土地と不確実性

土地は確実性の高い資産であるというのが日本の都市圏に対する一般の認識です。都市圏の土地の収益の最も大きな部分は地価の上昇であり、都市圏の地価上昇率はきわめて高く、その高い上昇率が確実に続いていいます。土地の流動性、可分性、可逆性、一般的受容性という性質は、はぼ制度的に決まってくるものであり、したがって、それらの性質は土地一般にかなりの程度まで共通していると考えられます。ただし、可分性については、農地、工業用地、住宅用地といった用途ごとにかなり異なります。それに対して、土地の不確実性については、土地一般について、その不確実性の程度はこれであるといえないばかりか、同じ土地についても、その不確実性の程度は投資家ごとに異なります。つまり、不確実性とは主観的な概念であり、したがって、土地一般が株式一般あるいは他の資産一般よりも不確実であるとか、確実であるとかということはできず、また、個々の土地が個々の銘柄の株式よりも不確実かどうかも、投資家ごとに異なり、一般的にいえることではありません。しかし、ある資産が不確実であるというのは、その資産の収益、つまり、インカムゲインとキャピタルゲインの和を確率をもって予想できないということであるかぎり、土地はだれにとっても不確実な資産であることには変わりありません。

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都市圏の地価上昇率はきわめて高とか、その高い上昇率が確実に続いているなどといったことは、土地が確実性の高い資産である証拠には少しもなりません。結果的には現に年々の平均的な地価上昇率が高いということから、すべての、あるいはたいていの土地の需要者が、具体的な土地について、常に他の資産とは隔絶して高い地価上昇率を予想して行動しているということは決して導かれないのです。土地は確実性に関しては、定期預金、貸付信託、金融債等の確実な資産よりも劣っています。もしそうであれば、個々の土地の収益率の期待値は確実な資産の利子率よりも、その不確実性の程度に応じて高くなければ、投資家はその土地を購入したり、保有し続けたりしないことになります。その場合、ある土地の収益率の期待値が確実な資産の利子率をどの程度上回れば、投資家がその土地を購入したり、保有し続けたりするか、投資家の不確実性あるいはリスクに対する選好の程度、つまり資産家の効用関数の形状に依存します。以上に論じてきたように、ある資産が他のある資産よりも有利であるかどうかは、資産の流動性、可分性、可逆性、一般的受容性、不確実性といった諸性質とその収益性とを総合的に比較判断して、はじめて言えることです。

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