資産の性質と土地

金融資産は、現金通貨、当座預金、短期性預金などの通貨、定期預金、信託証書、保険証書、さらに公債、金融債、社債、投資信託受益証券などの有価証券などから成り立っています。各々の金融資産及び土地、建物という実物資産はそれぞれ異なった性質をもち、異なった目的のために保有されます。これらの性質のうちで資産の価格を決定するうえで重要なものとしては、不確実性、流動性、可逆性、可分性、一般的受容性などがあげられます。不確実性とは資産から将来得られるインカム・ゲインとキャピタル・ゲインとがどの程度の確実性をもって予知できるかという性質です。インカム・ゲインとは金融資産の場合には、利子収入あるいは配当収入等がそれに該当します。土地、建物の場合には地代家賃がそれに該当します。しかし土地、建物は所有者自身が使用している場合には、地代家賃は現金収入という形をとりません。この場合には、所有者自身が土地、建物のサービスを消費しているわけであるため、地代家賃は生じてはいますが、所有者自身がそれらの収入を消費していると考えられます。このような地代家賃は帰属地代、帰属家賃と呼ばれます。それに対してキャピタル・ゲインとは資産価値の上昇による利益をいいます。キャピタル・ゲインは、それが生じた資産を売却した時には、実現したといわれますが,売却しなければ単に生じたといわれ、未実現キャピタル・ゲインと呼ばれます。しかし経済学的にはキャピタル・ゲインは、実現するかしないかにかかわらず、資産所得の一種とみなされます。それはキャピタル・ゲインを実現しないのは、そのゲインを同じ資産に追加投資していると考えられるからです。ここでは、ある一定期間におけるある資産1単位当りのインカム・ゲインとキャピタル・ゲインの和を当該期間における収益と定義し、その収益を当該期間の期首の資産価格で除したものを当該期間における収益率と定義します。物価水準を不変と仮定するか、あるいは名目で収益を考えた場合に、先に定義した意味で確実な資産は、現金、短期性預金、定期預金等の広義の通貨です。それ以外の金融資産と土地、建物は,不確実な資産です。

スポンサーリンク
土地

ある資産がどの程度不確実であるかは、主観的に判断されます。したがって、ある特定の株式が、ある特定の土地よりも確実性が高いとか低いとかは、客観的にいえることではありません。きわめて心配性の人々にとっては、普通預金や定期預金も不確実な資産かもしれません。なぜなら、彼らは銀行が倒産するかもしれないと心配するからです。
流動性という言葉は、様々な意味合いで使用されていますが、ここではまず、資産の完全な価値を、もっとも有利な条件のもとで、しかも、十分な準備を経たのちに売却して得られる最大の現金額であると定義します。そのときに資産の流動性とは、この価値が完全に実現されるまでに要する時間の大小、その速度の大小によって定義されます。完全な価値実現に要する時間が短くてすむとき、その資産の流動性は高いといい、長くかかるときは、その資産の流動性は低いといいます。このように流動性を定義すると、現金は定義的に完全な流動性を備えた資産であり、この意味で価値の実現とは現金での実現、すなわち現金化に他なりません。短期性預金、定期預金、短期証券、長期証券等はその売却までに若干の時間がかかりますが、売却した時点で完全な価値が実現されます。したがって、これらの金融資産はほぼ完全な流動性を備えた資産であす。それに対して、土地、建物は売却を決意した時から売却までに時間をかけるほど実現される価値が高くなる傾向があり、価値が完全に実現されるまでにかなりの時間がかかります。したがって,流動性はきわめて低くなります。
流動性は当該資産市場がどれだけ組織化され、したがって取引のための費用がどれだけかかるか、ということと密接な関係があります。債券や株式のような金融資産の取引費用は、金融市場が発達しているため取引額には依存しますが、取引を決意した時から取引が成立するまでの時間にはほとんど依存しません。それに対して、土地の場合には取引費用は取引額のみならず、取引を決意した時から取引が成立するまでの時間にも大きく依存します。例えば株式を現金化する場合には、株式が売却されるまでには時間がかかりますが、費用をかけてもその時間ははとんど短縮できません。あるいは費用をかけて時間を短縮することが有利になるほど、もともと価値の実現に時間がかからないと言った方が適切です。それに対して土地、建物の場合には,多額の広告、宣伝費や調査費用をかければ、価値を完全に実現するための時間を相当短縮でき、もし広告、宣伝費を費やさずに、早く売ろうとすれば、それだけ値引きしなければなりないことになります。つまり先に定義した意味での土地資産の価値が完全に実現される時間は、もし取引費用をいとわなければ相当程度短縮できます。この意味で取引費用は、時間の減少関数です。
可逆性とは、資産の価値と資産の取得のために支払った対価との関係を示す性質です。その資産のために支払った対価のすべてを実現できるならば、その資産は完全に可逆的です。手数料等の取引費用や譲渡所得税等に加えて、売買にかかる時間やエネルギーも取引費用に含めて考えると、完全に可逆的である資産を考えることは困難です。可逆性も流動性と同じように取引費用という点で市場がどれだけ組織化されているかに依存します。可逆性という点では土地、建物は金融資産に比べて相当に劣った資産です。
可分性あるいは分割可能性とは、資産がどれだけの単位で取引されるかを示す基準です。貨幣は1円まで分割可能ですが、証券などにはそれぞれ取引の最小単位が決まっています。土地、建物の可分性は一般に金融資産より小さく、したがって、可分性に関しても土地、建物は他の資産よりも劣っています。

土地
資産の性質と土地/ 資産選択と土地/ 土地需要と予想/ 地価高騰の原因/ 地価決定と財決定の違い/ 地価の限界地規定説/ 住宅金融/ 賃貸借に伴う費用/ 土地家屋の購入と賃貸/ 財サービスの性質と賃貸借契約/ 土地投資の有利性と持家指向/ 住宅金融拡大の効果/ 借地法/ 農家の土地売却動機/ 地価上昇率と土地の有利性/ 土地の流動性/ 土地と機会費用/ 土地と不確実性/ 資産保有を決定する基準/ 土地市場と土地投機/ 地価上昇率と土地投機/ 農地の宅地並み課税の効果/ 土地の外部性と用途地域/ 土地の動学的有効利用と土地投機/ 公共投資の効率性と土地投機/ 公共投資とその利益/ 土地問題の解決/ 土地収用と土地利用制限/ 遊休地に関する措置/ 地価と土地の有効利用/ 土地の収用/ 損失補償の基準/ 相隣関係法理と損失補償/ 事業損失補償の現状/ 効率性基準と受忍限度/ 正当な補償/ 土地収用と正当な補償/

       copyrght(c).土地の買い方ガイド.all rights reserved

スポンサーリンク

プライバシーポリシー