集合的分譲宅地

日本住宅公団その他の公共機関や民間の不動産会社(分譲者)が、大都市などの郊外や周辺地域で、山林などを切り開いて造成した宅地を数多の画地に細分して各画地をそのままで、あるいは、一戸建の建売住宅を建てて、個人に売り渡すことがよくありますが、このような分譲宅地や一戸建建売住宅は、全体で一つのまとまった街区ないし住区を形成している関係上、そのなかに、道路、公園・広場などの公共施設や、貯水槽、ガス集中装置、汚水処理場、街路灯、公衆電話ボックスなどの生活利便施設などが設けられ、これらの施設を購入者全員が共同で利用することになります。
もっとも、これらの施設ないしその敷地の所有権帰属は種々様々で、購入者全員が共有することもありますが、分譲者が所有権を留保し購入者に利用権を取得させるにすぎないこともあり、また、道路、公園、広場などは、分譲者がその所在市町村に移譲し、市町村が維持管理することも少なくないようですし、公衆電話ボックスなどのような施設は、その性質上、つねに、第三者が設置所有し管理することになります。そこで、市町村に移譲された道路等や公衆電話ボックスのようなものを除き、分譲者なり購入者(全員)なりが所有権をもっているものを、以下「共同付属施設」とよびましょう。
共同付属施設を購入者全員が共有する場合は、民法の共有の規定の適用があります。したがって、共有者は平等の割合で持分を有しその持分に応じて共有物を使用することができます。共有物の処分、変更は他の共有者の同意がなければできませんが、それ以外の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従いその過半数で決することができます。ただし、修繕などの保存行為は各共有者が単独でおこなうことができます。共同付属施設の共有持分は、分譲宅地やそのうえの建物の所有権(主たる権利)の従たる権利ですから、主たる権利を処分すれば、特段の事情のないかぎり、当然、従たる権利も一緒に処分したことになります。この点に関し、実際上は、共有持分の単独処分を禁止し、宅地や建物の所有権と合わせてでなければ処分することができないとか、あるいは、さらに、共有物分割請求禁止も特約しているようです。共有持分だけを処分することや分割請求することをみとめることは弊害が多いので、このような特約をすることは結論的には有効とみてよいでしょう。
分譲者が共同付属施設の所有権を留保し購入者に利用権を取得させる場合は、購入者が分論者との間の利用契約にもとづいて使用し料金を支払うことになりますが、しかし、特段の事情のないかぎり、平等に使用し料金も均等ということになります。この利用契約上の権利、義務は、分譲宅地やそのうえの建物の所有権の特定承継人(買受人)に承継させるのが至当であり、実際上も利用契約のなかに、そのことについての特約条項を定めているのが普通です。

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土地

共同付属施設の維持管理は、購入者全員が共有者または共同利用権者として共同でおこなうことになりますが、しかし、画地全部が売渡し済みとなっても、購入者が直ちに建物(住宅)を建てて居住するとはかぎらず、はじめから、自治会を結成して自主的に共同管理することがむずかしい場合が、少なくおりません。そこで実際には、土地売買契約や建売住宅売買契約で、購入者に一定年限後、自治会を結成することを義務づけ、それまでの間、分譲者またはその系列管理業者が購入者たちから共同付属施設の維持管理について委託をうけること(管理委託契約)にしていることが、多いようです。
共同付属施設の維持管理費用は、各自で分担すべきものですから、現実に分譲宅地に建物を建てて居住しているかどうかに関係なく、管理受託者または自治会に費用を支払わなければなりません。実際には、分譲者(管理受託者)に予め二年分とか三年分の管理費用を一括して支払ったり、あるいは、ある程度のまとまった金銭を預託し、その運用利益を管理費用に充当することにしているようです。この預託金は、自治会が結成されると、その運営基金として、管理受託者から自治会に移管され、これまでの管理受託契約は終了することになります。
建築基準法は、市町村の一定地域の土地所有者や借地権者(地上権者・賃借権者)が、その区域内の住宅地や商店街の環境の維持、改善をはかるため、建築物に関する建築基準について相互に協定することをみとめています。これが建築協定です。建築協定は、市町村の条例に基礎づけられていることが必要なので、条例がない場合は、市町村に条例を制定してもらったうえで建築協定を結ぶことになります。建築協定は、土地所有者、借地権者全員の合意により建築協定書と題する書面を作成し、特定行政庁(市町村または都道府県知事)がそれを認可し公告したときに発効(成立)します。
建築協定書には、協定の目的である土地の区域、建築物に関する基準、協定の有効期間、協定違反があった場合の措置を定めることになっています。
協定の目的である土地の区域については、区域を特定させるため、町名、地番を表示するのが普通です。建築物に関する基準については、建築物の敷地、住設、構造、用途、形態、意匠または建築設備に関して基準を定めることができることになっています。この基準は、土地や建築物の利用を不当に制限するものであってはなりませんが、しかし、建築協定の目的、すなわち建築物の利用増進や土地の環境改善という目的に合致するものでなければなりません。したがって、建築協定による基準は、建築基準法で定められている建築基準(制限)よりもきびしい内容のものとなるか、あるいは、同法で定められていない事項について建築基準(制限)を設けることになります。
建築協定は、特定行政庁によって認可、公告されますと、この公告があった日以後、新たに協定区域内の土地を買い受けて土地所有者となり、また、借地権を取得するに至った者に対しても、その協定の効力が及ぶことになっています。これらの権利取得者は、たとえ、権利取得当時、建築協定の存在を知らなくても、その協定の効力が及ぶことを拒否できないという点で、建築協定は、普通の純然たる私法上の契約とは性質を異にしており、一種の規範的効力を有する自治法規ともいうべきものです。
次は、建築協定違反の効力ですが、これは、普通、違反者に対する工事停止、違反是正措置請求です。このほか、建築基準法上の違反是正措置、罰則などの規定の適用があるかどうかですが、これについては、消極に解するのが妥当だと思います。というのは、建築基準法は、建築協定をみとめた立法趣旨やその性質から、協定違反の措置は当事者間の自治に委ねるべきであり、行政レベルでの介入(措置)や利川の適用は適当でないとみて、同法九条一項などの「この法律又はこれに基く命令もしくは条例の規定」のなかに、建築協定という字句を入れなかった、と解されるからです。
建築協定の内容を変更しようとする場合には、協定当事者全員の合意により書面で内容を定め、特定行政庁の認可、公告をうけなければなりません。また、協定を廃止しようとする場合には、土地所有者、借地権者の過半数の同意を得、特定行政庁の認可をうけることになっています。

土地
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