地価の限界地規定説

新沢嘉芽統、華山謙による地価の限界地規定説では大都市圏の宅地を説明しようとするものです。まず出発点として住宅地の地価現象についての観察を整理したうえで、ある土地の地価は、それより遠隔な土地の地価との相対関係できまっているので、相互にそのように推移する場合、終局の規定地は限界地のほかにはなく、このように見ていくと、相対関係を無視して、その絶対額を考察できるのは,限界地だけだということがわかるとしています。これが地価の限界地規定説と呼ばれる考え方です。なお限界地についての明確な規定はなされていませんが、都心への通勤者が持ち家を建てるもっとも遠い時間距離の地域のことであり、次第に遠隔地に拡がってゆくと考えられています。

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土地

限界地よりも都心に近い土地、限界内地の地価形成については、二通りの違った説明がなされています。すなわち一方では、限界地から都心までの中間地域では、土地の供給価格Pは限界地からの関係で決まる与件です。Pでの供給はいわば無限です。取引量Aは需要曲線Dの位置で決まると説明されています。他方では、限界地ではなくなった優良地についても、需要が増大し続けるのに対して、地価上昇率が高水準を保つかぎり供給量の増加は少ないので、地価は新限界地よりは高くなりますが、取引量はあまり増加せず、スプールはなかなか解消せず、同じ理由によって、限界地から都心に向って広範な農地を残しながら、地価は際限なく上がり続けるという説明もあります。
新沢、華山は地価に関する日常経験ないし観察に基づいていくつかの傾向を現象として述べた後で、すでに引用したように、このように見てゆくと、相対関係を無視してその絶対額を考察できるのは、限界地だけだということがわかると述べていますが、どうしてそう結論されるのか、およそ論証と考えられるものはなにも示されていません。
新沢、華山の説明はたとえていえば、次のようなものです。各種の株式とか記念切手とかの価格に関していくつかの現象を説明したあとで、相対関係を無視して、その価格の絶対額を考察できるのは,優良株だけだということがわかるというようなものです。そのようなことは絶対にわかりはしないものです。各種の土地の価格のあいだの相対関係や競争関係は直接の現象としては現われていないので、感得しにくいとか、外側から中心の作用などを持ち出しても、終局の規定地は限界地のほかにはないとか、優良株、最新の記念切手のほかにはないとかという結論など絶対に導かれるものではありません。そのようなことが導かれるのであれば、そのことを論証すべき必要があります。限界内地の地価決定に関しても、それは限界地からの関係で決まる与件であるとされていますが、それがどのような関係で決まるかはなんら説明されていません。新沢、華山は限界地以外の宅地価格を、どのように説明するのでしょうか。
新沢、華山説では、土地に対する需要、供給を宅地、商業地、工業地、農地、公共用地等についてそれらがそれぞれ別々に決まることが強調されています。たしかに個々のタイプの土地について特殊な事情を考慮することも大切なことではありますが、各種の土地は相互にかなり密接な代替材であることを忘れるべきではありません。

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