市街化調整区域内にある農地の売買契約

住宅を建てる敷地として、農地を買いたいと思っています。その付近には、個人の住宅がかなり建てられており、すこし離れたところには住宅団地も見られます。私がその農地を買って住宅を建てるについて、特別な法律上の制限があるのでしょうか。
都市計画法によって指定される都市計画区域が、大都市周辺の地域その他人口がおおむね一〇万人以上の都市については市街化区域と市街化調整区域とに区分されることになっています。市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域、および、おおむね一〇年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域でありまた市街化調整区域とは市街化を抑制すべき区域です。市街化区域と市街化調整区域とでは、このようにその性質、目的が違いますので、農地を宅地等に転用するについての法律上の取扱いも、大きく違っています。本問の場所がこのどちらの区域にあるかを調べることがまず必要となりますが、これは、都道府県庁または市町村役場の都市計画担当の課で、都市計画の図書を閲覧するとわかるわけです。そこで、この場所が市街化区域に入っているものとして、以下の説明をいたします。

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土地

市街化区域内の農地を転用目的で売買する場合には、あらかじめ都道府県知事に届け出ることが必要です。この届出の手続については、農地法施行規則に規定があります。次に、この手続のあらましを説明します。
転用届出書は、都道府県知事に宛てたものですが、原則として市町村農業委員会を経由して提出します。農業委員会は、届出書の提出があった日の翌日から起算して四〇日以内に、部道府県知事に進達することになっています。もし、農業委員会の農地部会が四〇日以内に開かれる見込みのない場合、その他相当の事由があるときは、直接知事に提出することができます。
届出書を提出する時期は、売買によって所有権を取得しようとする日前であって、かつ、転用に着手しようとする日の五〇日前まででなければなりません。
転用届出書には、原則として、売主、買主の双方が連署しなければなりませんが、次の場合には、単独の届出が認められます。
競売もしくは公売の場合、所有権移転に関して、確定判決、裁判上の和解、請求認諾、確定審判があり、もしくは調停が成立した場合。
添付書類は、つぎのようなものです。
土地の位置を示す地図、および土地の登記簿の謄本。
もし、その農地を第三者が賃借している場合は、その賃貸借の解約等について農地法二〇条一項の許可をうけたことを証する書面、賃借人が書面で同意した合意解約等で許可をうける必要のない場合なら、その旨の通知を農業委員会にしておく。
もし、その農地が、基盤整備を実施した土地等で土地改良区の区域内にある場合には、土地改良区に転用の届出をしたことを証する書面、さらに、もし、そこで一、〇〇〇平方メートル以上開発行為を行なうため、その許可をうける必要のある場合には、その許可をうけたことを証する書面、都道府県知事は、転用届出を受理したときは、遅滞なく受理通知書を届出者に交付します。もし、その届出を受理しないこととしたときは、遅滞なく理由を付して、その旨を書面で届出店に通知します。届出の効力は、農業委員会の進達によって届出書が知事に到達した日、直接知事に届出書が提出された場合には、届出書が到達した日に発生します。
届出が効力を発生することは、市街化区域内の農地の売買契約により所有権移転の効力が発生するための要件です。したがって、所有権移転登記の申請には、受理通知書を添付することが必要とされ、また、登記申請書に記載する登記原因の日付は、受理通知書に記載された、届出が効力を生じた日以降の日でなければなりません。
なお、登記簿の地目の表示を宅地に変更するには、現況が農地から宅地に変わったことが必要ですから、その事実を証する書面を添付して地目変更を申請することになります。
転用届出書には、原則として当事者双方の連署が必要とされ、また、転用届出が受理されることが、所有権が買主に移転するための要件とな っています。このようなしくみは、市街化区域外にある農地の転用目的での売買について都道府県知事の許可が所有権移転の効力要件となっているのと、仕組みそれ自休は同じことです。そこで、売主、買主の双方は、許可申請に協力する義務を負うのと同様に、届出に協力する義務を負うものと考えられます。
この点は、特に届出に協力することを特約しなくても、当然にそうなるものと考えられますが、念のため、契約書に、売主と買主とはこの契約締結の日より何日以内に協力して農地法五条一項三号に規定する届出をすることというように明記しておく方がよいでしょう。
転用届出をしないで、事実上転用してしまったら、どうなるのでしょうか。届出が所有権移転の効力要件となっているのに、その届出がなければ、所有権移転の効力が発生しないわけです。しかし、事実上転用されてしまいますと、とにかく現況が農地ではなくなってしまうので、もはや届出は不要になるのではないか、との疑問もあります。
この問題については、転用に許可を必要とする場合に関して若干の判例があり、無届転用の場合にも、ほぼ同様になるのではないかと思います。すなわち、土地、周囲の状況や転用行為の態容によっては、所有権移転が認められるようです。しかし、無届転用にも罰則がありますし確定判決を得ないと移転登記ができないでしょうから、無届転用は避けるべきです。
なお、市街化区域内の農地でも、転用ではなく、耕作目的で売買する場合には、依然として都道府県知事の許可が必要です。

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