賃貸借に伴う費用

借地借家契約のような賃貸借契約は時間がかかり、持ち家の場合には存在しない費用が存在します。ここでは賃貸借に伴う費用を主として賃借人の側からみますが、賃貸人にとってもほぼ同様の費用が発生します。はじめに家屋を借りて居住するか、土地と家屋を共に購入して居住するかの選択が可能である場合について検討します。まず第一に、借家を選択する場合には、時間をかけて当該家賃が妥当であるかどうかを市場で調ベ、借家条件を交渉し、最終的に契約を結ばなければなりませんがこれらの取引には無視できない費用がかかります。これらの費用を賃貸借契約の取引費用と呼びます。それに対して、持ち家の場合には,移転のたび毎に土地、家屋を売買しなければならず、それに伴って取引費用、不動産売買手数料と不動産取得税、譲渡所得税等の税金がかかります。取引費用は、家屋を借りて居住するか、土地と家屋を共に購入して居住するかを選択してもかかりますが、ある地域に比較的長い期間居住しようと計画している家計にとっては、持ち家を選択すれば、その比較的長い居住期間中、今述べたような取引費用はかからず、したがって、そのような家計は持ち家を選択することになります。

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第二に、賃貸借契約の更新毎に家賃の改定や更新料をめぐって家主との間にトラブルが生じるかもしれません。このような心理的負担も一種の借家の費用です。さらに、こうしたトラブルは訴訟によらなければ解決できない場合もあり、その場合の費用と時間は賃貸借契約の当事者にとって大きな負担となります。これを賃貸借契約に伴う紛争費用と呼びます。
第三に、借家は契約が解約されたときには、契約を結んだときの状態で明渡さなけれぱなりません。したがって、もし借家人が借家を増改築したりすると、契約が解除されたときには、費用をかけて、もとの状態にもどさなければなりません。家屋は耐久性を持ち、分割もほとんど不可能であるため、もとにもどすための費用は著しく高いものになります。これを賃貸借契約に伴う転用、解約費用と呼びます。このような転用、解約費用がかかるので、実際には借家人が所得や家族数の増加に応じて借家を改築することは契約において禁止されています。したがって、借家を選択する場合には、住宅用役の需要の変化につれて、費用と時間をかけて、適当な借家をさがし、転々と移動しなければなりません。あるいはどんなに費用と時間をかけても、適当な借家が見つからないかもしれません。それに対して持ち家を選択する場合には、所得や家族数の増減に応じて、計画的に増改築を行うことができるので、それに伴って発生する費用も転々と借家を移動する場合よりも安く済むことになります。
第四に、一般に人は他人の所有物よりも自己の所有物を丁寧に使用する傾向があるので、住宅サービスを一定の水準に維持するための費用は、貸家借家の方が持ち家よりも高くつく可能性が大きく、これを道徳的危険費用と呼びます。したがって、一定の費用で住宅サービスを消費しようとするならば、持ち家に住んだ方が借家住いをするよりもより良質の住宅サービスを消費できることになります。
以上のような賃貸借契約に伴って発生する様々の費用を賃貸借に伴う費用と呼びます。ある家計にとって、賃貸借に伴う費用が、持ち家を選択した場合の取引費用よりも高ければ、その家計は持ち家を選択することになります。

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