売買と従物

家屋を買い受けましたが、契約では、登記簿にでていない庭木、庭石、物置、畳、建具、造作について特に何もふれませんでした。売主は、これらのものは売ったことにはなっていないといって、持ち去ろうとしていますが、家屋の売買契約のなかには、これらは含まれないものでしょうか。
この場合、家屋を買い受けたとなっていますが、建物だけでなくその宅地をもあわせて買い受けたものと想定します。というのは、庭木、庭石は土地の土にあって建物に付属するものではありませんから、土地の売買に伴って当然に庭木や庭石も売買の対象に含まれるか、ということは問題になっても、家屋だけの売買でしたら、特に庭木、庭石だけを土地と切り離して売買する約束でもしていないかざり、問題となることはないからです。
言うまでもなく、何か売買の対象になるかは、売主と買主との契約によって定まるのが原則です。しかし、契約で特にそのことにとにふれていないとき、これを補って紛争解決の基準となるのが、主物、従物に関する規定です。例えば、畳や、襖、ガラス戸などの建具、また、釣り棚などの造作は、それらのものを建物からとりはずそうと思えば可能であり、しかも、それだけで一定の経済的な値打ちをもっています。したがってまた、それだけで所有権の対象となりうる独立の物だといえます。しかし、これらのものが建物にとりつけられている状態では、建物に付属して利用されることにより建物の効用を肋けるという客観的な関係が存在します。このような関係に着目して、建物が売られれば、特に断わりがない以上、これらのものも同時に売られたものと見ること、これがいちばん建物の経済的な価値を活かすみちであり、かつまた当事者の意思に添うであろう、と考えられます。このような場合の建物を主物、建具、造作のたぐいを従物と呼びます。

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土地

特に何もふれなくても、従物は主物の処分に随うという規定によって、建物の売買があった以上、これに付随して、畳、建具、造作も買主が買い取ったことになり、売主はこれらのものを持ち去ることはできません。また物置は、不動産にちがいありませんが、母屋が処分されればその従物として付随するという先例があります。さらにまた、庭木、庭石は、土地の定着物とよばれて不動産ですが、通 常の場合は土地の一部であると考えてよいでしょう。そうすると、土地を買い受けた以上、その一部である庭木、庭石をも買い受けたことになるのは当然です。もっとも、庭木、庭石でも独立で経済的な値うちがあり、それだけを別個に取引の対象にすることもありうるでしょうが、その場合でも、土地に対する庭木、庭石の関係は、前述の母屋に対する物置の関係と同じように考えてよいでしょう。そうすると結論として、ここに挙げられたすべての物は買主が買い受けたものであり、売主が持ち去ることは許されません。
家屋を買う契約をしたが契約後に見に行ったところ、畳、建具、造作もない家で期待はずれだったというような場合は先述と事実関係を異にします。なぜなら、契約のときすでに畳、建具、造作は建物についていなかったのですから。したがって、主物、従物に関する前述の規定によって解決することはできません。つまり、これらの物が建物についていないからといって、売主に対し契約の不履行の責任を問うわけにはゆかないでしょう。これらの物が売買の対象になっておらず、当事者間で予定されていない以上、物の一部滅失による売主の担保責任を追及することもむずかしいことになります。ただ、買主の思い違いが法律的救済の理由にならないかが残る問題です。しかし、これらの物がついているかいないかは、実際は建物を見に行けばすぐわかることですから、売主が故意にだましたのでないかぎり、詐欺による契約の取消は認められないでしょう。また、売買代金額などからみて、これらの物が初めからないのだとわかっていたらこの建物を買わなかったであろうとは必ずしも言えないときは、錯誤による契約無効の主張も許されないでしょう。さらにまた、これらの物が欠けていることを買主に知らせる義務が売主にあるかどうかも疑問です。買主が検分に出かけたとしたらすぐにわかることですし、また建物を買うときにはそうするのが普通ですから、売主にそのような積極的な義務があるとも断言できかねます。

土地
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