土地問題の解決

日本では諸外国と比較して土地の稀少性が高く、そのような状況下でも国民がその気になり、賢明な政策が行われれば土地、住宅問題を解決することは可能であると思われます。それには現在の産業と人口の極端な集中状況を改め、産業特に工業の分散的配置をはかり、また文化、情報、経済、行政センターとしての現代都市機能を現在の東京、大阪、名古屋クラスとほぼ同程度にそなえた都市を全国に発展せしめるべきです。現在のように三大都市圏を中心に同心円状に都市が拡大してゆき職場や大学は都心に、住宅は郊外に配置されるという都市の発展の仕方では、土地、住宅、通勤問題を解決することはほとんど不可能です。例えば首都圏をはじめとする三大都市圏で鉄道を複々線化したり、新しい都心へ乗り入れる地下鉄や首都圏高速道路を建設すれば、短期的には道路の交通渋滞と通動難は解消しますが、長期的には通勤、交通が便利になっただけますます三大都市圏に人口と企業が集中し、結局は、混雑は解消せず、通勤難と道路の交通渋滞は一掃ひどくなります。効率性の基準からすれば企業の活動水準や自動車交通に対して混雑税を十分に課し、工場や事務所の移転を促進し、自動車交通量を減らすことによって、三大都市圏の拡大と人口、企業の集中を抑制すべきです。逆に三大都市圏の混雑を解消するためにさらに公共投資を行えば、再び同じプロセスが繰り返されます。公共事業による騒音、振動、日照被害等の事業損失は、現在ほとんど補償されていませんが、それらの損失を正当に補償するとすれば、三大都市圏における公共投資の効率性はすでに著しく低くなっていると考えなければなりません。このような意味で、現在の国土の利用方法は効率性の基準からみて、狭い国土を一層狭く利用しているといえます。

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土地

混雑、騒音、振動、悪臭、日照被害といった外部不経済を内部化してゆく機構を整備することによって、都市建設に対する考え方を根本的に改めるならば、都市人口のほとんどが30分から1時間以内の通勤距離に住み、かなりの広さの住宅に住むことは決して不可能ではありません。そのためには公共投資を積極的に行って農地や林地を大量に公共団地、宅地、工業用地に転用しなければなりませんが、素材としての土地は、日本ではまだいくらでも残っています。
この内容を実現するために、決定的に重要と思われる条件が三つあり、それらは、すでに明らかにした土地攻策の理論から導かれます。土地利用に伴う外部不経済は、公的部門による土地利用規制の実施によって排除される必要があります。さらに、動学的な土地の有効利用にかんしても、市場機構の役割はごく限られています。したがって第一に土地の有効利用のためには公的な土地利用計画を作成し実施する必要があります。公共的土地利用計画の作成と実施に関しては、イギリスやドイツに参考とすべき実例があり、また比較的多くの人々が論じています。
第一に従来、日本の土地利用計画とその実施あるいは地域開発は、主として中央政府が計画を立案し、地方にそれを実施させるという方法で進められてきました。そのために計画に直接的な利害関係をもつ地域住民の意見が計画に反映しにくいことが問題になってきています。したがって地方レベルでは都道府県ないし市町村が計画立案、実施のイニシアティブをとり、中央政府の活動は全国共通の事業と各地域の土地利用計画を全国的あるいは各自治体にまたがる事業に関しては広城的見地から調整し、地方自治体が計南を実施するのに対して財政トラスファー等によって援助するといったものに限定されるべきであると思われます。この考え方は、開発は最も直接的な利害関係者である開発される地域の住民が主体となるべきであり、価値判断に基づきます。
日本における従来の土地利用計画あるいは都市計画の考え方は、一定の基準に合わない土地利用方法を禁止するという消極的な規制に力点がおかれ、合理的な土地供給という積極的な計画が充分に行われませんでした。また計画されたとしても財源調達難を理由に実現されることは稀でした。唯一の例外は、自動車取得税、自動車重量税、揮発油税といった目的財源を持っていた自動車道路でした。しかし、それでも沿道の住民や歩行者が外部不経済を被らないような配慮が全くなされてこなかったため、生活環境を著しく悪化させています。長期的にみて合理的な土地利用計画を作成し、公共投資を行ってその計画を実施し、効率的に種々の土地を供給してゆこうとする積極的な考え方がなかったことの弊害が、40年代のはじめから各地で深刻な形で噴出し、地方自治体は開発指導要綱によって開発規制をせざるを得ない状態に追い込まれていました。

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