代金全額を用意できない場合の支払方法

気に入った土地、建物があって、どうしても買いたいが、いますぐ代金全額を用意できない、という場合がよくあります。このような場合でも、売主との話合いさえつけば、分割払いにするとか、後払いにしてもらうとか、いろいろの方法があります。月賦住宅とかローン付建売住宅というものがあり、代金の全額がすぐ用意できない人にも買いやすい方法を考えて売り出している土地、建物分譲業者の例も多くみかけます。
分割払いの例として、第一は、売買代金のうちの一部ないしは相当の部分の支払を、不動産 の引渡後に延ばしてくれ、相当の期間にわたって月ごとの分割支払でよいとしてくれる場合です。最も普通の意味での、あるいは狭い意味での割賦販売とよんでいいでしょうし、この場合の月賦住宅会社は、建築業と金融業との両面を特っていることになるわけです。
第二は、分譲業者か銀行など金融機関と提携していて、不動産購入者が購入代金をその金融機関から借り受けられるように斡旋してくれ、購入者は金融機関からのこの借入金で分譲代金を支払い、あとは金融機関へ月賦で返済していく、という方法です。ふつう、金融機関の提携ローンとよばれるもので、金融機関と不動産購入者とを主体とする金銭消費貸借の関係になります。
第三は、不動産分譲会社とは関係なしに、不動産購入者が資金を金融機関から借り受け、あとは月賦で返済していく、という方法で、普通金融機関の非提携ローンとよばれています。
この例も、頭金を支払 って土地、建物の引渡をうけ、残代金を月賦にするというもので、後払いの一例ですが、売主との話合いで、全額後払いにするという方法も考えられます。全面的に後払いを認めるという気のいい売主はあまりないとおもいますが、手付金だけとって土地、建物は引き渡し、代金は一定期日後に支払えばよいという例もありえます。ただ、この場合は、当事者間の約定で準消費貸借を結び、支払期日や利息や担保のことは別にきめるのが通常です。

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土地

前述のように、分割払いや後払いの便宜を与えるとしても、売主としては、それをとりはぐれのないようにしたいとおもうのは当然のことです。分割払いや後払いの代金の支払を確保するための措置としては、ふつう、保証人をたてたり、質権、抵当権を設定したりする、いわゆる人的担保と物的担保を握る手段が考えられます。まず知ってねかねばならないことは、不動産売買には、その代金について、その売買の対象になった土地、家屋につき先取特権かおることです。これは、もし残代金を支払わなかった場合は、買主に他の債権者があってもそれらに優先してその土地、家屋から優先弁済をうけられる、ということです。この優先権は、売買による土地、家屋の所有権移転の登記と共に、まだ代金の支払がないことを登記しておかなければならないことになっています。これは、当事者が特に特約をしなくても、法律上当然に認められる権利ですが、特約によって支払を確保する措置は、このほかにいろいろとあります。
所有権留保は最もよく利用されているもので、これは、月賦金その他の残代金が完済されるまでは、売買目的の土地、建物の所有権は買主に移転させず売主が持っている、という仕組です。この方式は、売主にとって一番安全で、買主は、金部支払がおわるまでは他に売り払ったり抵当に入れたりという勝手な処分はできません。
次は、頭金の支払と同時に土地、建物の所有権は買主に移転させるが、残代金についてその土地、建物に抵当権を設定しておくという仕組です。この方法ですと、買主はその土地、建物を処分することはできますが、抵当権はどこまでもついていきますから、買主が残代金を支払わなければ、強制執行してその土地、建物から優先弁済をうけることができます。
いずれの場合でも、月賦金や残代金の支払を怠った場合の処置をちゃんときめておいたほうがよいでしょう。月賦金を滞納した場合は、以後残代金を一度に請求できるという約款や、すでに払った月賦金は返還しないというとりきめをしておくのが、普通のようです。もっとも、月賦金の支払をただの一、二度怠ったからといって、すぐ契約を解除して土地、建物の返還と求めたり、すでに支払った月賦金は全部返さなくてもよいということは、裁判所でも容易に許さないと思われます。
また、頭金の支払と同時に上地や建物の所有権を買主に移し、登記もするが、残代金の不払があったならばその不動産を代りに債権者に渡す、という代物弁済の予約または停止条件付代物弁済契約を締結しておく、という方法もあります。この方法は、抵当権の設定に添えて用いられることもあり、抵当権設定をともなわずに独立に用いられることもあります。
代物弁済予約と停止条件付代物弁済契約との差異は、前者ですと、債務不履行があった場合には、債権者が予約完結権の行使すなわち予約完結の意思表示をして始めて目的不動産の所有権が債権者に移るのに対し、後者ですと、債務不履行になれば自動的に目的不動産の所有権は債権者に移ってしまうという点にあります。代物弁済予約であるか停止条件付代物弁済契約であるか、契約の趣旨が判然としないときについては、判例の態度は、代物弁済予約であると推定する傾向にあります。
代物弁済予約や停止条件付代物弁済契約をした債権者の権利については、その予約等を登記原因とする所有権移転請求権の仮登記または所有権移転の仮登記をしておくことによって、債務者(買主)のみならず他の第三者に対しても、これを対抗することができます。
ところで、代物弁済予約等は、債務不履行のときは、不動産の価格より債務額が低い場合でも、不動産そのものを取ってしまえるのであって、差額を清算する必要はない、という建前の契約です。したがって、債権者にとっては有利な契約ですが、不動産価格と債務額との間のアンバランスがあまりに大きいときは、代物弁済予約等そのものが暴利行為として無効とされたり予約完結権の行使などによって不動産そのものの取上げを主張することは権利濫用であって許されないと判断されることがあります。売買代金を担保するための代物弁済予約等では、頭金などの既払分があるため に債権額は不動産価格を下回るのが普通でしょうから、この点は特に注意を要します。

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