農地に対する抵当権の設定

 農地に抵当権を設定することができるでしょうか、また、抵当権実行による競売手続について、どんな点に注意すべきでしょうか。
 農地法第三条・・・農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、省令で定めるところにより、当事者が都道府県知事の許可(個人がその住所のある市町村の区域内にある農地又は採草放牧地についてこれらの権 利を取得する場合(政令で定める場合を除く)には、農業委員会の許可)を受けなければならない。

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 農地法第四条・・・農地を農地以外のものにする者は、省令で定める手続に従い、都道府県知事の許可を受けなければならない。
 農地法第三三条・・・強制競売又は競売の開始決定のあった農地又は採草放牧地について、入札又は競り売りを実施すべき日において許すべき買受けの申出がないときは、強制競売又は競売を申し立てた者は、省令で定める手続に従い、農林水産大臣に対し、国がその土地を買い取るべき旨を申し出ることができる。
 農地に対する抵当権の設定については、法令上なんらの制限がないので自由に することができます。ただし、所有権の移転その他農地を農地以外のものに転用するなどの場合には、農地法に定める諸種の制限(農地法第三条・第四条)を受けるので、たとえ抵当権の設定が許されても、抵当権を実行しようとする段階において、それらの制約によって時価に比して低い担保価値しか認められないことになり、結局、現行法規のもとにおける農地担保の金融は、きわめてむずかしいことに留意しなければなりません。
 農地について、所有権の移転・地上権・永小作権・質権・賃借権その他使用収益を目的とする権利を設定し、もしくは移転する場合には、相続・遺産分割・収用その他法律の定める特別の場合を除いて、すべて都道府県知事の許可が必要で、この許可を受けないでした行為は無効とされます。しかし、抵当権の設定は土地の使用収益を目的とする権利の設定に該当するものではありませんから、農地法第三条の規定の制限を受けることはなく、したがって都道府県知事の許可も必要としません。
 抵当権実行による競売手続においては、競売の申立自体は別段の制約を受けませんが、競落による所有権移転については、当然農地法第三条の制約を受けることになるのです。農地に対する競売の処理方法として、昭和二五年になされた最高裁判所民事局長の通達は「裁判所は競売開始決定をする際に都道府県知事の競売適格証明を有する者に限り競売を許す旨を定めること、競売希望者は競売期日前に都道府県知事に競売適格証明願を提出しその証明を受けること」などを定めており、都道府県知事の適格証明を持っている者に限って競売が認められ、またその適格証明は、農地法第三条二項に掲げる者に限って与えられることになっています。
 したがって、前記したような競売人の資格に制限がある結果、自然競落価格は著しく低下する傾向にあって、極端な場合には競落人があらわれない例もあります。競売に至らない場合には、競売申立人は農林大臣に対し、国のその土地を買い取るべき旨を申し出ることができることになっていますが、この場合の国の買取価格は、おおむね時価に比べて極めて低頓におさえられています。なお、農地を農地以外のものに転用すれば、所有権の移転について前述のような制約を受けないことは当然ですが、その転用についても、農地法第四条の定めるところにより農地を農地以外のものに転用する者は、省令で定める手続に従い、都道府県知事の許可を受けなければならないことになっています。
 現在、農地法の制限を受ける農地とは、耕作の目的に供される土地をいい、農業委員会の台帳に記載されています。農地であるかないかは、その実体に基づいて定められるのであって、土地台帳の地目の表示とは必ずしも常に一致するものではありません。したがって、土地台帳には、山林・原野・宅地などと表示されているときでも、現に耕作の目的で使用されている土地であるときには農地法の適用を受ける場合があり、また競売による場合も同様です。なお農地だけでなく採草または家畜の放牧の目的に供する土地も、採草放牧地として、前記のいろいろな制限を受けるのです。

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