農地の宅地並み課税の効果

農地を宅地並みに評価して固定資産税と都市計画税を課したとしても、 農家が土地利用方法を変えることによって、実効税率程度の収益率に相当する地代取入をあげることができ、かつ、そのように土地利用方法を変えても、将来、土地を売却するときの転用費用が比較的小さくて済むならば、宅地並み課税後にも地価上昇率は顕著には低下しないと考えられるために農家は土地を直ちに売却せずに、土地利用方法を変える方を選択することになります。そのような土地利用方法としては、まず第一に、スポーツ施設、駐車場、貸菜園等が考えられます。ただし、そのための資金を借入れによってではなく、若干の土地を売却することによって調達する可能性はあります。農家が安全性を重視するほどこの可能性は大きくなるはずです。このような利用方法の転換によって固定資産税を支払うことができるならば、宅地への転換はほとんど行われず、転用しようとするときに多額の転用費用がかかるアパート等の供給も増加しません。

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土地

スポーツ施設や駐車場に対する需要はそれほど多くないかもしれません。特に一千坪とか二千坪といった比較的広い農地を保有している農家にとっては、そのような土地利用方法の転換には限度があります。そのような場合には、農家は土地を売却して、その土地が宅地へ転換されたり、アパート等の供給が増加するはずです。しかし、そのような宅地への転用やアパート等がどの程度増加するかは、すでに述べたように様々な要因に依存しますが実効税率が現在程度であれば、その効果はごく限られたものになるはずです。さらに、3年おきに行われる評価替えが時価の2分の1に満たなければ、実効税率はますます低下してゆき、保有税率の低下と同じ効果が働くので、宅地、住宅供給の効果はますます小さくなっていきます。
宅地並み課税の場合には、宅地需要者の土地需要曲線はシフトしないために、土地保有税の場合よりも、地価の低下は小さいのですが取引量の増加は大きくなります。それに対して、農地の宅地並み課税による土地の供給促進の効果は一時的なものではなく、農家が所有地の1.6%ずつを毎年売るとすれば、その効果は永久に持続するはずです。また、需要者の側も、地価の上昇率が他の資産よりも低い状態では、無理な借金をしてまで土地を買うことを手控えるようになります。地価の上昇率が他の資産の収益率の水準を超えているために生じていた供給抑制効果と需要の昴進とは、ともにその程度を弱めることになり、土地が他の資産より有利であるという状態は是正されます。以上の措置によって地価の上昇は確実に止まるものと予想されますが、それでも不十分な場合には、すべての土地に関する保有税の税率を多少引き上げることが考慮されます。しかし、この議論は宅地並み課税によって地価上昇率が低下することを証明することなく前提して、そのはじめに前提してしまったことを結論として導いています。農地の宅地並み課税は将来の各期の地価の絶対水準を引き下げますが、上昇率がどのように変化するかは一義的には決定されません。
地価上昇率を決定する要因は投資家たちが予想する将来の土地の限界生産力がどのような率で上昇してゆくかに依存します。土地保有税は土地の限界生産力に対しては全く影響を及ぼしません。したがって、農地保有税の課税強化が土地の留保需要を減退せしめ、農家所有地の吐出し促進効果が本格的に生じるのは、農地の宅地化が十分に進行し、地価上昇率が頭打ちになってしまってからのことです。

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