権利金、更新料などの一時金

地代は、借地人にとっても地主にとっても、重大な利害関係の接点となっています。慢性的な住宅難と、土地政策の立遅れによる地価の異常な高騰が、地代の絶えざる上昇と、それにともなう地主、借地人間の紛争を激増させているのは、周知のとおりです。
ところで地代は、借地法のなかでも重要な地位を与えられています。借地人にとって、地代の動向は、その土地に居住できるかどうかの実質的基礎であり、したがってその全生存がかかっているといっても過言ではありません。こうして、今日の借地法では、地代についてある程度合理的な規制をくわえようとしておりますが、きわめて不完全な内容にとどまっています。
権利金については、これを、地代の一部前払いであるとか、権利設定の対価であるとか、場所的利益の対価であるなどと、いろいろ難しい分類をする学者があります。しかし、一般的にいえば、権利金は地代の一部前払いとみるのが正しいと思います。といいますのは、場所的利益の対価といわれるような、繁華街で交通や営業に便利であるということでふつうより高い地代の分をあらかじめ一括して前取りするということも、考えてみれば、毎月または毎年末に支払う地代に織り込むべきものであって、結局、地代の一部前払いということができるはずだからです。また、権利設定の対価というのは、借地権のように借地人に有利といわれる強力な権利を設定する反面、これによって受ける地主の権利の減少に対するいわば保障金という性格だともいわれますが、しかし、もし地主にそのような損失が発生するならば、それは毎月または毎年末に支払う定期の地代のなかに織り込んで徴収していけばいいはずですから、これも結局、地代の一部前払いといってもいいのではないでしょうか。さて、そうなりますと、権利金についていろいろ複雑な学問上の性格を詮索するよりも、具体的に支払われた権利金がどういう法律上の効用を有するかを見きわめるほうが先だといえましょう。

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権利金を提供したからといって、特別に法律上の効果が発生するわけではありません。いいかえると、権利金を提供することなしに成立し存在している昔からの多数の借地関係にくらべて、権利金を提供した新しい借地関係がとくに有利な取扱いをうけることはない、ということです。地代家賃統制令では、権利金その他一切の一時金の授受は禁止しておりますが、同令の適用がない一般の借地関係では、特別に権利金の授受を禁止している規定はありません。したがって、権利金は一般的には野放しになっているといわれています。実際には、その土地の更地価格の八割前後が授受されているようです。
ところで、権利金が地代の一部前払いの性格を有すると、借地期間の途中で借地権が消滅するような場合には、残存期間に換算した残金額を返還せよと請求することが可能と解されます。例えば三〇年の期間を約定して六〇〇万円の権利金を提供したあと、五年目に借地契約が消滅した場合、金利に関する複雑な計算をかりに技きにしますと、五年分に相当する一〇〇万円を控除した残り五〇〇万円の返還を請求することが可能だということです。もっともこれは、地主の側から借地契約をなんらかの事情によって法律上正当に消滅させる場合、または、法律上の根拠はないが、借地人との話合いで消滅させる場合に考えられます。これに反し、借地人の側から借地権を放棄し、残存期間に換算した権利金五〇〇万円の返還請求をすることは、多少問題がないではありません。
なお、権利金を提供している借地人の場合は、借地権の譲渡、転貸に際して地主の承諾を要しないいわゆる譲渡権付の借地権ということができるのではないかという見解も、学者のなかにはみうけられます。しかし、そうなりますと、権利金を提供しない借他人とのあいだに差ができることになり、法原理上好ましくないと考えられます。しかし、裁判所の譲渡許可の決定を求める場合に、高額の権利金を提供した事情は、ある程度借地人に有利に判断されることは避けられないかもしれません。さらに、借地上建物の増改築につき、地主の承諾がなければなしえないという特約がある場合、譲渡、転貸の場合と同じような考慮がなされることが可能でしょう。しかし、そのほかに、権利金の提供額の如何によって、将来値上げされる地代の率にどのような影響を与えるかについては、むしろ特別な影響はないと考えるほうが妥当でしょう。といいますのは、地代の値上げについては、あとで述べるように、権利金の額はそれほど重荷なファクターになっていないからなのです。
以上をまとめてみますと、権利金は授受されてもされなくても、あまり法律上の効果に違いはないと考えたほうがいいでしょう。もちろん、実際には、権利金を提供しないかぎり地主が土地を貸してくれないわけですから、力関係によってきまってしまうというほかありません。
敷金は、権利金とちがい、借地契約終了の際に返還されるのが原則です。敷金に似たものに保証金があります。これは、いわば契約の一定期間存続することを借地人の側から保証するための金銭であり、敷金のように、借地契約が終わったからといってただちに返還されるという性格のものではなく、あらかじめ約束し保証した一定期間経過後にはじめて返還されるという点に、敷金とはちがった性格があります。
更新料というのは、借地契約の期間が終了(満了)し、さらに借地契約を延長してもらう際に、地主に要求される金銭です。しかし、すでに説明したように借地契約が延長されるかどうかは、第一次的に地主が更新を拒絶する正当の事由があるかどうかで決定され、その認定基準は、更新料などの金銭の授受とは関係がありません。したがって、更新料の支払の必要があるのは、地主にこのような正当の事由があり、ほうっておけば借地権は消滅してしまうという場合に限られます。
さらに、すでに述べた譲渡、転貸にともなう承諾料の問題があります。これもやや更新料に似たものですが、その支払の基準はすでに述べたとおりです。この場合には、裁判所の許可を求めたりするわずらわしさを避けるため任意に授受されることが多いようですが、借地法の性格上、好ましい金銭ではないとされています。
礼金というのは、借地人から不動産業者に対して、斡旋の手数料の一部としての意味で支払われるときと、地主に対する手みやげがわりとして支払われるときとがあります。礼金は主に借家関係で授受されるのであって、借地関係ではそれほど多くは授受されていないようです。

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