市街化区域外にある農地の売買契約

都市計画法による市街化区域の外にある農地を転用する場合は、ごくわずかの例外の場合を除き、都道府県知事の許可をうけなければなりません。許可をうけないと、転用のために売買契約がなされても、所有権移転の効力が発生しませんし罰則もあります。転用許可の申請は、転用許可申請書を、原則として市町村農業委員会を経由して都道府県知事に提出するのです。申請書には、原則として当事者が連署しなければなりません。もっとも、競売、公売、贈与等の他の単独行為による場合と、所有権移転に関して確定判決、和解、請求認諾があり、または確定審判、調停成立があったときには、連署は必要ではありません。ですから、当事者双方は当然に申請に協力する義務を負担するものと解釈されますが、そのことを確認し、さらに申請の時期を明確にするために、多くの契約書では、この契約締結の日から何日以内に許可申請手続を完了すること、というような特約をしているようです。
申請書の提出をうけた農業委員会は、四〇日以内に、これに意見書を付して知事に進達しなければならないものとされています。この進達が四〇日以内に行なわれなかった場合など特別な場合には、直接知事に提出することができます。

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許可申請をしない間、または、許可申請はしたが許可のない間に、売主がその農地を第三者に売却し、第三者との間の所有権移転について、先に許可がなされ、かつ移転登記がなされてしまいますと、はじめの買主でも所有権を得ることができなくなります。そこで、この心配を除去するために、売買契約を締結する際、即時にまたは手付の支払等によって所有権移転請求権保全の仮登記を申請するように特約している場合が多いようです。仮登記申請には、転用許可がいりません。この仮登記をしておけば、所有権移転の許可がおりて移転登記をすませるより前に、所有権移転の本登記をうけた第三者があらわれても、最終的には、仮登記をした者の権利が保全されます。
なお、仮登記は、後述する買主の地位の譲渡の前提としての意味をもつとともに、農地についての先行取得のための手段としても、さかんに利用されているようです。
農地転用の許可については、農地転用許可基準によって判断されることになっています。これによると、農地を第一種、第二種、第三種の三つに区分し、転用は原則として、第三種農地、第二種農地、第一種農地の順序によるようになっています。買おうとする農地がこのどれに当 たるかは、市町村農業委員会事務局で聞いて下さい。また、この基準では、申請人ないし転用計画についての具体的な要件、例えば転用目的実現の確実性等をも考慮して、具体的な許可または不許可の判断をするものとなっています。
許可は、売買契約により所有権移転の効力が発生するための要件です。つまり、民法上有効な売買契約が結ばれても、許可があるまでは所有権移転の効力は生ぜず、許可があってはじめて、民法上有効な売買契約の存在とあいまって所有権移転の効力が生じるのですなお、許可が条件をつけてなされる場合もあります。
許可というものの以上のような効力を考えるとき、さらに、都市計画法による制限をも考慮すると、農地の売買については、後で疑義ないしトラブルがおきないように、若干の特約をしておく必要が強いでしょう。例えば、の許可申請後何カ月以内に許可が得られない場合 はこの契約は当然に効力を失うものとする。または解除することができると特約したり、農地の引渡し、代金全額の支払、登記申請等の時期につき、許可後何日以内に行なうと定めたりすることも、多いようです。また、当初の転用目的や計画を変更しなければ許可がおりないことが後日判明したとか、条杵づきの許可がおりたとか、農地の一部が流出したとか収用されたとかいう場合に、それでは買主として買う意味がなくなるのであれば、契約の解除ができることを特約する必要も多いでしょう。
なお、農地の売買では、許可申請をすることが「契約の履行に着手」したことになるために、許可申請以後には、「手付流れ」または「手付倍返し」による解除権の行使はできないことになるでしょう。また、許可制度とは関係がないことですが、農地では、公簿上の面積と実測面積との差が大きいことが多いから、どちらの面積を基準として売買するのかを明確にしておく必要が強いでしょう。
農地とは「耕作の目的に伏される土地」であり、現況によって判断されます。二、三年の間休耕していても、耕作しようと思えば簡単に耕作できる状況にあれば、やはり農地です。苗圃、たけのこ収穫期の竹林、栗林、桐林、わさび田、蓮池、牧草畑等でも、肥培管理が行なわれていれば、やはり農地です。
採草放牧地とは、「農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるもの」ですから、肥培管理がなされず、かつ採草が耕作や養畜と無関係なものは、採草放牧地ではなく、農地でもなく、農地法の転用規制はありません。

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