農家の土地売却動機

都市が発展、拡大してゆくときには、どの国でも農地や林地が売却されるか賃貸されるかして工業用地、商業用地、住宅用地に転用されてゆきます。したがって宅地、住宅問題を考えるうえで、農地や林地の所有者の行動原理、つまり農家はどのような基準に従って、農地や林地を宅地需要者に売却あるいは賃貸するかを明らかにしておくことは重要です。一方で農地や林地が宅地に転用されてゆく場合には、整然と宅地に転用されてゆかず、かなりの面積の農地、林地を残しながら,虫喰い(スプロール)状に宅地化が進行してゆくことが多く、特に戦後の日本では、スプロール現象が著しい形で生じ、環境の悪化を招いています。

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土地

農家の土地売却代金の使途について調査を行なった結果、農家の土地売却を次のように要約されます。消費的欲望の充足、消費的欲望の充足と代替地の購入、貸家・アパートなどへの投資
消費的欲望の対象としては、家の新改築があげられていますが、借金の返済などの動機もここに含まれるとされています。消費的欲望の充足と代替地の購入としては、具体的に限界地化した土地を売って、家を新築して、その上まだ限界地化しない安い土地を買うという行動を指し、ここでいう限界地とは現時点における住宅用地に対する需要の最外側地域のことになります。貸家・アパートなどへの投資については、土地売却代金で貸家・アパート・貸事務所等を建てる行動を指し、この場合にも農家にとっては、様々な資産のうち土地がもっとも有利な資産なのですが、消費的欲望を満たすために、土地を一部売却して現金収入が得られる貸家やアパートを経営すると考えられます。
これらの行動は、すべて消費的側面ばかりでなく、資産選択の側面をも含んでいます。例えば農家が農地の一部を売却して、その売却代金で住宅を新改築するという行動をとってみると、家屋を新改築すれば、それにより毎期毎期、帰属家賃として評価される住宅サービスのフロー(インカム・ゲイン)が得られます。このサービスのフローは毎期毎期消費されます。これはいま問題にしている農家の行動の消費的側面です。しかし、家屋の新改築そのものは消費ではなく、実物資産への投資であり、したがって、それは資産選択行動としてとらえられるべきものです。さらに住宅サービスに対する消費的欲望を充足するといっても、自らは借家住いして、持ち家以外の他の資産、つまり、土地、金融資産、貸家、貸事務所等に投資してそれから得られる収益で借家の家賃を支払うか、それとも住宅を新改築、住宅に投資して、自分自身がその住宅に居住するかという選択があり得ます。農家にとって上記のように、所有地の一部を売却して、消費的欲望を充足したうえで、残金で代替地を購入したり、貸家やアパートを経営するのは、いうまでもなく資産選択の側面です。

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