移転登記の仕組と手続き

売買に基づく所有権移転登記は、ふつうは、売主と買主とが共同で申請して行なわれます。つまり、申請に必要な書類をそろえて、売主、買主双方が登記所へ出頭して提出するのですが、売主も買主も、代理人を立ててこの人に申請行為をしてもらうこともできます。
代理人による登記申請の場合に、だれを代理人に頼むかは本人の自由で、例えば、売主(登記義務者)が自分の代理人として買主(登記権利者)を選んでもよければ、同じ一人の人を売主、買主がそれぞれ共通の代理人に委任することも自由です。この場合は、いわゆる双方代理でもさしつかえありません。実際には、売主と買主とが同じ一人の司法書士を共通の代理人に選んで登記申請をするというやりかたが圧倒的に多く行なわれているようです。
もちろん、登記の申請は、必ず司法書士に頼んで代理してもらわなければいけないというものではありません。本人が自分でやっても、素人を代理人にしてやっても、登記法が定めている事項を実質的にきちんと記載した所定の書類をそろえて申請すれば、登記所は必ず受理してくれますし、書き方のこまかい点などについても、登記所の職員ができるだけ教えてくれるはずです。
しかし、登記申請手続というものは、戸 籍の届出事務などのように比較的に内容が簡単で類型化している手続とは違い、具体的な一件ごとにかなり個別性、特殊性に富んでいますから、ひととおりの記載例ひな型を見たくらいでは、素人が完全な書類を作ることはかなり困難な湯合が少なくありません。一方、登記所の職員がいちいち登記手続法の細部にわたって講 義してくれたり、さらには話を聞いて書類作りまで手伝ってくれる、というところまでゆけば理想かもしれませんが、現実には、人員や予算などの関係で十分には手がまわりかねる、という事情もあるようです。
ただ、この点に関連して、司法書士に頼むとひどくお金がかかるように思っている人がおりますが、これには若干の説明が要るかと思います。というのは、俗に登記料、登記手数料などといって司法書士の人に支払う金額は、その内訳書を見ればわかることですが、そのうちのかなりの部分は登記にともなう登録免許税納付のための印紙代であり、それは本人で申諸手続をした場合でもまったく同じに必要な支出であるということです。つまり、司法書士が純粋にそのサービスの対価として要求する仮面というものは、そんなに高額なものではない、といえます。もちろん、自分で手続をすればそれだけでも節約はできますが、節約額はその程度のものだということを心得えたうえ、時間のロスなどとのかねあいで、依頼するか自分でやるかを決められたらよいでしょう。

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登記の申請は、口頭ですることはできず、必ず書面でしなければなりません。以下、申請の際に提出すべき書類について概要を説明します。
申請書 - 申請に必要な書類のうちの主体をなすもので、だれが(申請人の住所、氏名、代理人によって申請するときは代理人の住所、氏名)、どの不動産について、どういう理由に基づいてどういう種類、内容の登記をしてほしいのかを記載します。この申請書は、売主と買主の共同名義(連名)で作成します 。この場合の売主の方は、印鑑証明つきの印を押さなければなりません。一方、買主の方は、その住所を証明できる書面を添付しなければなりません。これは、実在しない虚無、架空の人の名義で登記がなされることを予防するためのものです。
代理人によって登記申請をするときは、申請書は代理人の名義で作成されますが、この場合には、申請書とは別に、正当に依頼を受けた代理人であることを証明する書面つまり委任状を添付、提出しなければなりません。そして、売主側の代理人の委任状には、売主は印鑑証明つきの印を用いなければなりません。また、売主や買主が未成年者か禁治産者であって、法定代理人が代わって登記を申請するときにはその存分を証明するために戸籍謄本などの添付、提出が必要です。
登記原因を証する書面 - 所有権移転登記を求める根拠である売買の存在を証明する書面で、売主、買主の間で授受される不動産売渡証などがこれにあたります。ところで、この登記原因を証する書面がはじめから存在しないか、その他提出できない事情があるときは、申請書の副本を提出して、これに代えることができます。このように、登記原因証書か申請書副本かのどちらかを出せばよいというのは、現実には、買主のために登記済証を作成するため、つまりそれの台紙にする、という意味をもっているからです。
登記義務者の所有権に関する登記済証 - 移転登記申請にさいしては、原則として、売主の所有権の登記済証(権利証)を提出しなければなりません。これは、売主として移転登記をしようとしている人が真実登記簿上の所有名義人その人であることを登記官がたしかめ、登記簿上の名義人の知らぬまにその登記が奪われるような事故がないように予防するためのものです。
売主の権利証の提出が求められるのは、このように本人証明ないし本人の真意の確認のためのものですから、登記済証(権利証)が滅失したときはその登記所で登記を受けている成年者二人以上が、登記義務者(売主)として申請しようとしている人がその本人に相違ないと いうことを保証した書面を提出することで、登記済証の提出に代えることが認められています。ただし、この保証書によって所有権移転登記の申請があった場合には、登記官はすぐには登記を実行しませんで、郵便で、登記義務者(売主)に念のため問合せをし、間違いないという回答を得て、はじめて、申請どおりの登記を実行いたします。
要するに、真の所有者が売主として移転登記をしようとするのなら、かりに権利証を紛失したような場合でも、若干余計に時間はかかりますが、保証書というものの代用で登記はできるわけです。なお、保証書を作成してくれる保証人は、前述した要件をみたす人ならだれでもよいわけですが、司法書士の人にこの保証を引き受けてもらうこともできます。
登記原因(売買)について第三者の許可同意または承諾を要する場合には、それらがあったことを証明する書面 - 例えば、農地を農地のままで売買して移転登記をするには、都道府県知事の許可書を添えなければなりません。
出頭 - 以上のような必要書類をそろえて、その申請人がこれを持って登記所へ出頭しなければなりません。書類の郵送による申請は認められていません。
登記の申請に対して、登記所では、まず受付をします。つまり、同じ不動産についての二つ以上の権利が競争関係になった湯合には受付の先後がものをいうことかありますから、申請書を受け取った登記官は、受付帳に、登記の目的、申請人の氏名、受付番号を記載し、申請書には、受付年月日、受付番号を記載します。そして、申請を受け付けた証拠と、登記実行後に登記済証を交付する場合の証明手段として、申請の「受領証」を渡すのが普通です。
申請の受付につづいて、登記官は、申請どおりの登記をしてよいかを審査します。この審査というのは、あくまでも、現在までの登記簿上の記載と、今度申請された内容とと見くらべて、形式的につじつまがあわない点がないかどうかをたしかめるものです。そして、形式的につじつまがあえば、必ず登記をしなければなりませんし、逆に形式的につじつまびあわなければ、たとえ申請当事者が「真実はこうなんです」といって訴訟のように陳弁しても、登記所では取り上げずに、申請を却下します。これを、登記官の形式的審査とよびますが、要するに、登記法に定められた提出書類の書面上の観察、審査は、形式的には厳格に行ないますが、その審査でおかしい点がないとなれば、いま申請されている登記をしてもよいだけの実体的な取引が有効に存在するものと判断して、なるべく迅速に登記手続を進め、不動産取引が登記手続のために渋滞することがないようにつとめる、という趣旨のものです。
登記官が申請を審査して問題がないということになりますと、登記が実行されます。つまり、売主から買主へ所有権が移転したという記載が登記簿の所定の用紙に記載されます。そして、申請書といっしょに提出された前述の「登記原因を証する書面」または申請書副本に、 登記が済んだという記載をし登記所の印を押して、買主に交付されます。これが登記済証です。また、売主が申請に添えて提出したところの、まえの登記済証にも、今度の新たな登記が済んだということがわかるように記載や押印をして、売主へ返されます。

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