公共投資の効率性と土地投機

土地利用に伴って外部不経済が発生しないようにするためには、長期的観点から土地利用計画を策定し、それを厳重に実施することが必要です。土地を住宅地としてにせよ、工場用地としてにせよ、ある特定の形で利用する場合には、公共投資が不可決です。ここに公共投資とは公的部門と財、サービスの料金等に関して公的部門の統制下にある私的部門、例えば電力、ガスによる投資を指すことにします。したがって、ここにいう公共投資によって生み出される財、サービスは必ずしも公共財とはかぎらず、分配の公正や効率性の観点から公的に供給される財、サービスだけでなく、公的に料金規制されて私的に供給される私的財も含めて考え、住宅地の場合には、人口規模に応じた消防、警察施設、道路、鉄道、バス等の交通機関、公園、上下水道、清掃設備、総合病院、小中学校などの生活関連の社会資本を整備する必要があります。工場用地の場合には、産業道路、港湾、用水等の産業基盤投資が必要です。

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いま述べた意味で、住宅用地、商業用地、工場用地等を供給する主体は、主として公的部門ないしその統制下にある私的部門であり、私的企業、民間ディベロッパー、不動産業者、私鉄等の活動の役割はごく限られたものです。例えば民間ディベロッパーは、ある住宅用地内の道路を供給することができるとしても、その用地に至る幹線道路や幹線バスを供給することは原則的にできません。それにもかかわらず、それらをあえて民間企業に供給させることは資源配分の効率牲からみても、分配の公正という観点からみても妥当ではありません。
各種の公共投資は規模の経済が著しく、それから生じるサービスについては、最適な人口規模と人口密度が存在します。しかし、個々の経済主体による土地投機は、公共投資の効率性とは無関係に、各経済主体の主観的な予想と各経済主体にとっての最適な資産選択に基づいて行われるために、公共投資が伴わずに土地が転用されていきます。その結果、虫食い状態が生じ、無秩序な開発が行われ、生活環境の悪化を招くことになります。
そうして、一旦このような形で開発され、住宅、事務所、工場等が建設されてしまうと、環境を改善するのは容易ではありません。それは第一に、ひとたび零細な土地所有関係、複雑な賃貸借関係が成立し、建造物等ができてしまうと、道路、下水道、清掃施設、義務教育施設等のための用地を取得することは著しく困難になり,用地買収費も高くつき、第二に社会資本投下によって環境が改善されることが予想されれば、土地の限界効用、ないし限界生産性が高まることが予想され、そのように予想が変化した段階で、すでに地価は上昇してしまい、公共投資のための用地費がますます増加するからです。かくして公共投資の1人当り費用は著しく高まり、公共投資を非効率なものにします。このような意味で、土地を個々の経済主体の投機対象としておく場合には、土地の供給に伴う社会的費用が著しく増大します。したがって、社会的費用の観点からすれば、土地投機は効率的な動学的資源配分機能を持たず、したがって、住宅用地、商業用地、工業用地といった各種の土地の供給に関しては国や地方公共団体が合理的な土地利用計画を作成し、各種の公共財を供給し、鉄道、通信施設などの公益事業を適切に配置してゆかなければなりません。このように土地の投機に関しては、安いときに買って高くなったときに売るというもっぱら転売によって利益を得ようとする純粋な形の投機のみならず、個人と企業の別なく広範に行われている広義の土地投機もまた同様に非効率的な資源配分をもたらすのです。

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