借地権の譲渡について地主が承諾しない場合

借地権の譲渡について、地主承諾をしてくれない場合の対策には、ひろくいって三つの方法があります。
(1)裁判所に許可決定を求める申立をし、裁判所の許可によって譲渡する方法。
(2)無断譲渡にもかかわらず地主に対して特別に信頼関係を破壊していないという事情を主張、立証すること。(3)借地権の譲受人から地主に対し建物買取請求権をぶつけること。
裁判所の許可、昭和四一年に改正された借地法では、地主が借地権の譲渡に承諾を与えない場合、借地人は譲渡の前に、裁判所に許可決定の申立をすることができることになりました。
この許可の申立は、非訟事件とよばれ、ふつうの訴訟事件のように、原告と被告にわかれて長年月をかけて法廷でわたりあうという方式ではなく、借地人を申立人、地主を相手方とよび、非公開の場で、裁判所のリーダーシップによって裁判が進行します。この裁判は、判決という正規の形式によらず、決定という一種の略式で結論がだされます。しかし、申立人たる借地人としては、ときに弁護士に依頼しなければならないことも少なくないと思います。非訟事件だからといって弁護士の報酬が特別に安いときまっているわけでもありませんから注意してください。
さて、申立を受けた裁判所は、借地権を譲渡しても格別地主に不利益を与えるおそれがないと認められる場合には、許可するたてまえとなっています。地主に不利益を与えるおそれがあると考えられそうなものに、新しく借他人となる譲受人が地主と同業であって商売上競争関係にたつような場合があります。しかし、これとても、地主の怠業を助長するような地主擁護の理由とすることはできないでしょう。借地人が、譲受後も地代を支払い、地代を滞納するようなとくべつなおそれもないような場合には、許可をしないということはないはずです。
もっとも、裁判所が許可をする場合には、必ずしも無条件でなされるとはかぎらず、ときに、財産上の給付とよばれる権利金に準じた一時金や、地代の値上げなどが、つけ加えられることがあります。その基準は、当事者間の衡平を図るため、というのが一般的な基準となっていますが、そのような支払が命じられることはわりと多いのが実情です。

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信頼関係の法理は、借地人が特別に裁判所の許可をえないまま譲渡してしまったにもかかわらず、地主に対する信頼関係を破壊しないと認められる特別の事情がある場合には、無断譲渡でも地主は借地契約の解除ができない、という法原理です。
この信頼関係の法理は、昭和二八年に最高裁判例がでて以来、通説、判例として支持されています。しかし、実際には、親子間の借地上建物の名義変更や、離婚するに際して夫が妻に借地上建物を贈与し、それにともなう名義変更を行うような場合に認められていますが、それ以外にあかの他人に借地上建物を譲渡するような場合にまで単純に活用されてはいないのが実情です。したがって、現実の裁判においてはまだ信頼関係の法理が十分に展開されているとはいえませんから、借地人は注意しなければなりません。
問題は、なにが信頼関係を破壊したと認められる事情か、ということであり、さらに、そもそも信頼関係とはなにか、ということになります。この点について最近の学界の定説としては、借地人の支払能力であるという主張が一般です。借地人の支払能力というのは、地代その他、他主に対する債務をとどこおらせることなく支払いできるということですから、ふつうの借地人なら十分その能力があると認められるでしょう。いいかえると、学説としては、親族関係や婚姻関係を前提とする譲渡だけに限定することを考えていないわけですから、判例のほうが遅れており、今後判例の発展が待たれているわけです。
ところで、この信頼関係の法理の適用にあたっては、無断譲渡に端を発して地主が訴えを提起し、その裁判手続のなかで借地人のほうから反論として主張されることになるわけですから、譲渡許可を求める決定のような非訟事伴とはちがい、通常の判決手続となります。したがって、この裁判では、地主が原告となり借地人が被告となるのが通常の形式ということになるでしょう。いいかえると、借地人は自ら訴えを起こす必要はなく、無断で譲渡したままでいれば、地主のほうから借地契紛糾除の訴えが提起されるというわけです。
この裁判では、信頼関係が破壊されたかどうかが争点になり、破壊されていると認められれば、地主の主張する借地契約の解除が認定され、反対に破壊されていないと認められれば、借地契約の解除はでぎなくなり、借地契約は適法に新借地人に承継されたことになります。この裁判では、特に財産上の給付の支払や地代値上げなどは要件とされていません。ただし、途中でそのような金銭の支払や値上げを条件として和解になることは多いでしょう。
借地権の譲受人は、地主が借地権の譲渡に同意してくれない場合、時価で建物を買い取らせることができます。これを建物買取請求権とよんでいます。建物質取請求権は、借地権譲受人の一方的な権利ですから、この点についてだけは地主の同意をまたず、借地権譲受人の一方的な申出だけで売買の法律関係が発生してしまいます。したがって、建物 質取請求権がぶつけられると、地主のほうは一方的に代金支払の法的義務が発生してしまいます。

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