農地の管理委託

私の家は兼業農家で、いままで主に父母が農業をやってきましたが、最近父が死亡し、母も老齢で農作業が困難になりました。この農地は絶対に売りたくないのですが、もし、他の農家に貸し付ければ、まず、返してもらうことはできなくなるとも聞いています。この農地を農地として管理してゆく、何かよい方法はないでしょうか。
農地を、他の農民に貸し付ける場合、圧倒的多数は賃貸借となるでしょう。そこで、賃貸借の場合その権利関係がどうなるのかについて、まず説明します。
賃借権を設定する場合には、市町村農業委員会の許可を受けておかないと無効です。この許可にあたっては、借主が農地についての使用収益権(耕作権)を取得する資格のある者であるかどうかまた、後述のとおり、在村地主として小作地を持てる面積に制限がありますが、この制限面積の範囲内かどうか、等を審査することになります。この許可をうけておかない賃貸借は、ヤミ小作ということになります。
次に、この農地を返してもらう場合はどうかというと、合意解約による場合と、一〇年以上の期間を定めて賃貸し、その期間が満了した場合、この場合でも、期間満了の一年前から六ヵ月前までの間に更新拒絶の通知をする必要がある事のほかは、都道府県知事の許可をうけなければなりません。合意解約というのは、賃貸人と賃借人の両方が解約に合意する場合ですが、その場合でも、この合意が、賃貸人に現実に農地を返すべき期日の六ヵ月内に成立したものであり、かつ、書面によって明らかな場合でないと、無許可で農地を引き上げるわけにはいきません。
一〇年以上の期間を定めた賃貸借を、よく定期賃貸借といっていますが、この場合でも、一〇年以上の期間を定めながらその期間内の解約もでぎるという特約の場合は、許可が必要となります。なお、同項三号では、水田裏作だけの賃貸借も許可不要としています。本問の場合に、水田表作(稲作)に必要なすべての作業を自身労働力でやりこなせなくとも、もし、水田が、土地基盤整備がすみ、大型機械の利用が可能な状態にあって、機械作業だけを他人に委託し、あとの肥培管理は自身労働力で、または雇用労働力を併用してやってしまえるのであれば、裏作だけを目的として、かつ、何年かの期間を決めて賃貸した場合、この裏作目的の賃貸借の期間満了による返還については、許可はいりません。
許可をうけないでよい場合は、昭和四三年の農地法の改正の際に認められたもので、その実際の効果についてはまだはっきりしていません。例えば、実際問題として、合意解約の書面を作成するときに離作料を支払う慣行が続いているのかどうか、離作料の額、農地価格に対する割合がそれ以前と変わったのかどうか、などについて気になるところです。
都道府県知事の許可をうけないと、農地を返還させることはできません。その農地を自作する必要が生じたとか、賃借人が小作料を支払わないとか、賃借人がその農地を勝手に第三者に転貸したとかいうような場合でも、やはり許可をうけることが必要です。もっとも、このような場合には許可になる場合が多いでしょう。
なお、許可申請書は、市町村農業委員会を経由して知事に提出するのであり、農業委員会は意見書を付して知事に進達することになります。
小作料は、定額を定め、金銭によって支払、受領しなければなりませんが、画一的な最高額統制は、昭和四五年一〇月以降の新規の賃貸借では、なくなりました。農業委員会は小作料の標準額を定めますが、これに強制力はなく、もしこれより著しく高額の場合には、標準類まで減額せよとの勧告をうけるだけです。

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土地

農地法では、賃貸人、地主の住所が、貸付地、小作地のある市町村の区域内にあるか外にあるかによって、取扱いを分けています。不在地主が貸付地、小作地を所有することは、原則として全く認められず、在村地主の貸付地、小作地の所有は、一定面積以下に限り認めています。ただし、この点については、現在ではかなり多くの例外が認められていますので、この中で重要なものを次に説明します。
一〇年以上耕作していた農地の全部について農業を廃止して、離村し不在地主になった場合は、農業廃止の時の住所地の市町村内にある小作地で、しかもその面積が在村地主の小作地所有限度内であれば、農業委員会の確認をうけて、小作地所有が認められます。
農業生産法人、農地の所有権や耕作権を取得するための要件を満たして農事組合法人の構成員が、その農業生産法人に貸し付けている小作地は、その面積いかんを問わず、かつ、不在地主となっても、所有が認められます。
ですから、本問の場合も、例えば、所有農地の比較的近くの農地を耕作する専業農家とか、親戚、友人等で農業に熟心な方、さらに、ほかに兼業農家、離農希望者と相談して、農業生産法人を設立するとか、あるいは、すでに設立されている農業生産法人に構成員として加入し、その農業生産法人に所有農地を貸し付けることも、考えてみて下さい。なお、この場合、農業生産法人との賃貸借に一定の期間を定めておけば、相続人で農業生産法人の構成員とならない者もその期間内は、特に構成員とみなされて、その小作地所有が不在村でも認められます。
いわゆる「農地保有合理化法人」へ貸し付けている小作地は、その面積いかんを問わず、また、不在地主となっても、所有することができます。農地保有合理化法人というのは、農地保有合理化促進事業を行なう営利を目的としない法人で農地法施行令によって指定されたところの、市町村、農業協同組合または特殊の社団法人、財団法人の総称です。
農地保有合理化促進事業とは、農業経営の規模の拡大、農地の集団化その他農地保有の合理化を促進するため、農地、採草放牧地または、開発して農地とすることが適当な土地を買い入れたり借り受けたりして、これらの土地の売却、交換または貸付を行なう事業です。
実際にどんな種類の法人が地域で農地保有合理化法人となっているかは、農業委員公等で聞いて下さい。
都市計画法による「市街化区域」の中にある小作地は、その面積いかんを問わず、かつ、不在地主となっても、所有できます。

土地
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