土地需要と予想

私達は将来の地代と地価に関する予想は所与であるとして分析してきました。しかし、不確実性を明示的に考慮する場合には、将来の地代と地価に関する予想がどのように形成されるかという点を検討しておく必要があります。地代は土地の限界生産性の上昇や人々の所得水準が上昇することによって住宅用役需要が増加すると上昇します。したがって、将来、土地の限界生産性が上昇することや人々の所得水準が上昇して、住宅用役需要が増加するという予想が人々の間で支配的になると、将来の地代も上昇すると予想されるようになります。将来地代の期待値が上昇すれば、土地需要は増加し、その結果として地価が上昇します。

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次に将来の地価に関する予想はどのようにして形成されるのでしょうか。人々が予想する将来の地代の期待値が上昇すれば現在の地価は上昇します。このことから、人々が予想する将来のある時点の地価は、その将来の時点よりもさらに先の地代が上昇すると予想されるときに上昇することがわかります。さらに、現在の地価は金融が緩和して借入利子率が低下するか、借入利子率は一定であっても投資家が借入れることができる資金額が増加すれば、土地に対する新規需要が増加し、留保需要も期待資産効果の絶対値が代替効果よりも大きくないかぎり増加するので、地価は上昇します。したがって、人々が予想する将来のある時点の地価は、その時点よりさらに先の金融条件にも依存することになります。例えば将来、他の事情を一定として金融が緩和されると予想される場合には、将来の地価の期待値は上昇します。
このようにして、人々が予想する将来の地代と地価の期待値が上昇すると、現在の地価は上昇することになります。このとき、金融が長用的にみて、しだいに緩和されると予想されないかぎり、地価を上昇させるのは基本的には予想される土地の限界生産性の上昇と所得水準の上昇等に基づく住宅用役需要の増加です。そして、そのような予想を根拠づけるものは、将来の資本蓄積、技術進歩、労働の質の向上、人々の所得水準等の動向に関する人々の予想であり、個々の土地についてみれば、個々の土地利用の方法、将来の公共投資等に関する人々の予想です。ここでは個々の土地について、人々が予想する将来地代としたがって将来の地価を変化させる若干の要因を具体例を示しながら説明しておきます。
例えばある土地が現在は農地として利用されていますが、将来宅地化される可能性が大きいとします。もしもそうであれば、農業地代よりも宅地として利用した場合の地代ないし帰属地代の方が大きい限り将来の地価はそれだけ高く予想されます。あるいは、周辺の土地がマンションや事務所用地として利用されるようになり、それだけ土地の限界生産性としたがって地代が高まれば、今だマンションや事務所用地として利用されていない周辺の土地も、将来マンションや事務所用地として利用され、したがって地代が上昇する可能性が大きいと予想され、その結果として人々が予想する将来の地価も上昇することになります。あるいはまた、ある特定の土地に近い将来、公共投資が行われる計画が発表されれぱ、その土地の用役の限界効用と限界生産性がそれだけ高まり、したがって地代も上昇すると予想され、人々が予想する将来の地価も上昇することになります。このような予想の変化を通じて現在の地価は上昇します。

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