土地市場と土地投機

投資家は土地の価格の変化を考慮して行動しており、したがって土地保有者にはほとんどすべての場合には投機的動機が働いています。都市の農家が自家消費程度の野菜や売却用の作物を作ったりして、最大のインカムゲインを上げるように農地を利用しないのは、土地のキャピタルゲインを期待しているからです。しかし、農家ばかりが広義の意味での土地投機を行っているのではありません。宅地造成業者が現に造成工事を行っている造成中の何倍もの未着手地を保有しているのも、その間の値上りによるキャピタルゲインを獲得しようとするからです。

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宅地や工場用地の将来使用者も同様に、投機的動機に基づいて土地を購入します。例えば将来、家を新築しようとする家計は、土地の値上りを予想して先に宅地だけを手当てしておくことが多く、この行動には、一見して投機的動機が働いていないように見えますが、新築するまでの間、土地保有税税引後のインカムゲインはマイナスであるにもかかわらず、土地の値上りによるキャピタルゲインが大きく、両者を合計した土地収益からの限界効用の期待値が、資金を土地以外の他の資産に運用するときに得られるであろう取益からの限界効用の期待値よりも大きいため、新築するかなり前に土地だけでも手当てしておこうとするのです。また、さしあたり新築する家屋に比較してかなり広い土地を購入し、将来、子供が独立したときに、子供のために残余の土地に家を新築するといった行動も広範にみられますが、この場合にも広義の意味で土地投機が行われていることになります。
建物の高層化が進み、土地がかなり集約的に利用されている都心部に、従来からの小売店がビルの谷間で営業を続けていたり、平家建ての一般家計の家屋が存在するのも、それらの小売店や家計にとって、インカムゲインは地価に比較して著しく低いのですが、キャピタルゲインを含めて考えれば、限界的な土地収益から得られる限界効用の期待値が、その土地を売却して他の資産に乗り換えたときに得られる限界効用の期待値よりも大きいためと思われます。
一方で、土地に関しては、価格が低いときに土地を購入し、価格が上昇してから売却して売却利益だけの利潤を獲得するという投機が広く行われているとは思われません。それは土地は資産として流動性が低いからです。狭義での投機者にとっての投機利益はグロスの利益、つまり土地の値上がり額から土地購入のために必要な経費、期間中の土地の管理維持費、税負担、土地売却に必要な経費の三つを控除した値であり、経費が大きいということは、土地の流動性が低いからに他なりません。

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