土地建物の売買契約書を公正証書にする効果

 売主と買主の間で土地、建物の売買がまとまり、この契約を公正証書にすることになりました。売主は公正証書の強い執行力を利用して土地や家屋の明渡しについてもこの証書に加えておきたいというのですが、どうのような効果があるのでしょうか。

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 公証人法一条(公証人の権限)によれば「公証人ハ当事者其ノ他ノ関係人ノ嘱託二因リ法律行為其ノ他私権二関スル事実二付公正証書ヲ作成シ、私署証書二認証ヲ与へ並商法第百六十七条及其ノ準用規定二依り定款二認証ヲ与フルノ権限ヲ有ス」と規定されています。同法三九条(証書作成手続)によれば「公証人ハ其ノ作成シタル証書ヲ列席者二訪問カセ又ハ閲覧セシメ嘱託人又ハ其ノ代理人ノ承認ヲ得且其ノ旨ヲ証書二記載スルコトヲ要ス。通事ヲ立会ハシメタル場合二於テハ前項ノ外通事ヲシテ証書ノ趣旨ヲ通訳セシメ且共ノ旨ヲ証省二記載スルコトヲ要ス。前二項ノ記載ヲ為シタルトキハ公証人及列席者各自証書ニ署名捺印スルコトヲ要ス。列席者ニシテ署名スルコト能ハサル者アルトキハ其ノ旨ヲ証書ニ記載シ公証人之二捺印スルコトヲ要ス。証書数葉二渉ルトキハ公証人ハ毎薬ノ綴目二契印ヲ為スコトヲ要ス」と規定されています。
 公正証書は、公証人が契約当事者の嘱託によって作成する証書です。法律行為や私法上の権利に関する事実について、公証人が成規の方式で作成するものです。
 私法上の売買契約でも、公証人が公証人法その他の法律にもとづいて職務上これを公正証書にしますと、真正な公文書と推定され、訴訟において強い証抗力をもつことになります。
 また公正証書は次の三つの要件を備えると執行証書として法律上で執行力をあたえられ債務名義となります。
 公証人がその権限にもとづいて自分の手によって、成規の方式で作成していること。
 一定金額の金銭支払、または代替物もしくは有価証券の一定数量の給付を目的とする特定の請求が表示されていること。たとえば○月○日甲乙両者間に締結された売買契約の売掛代金○○円というように記載されていること。
 債務者が訴訟や支払命令手続を経ないで執行してもよろしいという執行認諾の文書が記載されていること。
 このような執行証書によれば、債権者は判決手続や支払命令手続を経る手数と費用をはぶいて執行することができるので、取引の実際面で消費貸借などに多く利用されています。
 公正証書の強い執行力を利用して、土地や家屋の明渡しを迫ろうと考える人がいますが、土地や家屋は特定物であって代替物ではありませんので、公正証書をつくっても明渡しの執行力は生じません。
 ただし、その売買や賃貸借に関する金銭面の債務不履行に関する差押えなどの強制執行力はありますので、注意を要します。
 この文書の書式のような家屋(建物)売買公正証書は、当事者全員が公証役場へ行って、公証人に契約の内容を伝えます。この際、公証人と面識がない当事者は、各自の印鑑証明書一通を呈示して、本人であることを証明しなければなりません。そうすると公証人は、その契約内容を法律的に検討して適正な文書を作成します。
 そしてこれを当事者全員の前で読み聞かせまちがいないという承認を得てから、公証人の公印を押印して原本の作成を終了し、正本を嘱託人である債権者(ここては売主)に交付します。
 公正証書の作成を依頼する嘱託人は必ずしも本人に限るというわけではなく、代理人でもすることができます。すなわち、弁護士、司法書士、不動産業者などでもよいのです。
 これらの代理人に公証役場に出頭してもらう場合には、本人の印鑑証明書のほかに、契約内容を記載した公正証書作成のための委任状、代理人の印鑑証明書(代理人が公証人と面識がある場合には不要です)一通などを、代理人に公 証役場へ持参してもらいます。公正証書は一行二〇字詰で二同行が一枚となっています。

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