農地停止条件付売買契約書作成上の注意

 農地法第五条によれば、農地または採草放牧地をそれら以外の用途に転用する場合にはその地積が二ヘクタールまでの場合は都道府県知事、これをこえる場合には農林大臣の許可を必要とします。停止条件というのは、将来発生するかどうかわからない事実に法律行為の効力の発生をかからせることをいいます。停止条件の成就によって法律行為はそのときから効力を生ずるか、または、さかのぼって生ずるかは当事者の特約によります。特約がなければさかのぼらないものとします。この農地停止条件付売買契約は、農地の転用許可を停止条件とする売買契約です。

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 書式では、最初に売主と買主の住所・氏名を書き、次に「当事者間において、農地の停止条件付売買に関し、次の契約を締結した」という前文を書き、以下契約内容の要点を示していますが、別の形として売主と買主の住所・氏名をいちばん最後にもっていき、はじめに、「売主○○○○と買主×xxxとの間に、次のとおり農地の停止条件付売買契約を締結する」という前文を示してもよいのです。
 第一条においてこの書式では売主・買主の氏名を示し、売買物件の表示を後記としていますが、別の形としてここで売買物件の表示を加えてもよいのです。
 売買物件として農地の地積を示し、壱平方メートル当りの単価を示して代金総額をもとめるわけですが地積を実測面積にするか登記簿上の面積にするか、ここで明示することが必要です。そして、「この土地の表示は登記簿記載の表示によるものであり、本件土地の実測面積がこれと相違することがあっても売主及び買主は 代金の増減を請求したり、契約を解除したりすることはできない」という定めもしておかないと、あとでトラブルが生じます。
 不動産の売買は所有権移転登記の完了と、その不動産の引渡しをもって終結し、売主から買主に移転された所有権の公示力が確保されるのです。この契約は農地が宅地に変更されたら買取ろうというものですから、当然、将来、所有権移転の本登記をすることが明確です。この将来の本登記にそなえて、あらかじめ登記簿上の順位を保全するために仮登記をしたあとで本登記をすると、その対抗力の順位が仮登記のときにさかのぼりますから、仮登記後に他からつけられた一切の登記は効力を失います。このようなわけで、この支払条件のなかに所有権移転仮登記設定と同時に、手付金を支払うことにしているのです。契約と同時に手付金を支払う場合もかなりあります。
 残金の支払をもって売買代金の支払は終結するので、これは当然、所有権移松本登記完了の日に支払うことになります。所有権移転本登記には農地法第五条(農地の転用許可)による都道府県知事あるいは農林大臣の許可が必要となります。
 第三条を見れば当然、解約手付であることがわかります。その最終期日を示したわけです。手付金で解約手付というのは、買主が解約する場合には手付金を放棄し、売主が解約する場合には手付金の二倍の金額を支払って契約を解約するものです。このほか違約手付といってどちらかが勝手に契約をやめたときに違約の罰として没収する場合があります。いずれの手付にしても相手方が契約の履行に着手すれば解約することはできないのです。手付に対して内金というのは、この場合、売買代金の一部前払いですから、その性質がちがいます。「この手付金は解約手付とするが、売買代金支払いのときにその一部に充当する」などと規定しておくことが必要です。
 この契約の場合、土地の引渡しと所有権移転本登記完了が売買の条件になりますから、その最終期日を確認しなければなりません。すなわち、この農地の完全なる所有権の行使を妨げる抵当権・質権・先取特権・賃借権など一切の負担は、所有権移転登記申請のときまでに完全に抹消しておかなければなりません。
 以上のような条項のほかに、本契約では売主は買主に対して、土地の境界を指定する地形図を交付して地積を明確にしなければならないこと、売主・買主の義務不履行に対する損害金の規定などを設ける必要があります。また、解約についての条件もできるだけこまかく定めておくべきでしょう。

土地
売主が代金を受け取らない場合/ 契約後に代金引換えに所有権移転登記を請求したのに売主が応じない場合/ 土地建物の売買契約書を公正証書にする効果/ 売主が契約を履行しない場合の訴訟以外の解決方法/ 買主が代金の支払に応じない場合/ 履行遅滞を理由とする解除権の行使/ 借地権の譲渡に地主が許可をあたえないときは/ 宅地建物取引業者と取引する場合の物件についての説明/ 不当に高額な報酬を宅地建物取引業者から要求されたとき/ 不完全な土地・建物を買ったとき/ 土地建物の売買にあたって欠点のない契約を結ぶには/ 買戻の特約はどのような特徴をもっているか/ 根抵当権契約の特徴/ 農地に対する抵当権の設定/ 農地停止条件付売買契約書作成上の注意/ 農地転用の手続きについて/ 質権設定契約と登記/ 代物弁済の予約と停止条件付不動産所有権移転登記/ 登記の申請における権利者と義務者の双方代理/ 滞納処分による差押え不動産の抵当権設定/

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