借地契約の契約違反

借地権には、賃借権のほかに地上権その他様々な種類の権利がありますが、ここでは特に賃借権の場合を中心として契約違反の問題を説明しておきます。もっとも、一口に契約違反といっても、厳密な意味で地主と借地人(賃借人)とのあいだで結ばれている合意内容に違反することだけではなく、ひろく法律の規定によって地主または借地人に義務づけられているものに違反する場合をも合んで説明しておきます。その意味では、ここで説明する契約違反というのは、結局、合意または法律の規定によって地主あるいは借地人に義務づけられているものに違反することをいうことになります。
さて、この契約違反についても、地主のほうが違反する場合と、借地人のほうが違反する場合とがあります。ここではその両方の場合について説明しますが、特に地主の契約違反については、その法律上の原則にはかなり技術的な要素がともないますので、注意しなければなりません。

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土地

借地の石垣が大雨で崩れ、建物が傾いてしまいました。また、石垣の崩れた土砂で隣家を半分ほど押しつぶしてしまいました。調べたところ、この石垣には法律できめられた水技け穴が完備していないことがわかりました。さっそく地主に損害賠償の請求をしたところ、いきなりその土地を他人に安くたたぎ売ってしまいました。数日後、それを買い取った新地主があらわれて、私の建物が未登記だということを理由に借地権を否認し、建物の収去を要求してきました。私は建物を収去して立ち退かなければならないでしょうか。なお、借地契約を結んださい五〇〇万円の権利金を提供してありますが、契約後まだ一〇年しか経過しておりません。かりに立ち退かなければならない場合、この権利金の返還は要求できないものでしょうか。
まず、あなたが旧地主に対し土砂の崩壊による建物倒壊について損害賠償の請求ができることは疑いありません。その根拠は、不動産の損壊事故に関する特別の規定が民法にあることです。この規定によると、不可抗力以外は無過失で賠償責任を負わされることになっていますから、通常の大雨ぐらいでは不可抗力による免責事由にはなりえません。もっとも、地主は、この不動産損壊事故の規定のほかに、法律上、地主の借地人に対する土地保全義務に違反していると考えられますから、借地人は、それは債務不履行であるとして損害賠償の請求をすることもできます。特に、借地契約を継続させる以上、崩れた石垣をもとどおりに修復しなければなりませんから、地主にむかって修復義務の履行を同時に要求することになりましょう。それを考えると、すべて契約違反という形で損害賠償の請求をしてもかまいません。損害賠償額の計算方法は、どちらでいっても違いはありません。ただし、不動産損壊事故のほうは、不法行為といって、その賠償請求権の消滅時効は、事故があったことを知ったときから三年ですが、債務不履行のほうは、契約違反のときから一〇年です。
地主がこのような修復工事を自発的に行なわない場合には、借地人が自分で工事人を頼んで修復工事をおこなわせ、その工事費用をあとから他主に請求してもよいのです。
さらに、そのような修復工事を地主に要求したり、あるいは自ら工事人を頼んで修復するなどの行為をいっさい行なわず、地主との関係を断ち切るために、契約を解除し、借地関係を白紙に戻すこともできます。
契約を解除した場合には、借地人は本来ならば土地を借地前の原状に戻して返還しなければなりませんが、崩れた石垣や故障した排水溝など本来地主の修復義務の範囲に属する部分については、来修復のまま返還すればよいわけです。
これに反し、借他人が借地上に建築し所有している建物は収去しなければなりませんが、収去の費用はもちろんのこと、建物が解体されて木材に転化し、価値がほとんど皆無に帰するでしょうから、その分を金銭に見積もり、地主に損害として賠償を請求することもできます。もっとも、このように建物を解体し、その損害の賠償を地主に請求することになると、地主にとっても大きな負担となりますから、借地人としては、地主の軽度な修復義務違反を理由として借地契約を解除し、建物の損害まで要求するのは、権利の濫用になることもあることを、注意しなければならないでしょう。したがって、原則としては、地主に代わって修復義務を代行しその費用を請求するのが原則と解したほうが安全でしょう。
なお、隣家に対しては、旧地主に賠償義務のあることは疑いありません。民法七一七条により、占有者として隣家に対し責任を負う場合には、損害の原因をひきおこした所有者に求償できます。また、新地主があなたの未登記を理由に借地権を否認し、建物の収去と土地の回流を求めるのは、権利の濫用として許されないと解していいでしょう。

土地
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