借地権の存続期間

建物の所有を目的とする土地の賃借権または地上権の存続期間については、借地法によって次のように期間の保障がおこなわれています。
(1)契約で存続期間を協定する場合この場合には、堅固な建物の所有を目的とする借地権については三〇年以上、非堅固な建物の所有を目的とするものについては二〇年以上、としなければなりません。これを約定期間といいます。
(2)契約の際、または契約後期間についての合意をしていない場合、そのような場合には、法律の規定によって、堅固な建物については六〇年、非堅固な建物については三〇年、と定められており、これを法定期間といいます。堅固というのは、石造、土造、煉瓦造などであり、現代建築でいえばほぼ鉄筋コンクリート建築がこれにあたります。非堅固な建物とは、堅固以外の建築物で、ほぼ木造建築がこれにあたります。
今後問題となりそうなものに、プレハブ建築があります。プレハブ建築のなかには、鉄筋コンクリート系、軽量鉄骨、軽量鋼板系、木質、木造系の三種が存在していますが、このうち、鉄筋コンクリート系は堅固に、木質、木造系は非堅固にそれぞれ入りうるようにみえるかもしれません。しかし、期間保障に関する借地法の原則の適用基準たる堅固、非堅固の区別が、はたして建物の耐用年数を基準にしているといえるか否かは、問題なのです。むしろ、解体が容易か否かに基準をおくべきではなかろうかとも考えられます。かりにそうだとすれば、鉄筋コンクリート系か否かを問わず、プレハブ建築は解体が容易であり、その点からはすべて非堅固の建物に入るといえなくはないのです。こう解しますと、プレハブ建築の所有者たる借地人にとって不利益になるようにみえるかもしれません。なぜなら、もし堅固と解することができるなら、約定存続期間で一〇年以上、法定存続期間では三〇年という大差が生ずるからです。しかし、後記のように、この存続期間は一応最初の借地期間の存続期間に関する原則にすぎず、こ期間が満了したからといって借地権が直ちに消滅することはむしろまれであり、多くはほぼ自動的に近いかたちで更新されていきます。したがって、むしろ、堅固な建物の築造についてはあらかじめ土地所有者の承諾がいるという借地法三条の規定に抵触せず、プレハブ建築が禁止される危険を回避しうる、という利点があることを忘れてはならないでしょう。

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土地

期間保障は、借地法の適用される借地権に限定されます。したがって、ゴルフ場や屋外自動車展示場の会場にするための借地権、あるいは建物以外のテレビ塔とかガスタンク、道路、橋などの工作物については、借地法の適用はありません。また、建物の所有を目的とする土地の賃借権または地上権であっても、臨時の自動車ショーの会場のための用地、あるいは土建工事人の飯場にするための仮設建築物用地などの目的で借地した場合には、存続期間に関する借地法の適用はありません。
このように借地法の全部または一部が適用されない借地関係については、それぞれの権利の内容にしたがって民法により決定されます。まず賃借権については、二〇年以上の期間を約定してはならないという制限がありますから、借地法とは反対に上記の期間が制限されるわけです。また地上権については、期間に関する規定はありませんから、どんなに短期間のとりきめをしてもよく、また反対に、なかば永久に近いような期間の特約をすることも可能です。そうしてこれら賃借権や地上権については、それぞれの期間が到来したときにさらに更新されるか否かは、当事者間のあらかじめの合意によってきまるのがたてまえです。

一五年前に、A所有の土地九九平方メートルを賃借し、五〇平方メートルの建物を建築して居住してきました。ところが、五年ほど前に、地代の値上げをめぐってAとのあいだにトラブルがあり、その際Aが調停を申し立てて、五年後に土地をAに返還するという調停が成立しました。今年はちょうどその五年目に相当しますので、Aから明渡しの催促状が送られてきました。私は土地をAに返還しなければならないでしょうか。建物は、手入れがいいせいか、まだほとんど痛んでおりません。聞くところによると、Aはその土地にアパートを建てて他人に貸す計画をもっているとのことです。
地代の値上げなどをめぐって地主、借地人間に紛争が発生した場合、その解決策として、一定期間経過後に土地を返還するという合意のなされることが、少なくありません。これらの合意は、地主、借地人間だけでひそかにおこなわれるときもありますが、裁判所における和解や調停によってなされる場合も少なくありません。
ところで、これら一定期間経過後に明け渡すという合意は、期間保障に関する借地法の規定が強行法規である性格上、はたしてそのような合意が有効であるか否かの問題を事後に発生させている場合が少なくないのです。この場合、もしそのような合意が有効であるとすれば、期間保障の原則が脱法されるおそれがあります。
そこで、これを単純に明渡猶予期間とみるか、それとも本来の期間保障の原則にのせてゆくかは、そのような合意のなされた事情にさかのぼって審査する必要がでてくるわけです。もし、合意当時すでに、地主が土地返還を要求しうる正当の事由をもっていたような場合には、明渡猶予期間とみて、その期間満了により当然借地関係は消滅すると解してよいでしょう。これに反し、合意当時地主にそのような正当の事由が存在したわけではなく、ただトラブルを解消するための一方法にすぎなかったと認定された場合には、本来の期間保障の原則にのせてよいと解されるでしょう。
本問の場合は、借地契約成立後一〇年で地代値上げの紛争が発生したというのであり、それ自体は借地関係を解消すべき正当の事由とはいえません。むしろ、そのような地代値上げをめぐる地主、借地人双方の主張を追審査し、地代問題として解決するのが正しいのです。しかも、本問の場合には、借地契約成立後一〇年で、明渡期間の合意もその後五年ですから、通算しても一五年にとどまり、借地法の予想している二〇年という合意の最短期間を下まわっ ているので、その点からみても、その明渡の合意は無効だと解していいのではないかと思われます。
判例は、合意に際し賃借人が借地権を解約する真意を有していると認めるに足りる合理的、客観的理由があり、しかも他にこの合意を不当とする事情がないかぎり、許されないものではなく、借地法一一条に該当しないとしています。この場合、単純に期間の長さだけで明渡満了期間かどうかの判定をしてはなりません。

土地
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