資産保有を決定する基準

ある資産が有利であるかどうかは、その資産を保有することがその経済主体の目的を達成するうえで、最もコストの安い手段であるかどうかということで判断されます。つまり、ある二種類の資産のいずれが、ある投資家にとってより有利であるかは、ある一定の資産構成において、各々の資産保有をそれぞれ限界的に単位追加したときに、いずれがその投資家の目的を達成するうえで有利であるか、ということで判断されます。このように、資産の様々な性質と収益性とを総合的に判断してどのような資産がもっとも有利な資産であるかは、投資家の目的を最大限に達成するという基準に従って決定されるのです。

スポンサーリンク
土地

各種資産の間の裁定による均衡関係は資産選択の理論をよく理解していない人が考えているよりは、はるかに確実に成立しており、したがって資産保有として現在の時点で将来に向って土地が他の資産よりも特に有利だということはないとされてきました。つまり、第一に投資家が主体的均衡に達したときには、その投資家にとって土地が他の資産よりもとくに有利だということはありません。第二に、もし主体的均衡を崩すような与件の変化が生じれば、投資家は速やかに資産構成を与件の変化に応じて変化させようとし、その結果、各種の資産の価格が変化し、新たな主体的均衡と市場均衡が達成され、そのような新たな均衡状態では、再び各投資家にとっていずれの資産もその有利性に関して無差別になります。
それでも土地は隔絶して有利であると考える人が多いかもしれませんが、この場合には、二つの意味が含まれているように思われます。
一つは、土地で巨額の富を築いた人を見たり、聞いたりして、第三者が土地は有利だと思う場合です。例えば昭和47年は、土地や株でもうけた人が比較的多かったのですが、土地、株式ブームに乗り損なった人や、それらに投資するだけの資金がなかった人や、借金すれば買えたのにそれをしなかった人は、実際に土地や株が値上りしたのを見てから、土地や株でもうけた人に対して若干の非難と羨望を込めて土地は有利だとか、株は有利だとか思うのです。しかし、土地や株式を買おうと思えば買えたのに、あるいは無理して借金すれば買えたのに、買わなかったのは、事前的には土地や株式に投資することを有利だとは思わなかったのです。土地や株式等の資産の価格を決めるのは、事前的に有利だと考えて実際に土地や株式に投資する投資家の土地や株式に対する需要なのであり、実際に値上りしたのを見てから、事後的に投資しておけばよかったと後悔する投資家の行動ではないのです。
もう一つのケースは、現在は土地に投資することは有利ではないが、将来は有利になるであろうと考えて、貯蓄残高を増やしている場合です。例えば現在は借家住いしているが、将来は持ち家を取得しようとして貯蓄している家計が、この場合にあたります。しかし、この場合でもこの投資家は現在の所得、資産保有額という制約条件のもとで、現在時点で最も有利な資産選択を行っており、主体的均衡に達しているのです。土地は格別有利ではないというのは、一定の所得、資産保有額の制約条件のもとで、個々人が主体的均衡に達したときについて述べられることであり、個々人の所得と資産保有額あるいは資産の価格が将来変化したときには、現在は土地を所有していない個人が土地を購入したり、あるいは現在土地を所有している人がさらに土地投資額を増やしたりすることが有利であるということを排除するものではありません。個人はそのような将来の変化を考慮しながら日々最適な消費と貯蓄の組合せと最適な資産選択を行っていると考えられます。

土地
資産の性質と土地/ 資産選択と土地/ 土地需要と予想/ 地価高騰の原因/ 地価決定と財決定の違い/ 地価の限界地規定説/ 住宅金融/ 賃貸借に伴う費用/ 土地家屋の購入と賃貸/ 財サービスの性質と賃貸借契約/ 土地投資の有利性と持家指向/ 住宅金融拡大の効果/ 借地法/ 農家の土地売却動機/ 地価上昇率と土地の有利性/ 土地の流動性/ 土地と機会費用/ 土地と不確実性/ 資産保有を決定する基準/ 土地市場と土地投機/ 地価上昇率と土地投機/ 農地の宅地並み課税の効果/ 土地の外部性と用途地域/ 土地の動学的有効利用と土地投機/ 公共投資の効率性と土地投機/ 公共投資とその利益/ 土地問題の解決/ 土地収用と土地利用制限/ 遊休地に関する措置/ 地価と土地の有効利用/ 土地の収用/ 損失補償の基準/ 相隣関係法理と損失補償/ 事業損失補償の現状/ 効率性基準と受忍限度/ 正当な補償/ 土地収用と正当な補償/

       copyrght(c).土地の買い方ガイド.all rights reserved

スポンサーリンク

プライバシーポリシー