを問いません。ただ、それが不可抗力によって災害が発生したことが立証される場合に暇疵が否定されます。この立証責任は被告にあります。なお、自然災害と道路の設置管理の暇疵が競合した場合につき、飛騨川バス転落事件第一審判決では、賠償の範囲は事故発生の諸原因のうち不可抗力により寄与している部分を除いた都分に制限されるとしています。このような責任の割合的認定という考え方については賛否両論があります。

土地
道路の種類/ 道路の設置と管理/ 公共施設の土地の私権行使/ 河川敷占用許可の法的性質/ 公園予定地の時効取得/ 公共用公物の法的性質/ 入浜権/ 公共用公物の占用/ 公有水面の埋立て手続き/

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