住宅の割賦販売約款

契約書は、一定の事由が発生した場合にはこれを不動産の売主または金銭の貸主に通知すべきものとしています。ただし、通知を要する事項は、契約書によって必ずしも同じではなく、詳しく定めているものや、簡単にしか定めていないものなど、様々です。まず、住所、氏名の変更は、大半の約款が要通知事項としており、債務者 ないし保証人の死亡も、多くの約款によれば通知を要します。最大公約数的な要通知事項はこの程度ですが、このほかに、次の事項をも要通知事項の中に含めている約款があります。すなわち、債務者または保証人の職業の変更、これらの者に対する強制執行、仮差押、仮処分または競売の申立、もしくは和議開始の申立、これらの者に対する破産の申立、整理の申立、または更生手続開始の申立、等です。
通知を要する場合に通知をしないと、一定の不利益を蒙ることになります。約款に よれば、この点については二種の定め方があるようです。すなわち、一般的な契約義務違反として債務不履行責任を負わせるものと、集金遅延その他の原因となって債務者が不利益を蒙ってもそれは売主の責任ではないとするものとです。
約款は、不動産の買主ないし金銭の借主が割賦代金の完済前に一定の行為を行なおうとする場合には、売主ないし貸主の承諾を受けなければならないものとしています。しかし、要承諾事項は約款によって一様ではありません。まず、すべての約款がとり上げているのは購入不動産の処分です。すなわち、不動産を譲渡したり貸与したり、あるいは質権、抵当権その他の権利を設定し、またはそれらの権利を移転しようとする場合には、売主ないし貸主の承諾が必要とされているのです。次に、購入した土地、建物の現状を著しく変更することは、多くの場合、要承諾事項とされています。たとえば住宅公団の場合には、住宅の模様替えまたは増築、土地の現状の著しい変更、住宅その他の用途への併用、等です。
承諾を受ける必要がある事項を承諾を受けないで行ないますと、期限の利益を喪失し、あるいは契約を解除される、等の不利益を蒙ることがあります。

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土地

約款は、買主ないし借主側に一定の事由が生じた楊合には、買主から期限の利益を奪い、あるいは契約が当然に解除されるものとしています。これに該当する事由は、これまた約款によって違いますが、おおむね次のようなものだと言えます。つまり、割賦金の支払の遅延、不動産の売主ないし金銭の貸主の承諾を得ないで購入不動産を処分したとき。住宅等の引渡を受けた後、正当な理由がなく速やかに住宅への入居を完了しないとき、正当な理由がなく所定の時期に工事に着手しないとき。強制執行、仮差押もしくは仮処分を受け、または競売の申立を受け、破産もしくは和議開始の申立があったとき。公租公課を滞納してその督促を受け、または保全差押を受けたとき、購入不動産が法令により収用もしくは使用されたとき。目的不動産の滅失、毀損または減価。手形交換所の取引停止。設計変更等により建築費が契約額を下回るに至ったとき。その他契約違反の行為。
以上に例示的にあげた事由は、原則として期限の利益の喪失事由であり、かつ契約解除事由ですが、約款によっては、あるものを期限の利益の喪失事由とし、他を契約解除事由として、別にとり扱っているものもあります。なお、無催告解除約款については、それが買主にあまりにも不利な場合には、その有効性が問題となりうるでしょう。また、期限の利益の喪失約款については、残債務の時効の起算点が問題になります。つまり、買主が期限の利益を喪失させられますと、売主は残債務を一時に請求することができるわけで、このときから時効期間が進行することになるのかどうか、が問題になるわけです。かつて判例は、期限の利益の喪失約款を次の二種にわけました。つまり、割賦払債務の一回の遅滞でも当然に期限の利益を喪失する、とする約款と、期限の利益を喪失させるためにはその旨の意思表示を必要とする、とする約款です。そうして、判例は、期限の利益を喪失させるためにはその旨の意思表示を必要とする、とする約款の場合には、債務者の怠のときではなく、期限の利益を喪失させる意思表示をしたときに、時効期間が進行しはじめる、と解しました。最高裁判所の近年の判決も、割賦金弁済契約において、割賦払の約定に違反したときは債務者は債権者の請求により償還期限にかかわらず直ちに残債務全額を弁済すべき旨の約定が存する場合には、一回の不履行があっても各割賦金額につき約定弁済期の到来毎に順次消滅時効が進行し、債権者が特に残債務全額の弁済を求める旨の意思表示をした場合にかぎり、その時から金額について消滅時効が進行するものと解すべきであると判示しました。
買主ないし売主が割試金の返済を怠ったりして債務不履行に陥ると契約を解除されることになりますが、約款はこの場合に、高額の違約損害金を定めていることがあります。そこで、買主は目的不動産を失い、さらに高額の違約金をとられることになりますから注意することが必要です。
多くの約款は、不動産の買主ないし金銭の借主がその金銭債務を履行しない場合にそなえて、これらの者に対して公正証書を作成せしめ、強制執行の認諾義務を課しています。そこで、そのような場合には、債務を履行しないと直ちに強制執行されることがありますから、注意をしておく必要があります。

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