契約後に代金引換えに所有権移転登記を請求したのに売主が応じない場合

 土地や家屋の売買契約が終ったので、買主は代金支払と引換えに、売主に対して移転登記や明渡しの請求をしましたが、売主がこの請求に応じません。どうしたらよいでしょうか。
 民法五五五条(売買)によれば「売買ハ当事者ノー方カ或財産権ヲ相手方ニ移転スルコトヲ約シ相手方カ之二其代金ヲ払フコトヲ約スルニ因リテ其効カヲ生ス」と定められていますので、売主に債務不履行の責任が生じます。また、不動産登記法二条二項によれば「前条二掲ケタル権利ノ設定、移転、変更又ハ 消滅ノ請求権ヲ保全セソトスルトキ」と定められており、所有権はこれに該当しています。なお不動産登記法三二条(仮登記の申請)によれば「仮登記ハ申請書二仮登記義務者ノ承諾書又ハ仮処分命令ノ正本ヲ添附シテ仮登記権利者ョリ之ヲ申請スルコトヲ得」と定められています。不動産登記法三三条(仮登記仮処分)によれば「前条ノ仮処分命令ハ不動産ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所ガ仮登記権利者ノ申清二因リ仮登記原因ノ疎明アリタル場合二於テ之ヲ発ス」と定められています。

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 そこで買主は裁判所に登記請求の訴を起こします。裁判に勝てば裁判所が売主に登記をせよと命じる給付判決が得られますから、この判決にもとづき買主は単独で登記手続をすることができます。明渡し請求も裁判所に訴えて勝訴の確定判決を得て、これをもとに仮執行の宣言を裁判所から付与してもらい、執行官に依頼して強制執行によって相手方を立退かせ、買主の占有を許可してもらいます。なお、買主がこのような措置をとる間、その土地・建物が転売や第三者に賃貸借されたりすることを防ぐため、勝訴の判決を得たら、仮処分命令による仮登記を申請します。
 仮登記とは 将来の本登記にそなえて、あらかじめ登記簿上の順位を保全するためになされる登記を仮登記といいます。登記は順位がものをいいます。無担保の土地であることを知って売買の予約をしておいても、いよいよ正式に売買が成立するまでの間に、誰かがそれに抵当権の登記をしてしまえば、後順位の取得者はそれをかかえ込む結果になります。
 そこで、途中で第三者に割り込まれないために、この仮登記をする必要があります。つまり、仮登記をしたあとで本登記をすると、その対抗力の順位が仮登記のときにさかのぼりますから、仮登記後につけられたいっさいの登記は効力を失います。このように仮登記は効果が大きいのと登録免許税も少額ですむので、さかんに活用されています。
 仮登記仮処分とは 仮登記をする場合には、登記義務者・登記権判者双方の協力が必要です。相手方が仮登記の申請に同意しない場合、裁判所に対して仮登記しなければならない旨の仮処分命令を申請し、この命令によって一方的に行う仮登記を、仮登記仮処分と称しています。この仮登記仮処分については前記「法的根拠」で述べたように、不動産登記法三二条および三三条に規定されています。
 仮登記をしようとする者は、その不動産の所在地を管轄する地方裁判所にその申請をして、売買契約書や農地売買契約書など、相手方が当然にこの仮登記に応じなければならない義務があることを明らかにした書面等を提出すれば、保証金の供託等の必要がなく、「仮登記をなすべし」という仮処分命令正本を交付してくれます。それを登記所に提出すれば、権利証(登記済証)も相手方の押印を必要とせず、一方的に仮登記ができるのです。

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