滞納処分による差押え不動産の抵当権設定

 滞納処分による差押えがされている不動産に、抵当権を設定することができるでしょうか。
 滞納処分による差押の登記があっても、抵当権の設定およびその登記をすることは自由でありますが、抵当権者はその抵当権で差押の登記をした者に対抗することはできません。しかし、仮差押、仮処分後の抵当権設定登記の場合と同じように、滞納処分による差押が解除されれば、当事者間の抵当権設定の登記は、有効なものとしてこれを主張することができるのですから、場合によってはこのような登記であっても実益がないわけではありません。
 すなわち、滞納処分による差押は、滞納者に対する差押書の送達によって行われ、その差押の効力は、差押者が滞納者に送達されたときに発生するのが原則でありますが、この差押を第三者に対抗するためには、その差押の登記をしなければなりません。
 ところで、これらの手続によって発生した差押の効力は、差押に係る滞納税額を滞納者に了知させ、差押の目的不動産を第三者に譲渡したりまたは担保に供したりするなどの処分を禁止することにあります。したがって、差押債権者は、差押通知と登記簿への差押登記によって処分禁止の差押の効力を債務者および第三者に主張できることになりますが、差押債務者(滞納者)は、差押の趣旨に反しないかぎり、絶対的に処分を禁止されるものではありません。
 この意味で、仮差押、仮処分の場合と同様に滞納処分による差押の効力も、差押債権者、差押債務者間の相対的な効力しかもたないものということができます。したがって、差押債務者は、第三者のために抵当権設定の登記をすることができるのはいうまでもなく、第三者は有効に抵当権を取得することができるのですが、差押登記後に抵当権を取得した第三者は、差押債権者にその抵当権を対抗できない結果、差押による公売処分によって所有権を取得した競落人にその抵当権を対抗することができず、結局そのような公売処分になった場合には、前述のとおり、抵当権を否定される結果となることに留意しなければなりません。

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 債権の一部について抵当権を設定することができるでしょうか。
 債権額の一部を担保するための抵当権設定契約とその登記は可能であり、この場合は、契約および登記申請書の「登記原因」の記載において、債権金額とそのうち担保すべき金額とを明らかにしておく必要があります。
 たとえば、契約書には「債務者何某は本契約による債務の担保として末尾記載の不動産について、第何条に定める債権金損金弐百万円のうち金壱百万円を被担保債権とする抵当権を設定した」というように記載します。また、登記申請書には、登記原因およびその目付を「平成○○年○月○目金銭消費貸借による債権額金弐百万円のうち金壱百万円についての同日抵当権設定契約」とし、「債権額金壱百万円」というように記載します。
 なお、この場合、その後に、かりに五〇万円についての弁済があっても、その抵当権によって担保される債権額は依然として百万円です。というのは、この場合はその抵当権の目的物件から優先弁済を受けられる債権の限度を百万円としたものであって、この百万円は二百万円の債権のどの部分であるかは、本来特定される性質のものではないからです。
 もっとも、その抵当権が第三者の提供したものであるとき(物上保証の場合)、または目的物件の所有権が移転した場合に、これらの物上保証人または第三取得者が百万円を代位弁済したときには、特別の意思表示のないかぎりその抵当権は消滅すると解釈するのが、物上保証人の意思にも合致し、また第三取得者の地位からみても妥当と考えられます。

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