地価上昇率と土地投機

土地保有税が課せられると、地価は低下しますが、投資家たちが予想する将来の地価も低下します。その結果、土地保有税が課せられて、市場の調整が完了した後に、投資家たちが予想する地価上昇率もまた低下すれば土地投機は抑制されることになります。土地保有税の導入によって、人々が期待する地値の上昇率がどのように変化するかを予測するには、最近の日本において地価の上昇率が著しく高いのはなぜかを考えればよく、近年の日本で地価上昇率が著しく高い理由は基本的には、第一に資本が急速に蓄積され、また労働の質が向上しつつあり、その結果として日本全体としての土地と併せて使用される他の生産要素の土地に対する比率が急速に上昇しつつあります。その結果、土地が次第に従来よりも集約的に使用されことになります。例えば農業に対して工業の比重が増大するようになり、土地の限界生産性は今後ますます高まると予想されます。

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経済成長とともに人口が集中し、所得水準が上昇するにしたがって、所得弾力性の高い住宅地と公共用地に対する需要が増大しつつあり、また今後その一層の増大が予想されているからです。投資家が予想する将来の地価の期待値は、将来の土地の限界生産性、あるいは住宅用地としての需要の増加に関する予想に依存して決まります。したがって、保有税が課せられることによって、人々が予想する地価の上昇率がどのように変化するかは、いま述べた二つの地価上昇要因に関する人々の予想がどのように変化するかに依存しています。
他の事情に変化がないとすれば、保有税が課せられることそれ自体によっては、いま述べた地価上昇要因が顕著に影響されるとは考えられません。したがって、保有税が課せられることによって、各期の地価の絶対水準は低下しますが地価上昇率はほとんど変化しないか、仮に低下するとしても、その程度はわずかと思われます。土地保有税を課すことによって、土地のキャピタルゲインあるいは地価上昇率を低下させることができないとすれば、保有税によって土地投機を十分に阻止するには、保有税率を高めるのみならず、保有税率そのものを投資家たちが予想する地価上昇率とともに引き上げてゆかなければなりません。このように保有税率が地価上昇率とともに上昇するとき、それは実はキャピタルゲイン課税になるのです。さらに、キャピタルゲインが高いと予想される土地、例えば宅地開発が期待されているような土地は、近い将来、その土地の限界生産性が高まると予想されている土地ですが、現在はアパート等に対する需要は少なく、したがって、土地を売却してアパートを経営することは余り有利ではありません。このことは土地保有税は将来のキャピタルゲインが高いと予想されている土地に対してほど土地投機を抑制する効果が小さいことを意味します。

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